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妖怪族の国55
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山よりも巨大な鎌首をもたげるアヤカシ。やつは大昔に作られた島喰いや国喰いと呼ばれる神話級の化け物だった
今では兵器としての必要性は無くなったため、ただ暴走して何もかもを喰らいつくそうとしている
精霊として僕は人々をやつから守らなければならないんだ
「精霊様、あれはかつて魔族と戦うために作られました。それ故に魔法は一切効きません。妖術や神力ならばダメージは与えられるでしょうが、あの巨体です。そこまでの力を持った者は妖怪族にもそうはいません。タマモ陛下が来るまで何とか持ちこたえてください」
タマモさんも来るのか。あの人は神話級と戦える力を持っているらしいけど、実際には戦ったことはないらしい
本来神話級と戦っているのはフェンリルが出たときに助けてくれたカイトさん、神龍のアンミツ姫って人くらいか
僕達では勝てないかもしれない
「まずいですリディエラ様! アヤカシが進行を再開しました!」
「うん! でもどうやって攻撃しよう。僕らじゃまだ神力は操れないし」
「神刀はありますが、それで何とかと言うところですかね」
うわ、これは勝ち目が低いかも。でも全力を尽くさなきゃ!
「いくよ! 幻想惑乱、ファタモルガーナ!」
蜃気楼を近場で発生させる妖精の悪戯と呼ばれるファタモルガーナ、僕はこれを自在に発生させることができる
これでアヤカシはこちらを見失ったはずだ
「神刀解放! 一影朱幻、明けの明星!」
刀身が赤く染まり、僕の魔力を吸って巨大な刀になってアヤカシの頭部を捕らえた
巨大な刀はアヤカシの首に食い込み、斬りこんでいく
「よし! いける!」
でもそれは甘かった。刀派表皮を少し削っただけで砕け散ってしまった
「砕け、た・・・。僕の刀が」
鬼ヶ島の刀匠に打ってもらった大切な刀が粉々になっている
神刀になるような刀はなかなかない
その中でもこれは僕の魔力で急速に進化していた
「リディエラ様! 危ない!」
テュネが僕を突き飛ばすとそこにアヤカシの頭が落ちて来て地面を貫いた
「あ、危なかった。テュネ、ありが」
ふとテュネの方を見ると、彼女の足がアヤカシの口にがっちりと挟まれている
精神生命体であるはずのテュネの足が損傷し、そこから魔力が流れ出てしまっている
このままじゃテュネが消滅しちゃう!
「今助けるよ! ライトニングフルプロ―ジョン!」
最大限に僕の魔力を込めた魔法。魔法は聞かないと言ったけど、ちょっとでも、目くらましにでもなればテュネを助けられるかもしれない
でもアヤカシは何の影響もなく、再び頭を持ち上げた
その口にはテュネがぶら下がるようにして持ち上げられている
「リディエラ様、ここは私達が!」
エンシュもテュネを助けようと魔力を溜めている
それに続いてフーレンとアスラムも魔力を一緒に込めて、合成魔法を撃つ準備を始めた
合成魔法は魔力が高い精霊族だからこそできる魔法だ
魔族との戦いを想定して作られた魔物ならこれほど高威力の魔法は想定していないかもしれない
「トライマジュディラ!」
三つの属性が合わさり、魔導の極みを発揮する。どうやら少しは効果あるみたいだ
今ので少しひるんでテュネを放した
「テュネ!」
駆け寄ると、テュネの魔力がかなり抜け落ちているのが分かった
僕たち精霊は自然から魔力を補充できるんだけど、この場の魔力はアヤカシに支配されていてうまく取り込めない
おかげで僕たちは既に魔力が切れ始めていた
「く、援軍は、まだなのですか」
エンシュたちも合成魔法を放ったから辛そうだ。ひとまずここは引かないと
僕はテュネを背負い、エンシュたちと空を飛んで逃げた
悔しいけど、僕達じゃ無理だった
それと入れ替わるようにして白と黒の何かが僕の横を飛んでいった
今の気配、もしかして
テュネを降ろすとエンシュに見てもらい、僕とフーレンとアスラムはアヤカシの元へ戻った
「お姉ちゃん!」
「ええ」
「「仙気解放! 鬼剣術極、白黒王舞!」
やっぱりだ。ハクラちゃんとクロハさんだった
二人は白と黒に光り輝いてて、この前とは比べ物にならないほどの力を感じた
同時に振り下ろした刀はたやすくアヤカシの首を斬り落とし、そこから一気にアヤカシの背をかけて行って真っ二つに切り裂いて行った
「よしっと。まぁ人工の神話級ならこんなものかな」
「そうね、今まで戦ってたものに比べたら遥かに劣るわね」
戻ってきた二人は前に見たときよりも成長してて、さらに美人になっていた
どうやら童子に進化したみたいだ。でもなんだかそれよりも強くなってる気がする
「リディエラ様じゃないですか!」
ハクラちゃんが僕に気づいて駆け寄って来た
「は、ハクラちゃん? 久しぶりだね。すっごく強くなって!」
なんだか久しぶりに会った親戚のおばちゃんみたいなことを言ってしまった
「まだまだですよ私達なんて。でもいつか鬼神になって見せますよ! みんなを守れるように!」
すごいなハクラちゃんは。これは僕もうかうかしてられないよ
あの時言われたように、各地を回って試練を超えなきゃね
確かこのまま色々なところを旅しなさいって言ってたな
旅先での試練が僕を強くしてくれるはずだ。頑張ろう!
今では兵器としての必要性は無くなったため、ただ暴走して何もかもを喰らいつくそうとしている
精霊として僕は人々をやつから守らなければならないんだ
「精霊様、あれはかつて魔族と戦うために作られました。それ故に魔法は一切効きません。妖術や神力ならばダメージは与えられるでしょうが、あの巨体です。そこまでの力を持った者は妖怪族にもそうはいません。タマモ陛下が来るまで何とか持ちこたえてください」
タマモさんも来るのか。あの人は神話級と戦える力を持っているらしいけど、実際には戦ったことはないらしい
本来神話級と戦っているのはフェンリルが出たときに助けてくれたカイトさん、神龍のアンミツ姫って人くらいか
僕達では勝てないかもしれない
「まずいですリディエラ様! アヤカシが進行を再開しました!」
「うん! でもどうやって攻撃しよう。僕らじゃまだ神力は操れないし」
「神刀はありますが、それで何とかと言うところですかね」
うわ、これは勝ち目が低いかも。でも全力を尽くさなきゃ!
「いくよ! 幻想惑乱、ファタモルガーナ!」
蜃気楼を近場で発生させる妖精の悪戯と呼ばれるファタモルガーナ、僕はこれを自在に発生させることができる
これでアヤカシはこちらを見失ったはずだ
「神刀解放! 一影朱幻、明けの明星!」
刀身が赤く染まり、僕の魔力を吸って巨大な刀になってアヤカシの頭部を捕らえた
巨大な刀はアヤカシの首に食い込み、斬りこんでいく
「よし! いける!」
でもそれは甘かった。刀派表皮を少し削っただけで砕け散ってしまった
「砕け、た・・・。僕の刀が」
鬼ヶ島の刀匠に打ってもらった大切な刀が粉々になっている
神刀になるような刀はなかなかない
その中でもこれは僕の魔力で急速に進化していた
「リディエラ様! 危ない!」
テュネが僕を突き飛ばすとそこにアヤカシの頭が落ちて来て地面を貫いた
「あ、危なかった。テュネ、ありが」
ふとテュネの方を見ると、彼女の足がアヤカシの口にがっちりと挟まれている
精神生命体であるはずのテュネの足が損傷し、そこから魔力が流れ出てしまっている
このままじゃテュネが消滅しちゃう!
「今助けるよ! ライトニングフルプロ―ジョン!」
最大限に僕の魔力を込めた魔法。魔法は聞かないと言ったけど、ちょっとでも、目くらましにでもなればテュネを助けられるかもしれない
でもアヤカシは何の影響もなく、再び頭を持ち上げた
その口にはテュネがぶら下がるようにして持ち上げられている
「リディエラ様、ここは私達が!」
エンシュもテュネを助けようと魔力を溜めている
それに続いてフーレンとアスラムも魔力を一緒に込めて、合成魔法を撃つ準備を始めた
合成魔法は魔力が高い精霊族だからこそできる魔法だ
魔族との戦いを想定して作られた魔物ならこれほど高威力の魔法は想定していないかもしれない
「トライマジュディラ!」
三つの属性が合わさり、魔導の極みを発揮する。どうやら少しは効果あるみたいだ
今ので少しひるんでテュネを放した
「テュネ!」
駆け寄ると、テュネの魔力がかなり抜け落ちているのが分かった
僕たち精霊は自然から魔力を補充できるんだけど、この場の魔力はアヤカシに支配されていてうまく取り込めない
おかげで僕たちは既に魔力が切れ始めていた
「く、援軍は、まだなのですか」
エンシュたちも合成魔法を放ったから辛そうだ。ひとまずここは引かないと
僕はテュネを背負い、エンシュたちと空を飛んで逃げた
悔しいけど、僕達じゃ無理だった
それと入れ替わるようにして白と黒の何かが僕の横を飛んでいった
今の気配、もしかして
テュネを降ろすとエンシュに見てもらい、僕とフーレンとアスラムはアヤカシの元へ戻った
「お姉ちゃん!」
「ええ」
「「仙気解放! 鬼剣術極、白黒王舞!」
やっぱりだ。ハクラちゃんとクロハさんだった
二人は白と黒に光り輝いてて、この前とは比べ物にならないほどの力を感じた
同時に振り下ろした刀はたやすくアヤカシの首を斬り落とし、そこから一気にアヤカシの背をかけて行って真っ二つに切り裂いて行った
「よしっと。まぁ人工の神話級ならこんなものかな」
「そうね、今まで戦ってたものに比べたら遥かに劣るわね」
戻ってきた二人は前に見たときよりも成長してて、さらに美人になっていた
どうやら童子に進化したみたいだ。でもなんだかそれよりも強くなってる気がする
「リディエラ様じゃないですか!」
ハクラちゃんが僕に気づいて駆け寄って来た
「は、ハクラちゃん? 久しぶりだね。すっごく強くなって!」
なんだか久しぶりに会った親戚のおばちゃんみたいなことを言ってしまった
「まだまだですよ私達なんて。でもいつか鬼神になって見せますよ! みんなを守れるように!」
すごいなハクラちゃんは。これは僕もうかうかしてられないよ
あの時言われたように、各地を回って試練を超えなきゃね
確かこのまま色々なところを旅しなさいって言ってたな
旅先での試練が僕を強くしてくれるはずだ。頑張ろう!
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