上 下
246 / 1,022

白黒 童子姉妹の冒険14

しおりを挟む
「いやぁごめんごめん。まさか本体が残ってるなんて思ってもみなかったからさあ」
 カイトさんが戻ってきて開口一番にそう謝ってくれた
 それにしても本体が神話級じゃなくて助かったね。もし神話級だったら今私達の死体がここに転がっていたと思うとぞっとしちゃう
「さてと、ひとまずご飯でも食べるかい? まだ何も食べてないんだろう?」
「うむ、カイトの作るご飯はうまいからのぉ。お前たち、心して喰うのじゃぞ」
 聞いたところによると、アンミツ姫の料理は全てカイトさんに習ったものらしい。と言うことはカイトさんの料理も絶品なはず!
「ちょっと待っててね。すぐ用意するから」
 カイトさんはそう言うと目の前から消え、あっという間に台所に立っていた。 は、速い
「えーっと、材料はっと。黄金ヒツジの肉があるなぁ。それと白銀米が炊けてるな。あとは、覇王魚の切り身、業火唐辛子もあるか。野菜は・・・、昨日収穫した百葉白菜と紅玉人参でいいか」
 テキパキと手際よく料理の下ごしらえをし、次々と料理を完成させていくカイトさんに思わず見とれちゃった
 出来上がったのは黄金ヒツジのステーキ、覇王魚のムニエルの百葉白菜包み紅玉人参の甘煮添え
 ステーキには業火唐辛子が振りかけて会って相当辛いけど、癖になる辛さ
 お肉は柔らかくってとろけるような食感。臭みもなくてむしろ香ばしい食欲を誘う香りがあって結構好きかも
 覇王魚はAランクの魔物で、その名の通り魚の王様と言われる危険な魔物
 相当強いけど、味はそれに見合ったものらしくて、白身魚だけど濃厚。それなのにムニエルがよく合った調理法
 さらに百葉白菜の甘みがお魚の味をよりいっそう引き立ててくれてる
 その横に添えてある紅玉人参の甘煮もムニエルの塩味に合ってる
「ふぅ、美味しかったですカイトさん」
「それはよかったよ。実は料理が趣味でね。大昔、まだこの世界に来ていなかった頃にもよく作ってたんだ。それにこうして誰かと食べるのは久しぶりで僕も楽しいよ」
 しばらく談笑した後に私達はカイトさんの用意してくれたベッドで横になった
 言い忘れてたけど、カイトさんのいるこの場所はゲートの横に小さな家があって、そこがカイトさんの家として使われているみたい
 ただ、たまに神話級に踏みつぶされるから、しょっちゅう建て替えてるらしいの
「今日は頑張ったね。ゆっくり休んで明日から修行を始めよう」
 カイトさんはそう言うと私達にベッドを譲り、台所にある長椅子に寝転がると薄い布にくるまって寝息を立て始めた。やだ紳士

 その頃アカネたちは
「おおおおおおお!! 力が、力がすっごいっす! なんだか何でもできる気がするっすよ!」
「ええ、それにこの体の変化、ハクラ様達にお会いしたとき、私達と気づいてもらえるでしょうか?」
「ハクラちゃんなら~、絶対大丈夫だと思うよ~」
 それぞれが童子へと進化を始めていた
 まずアカネは角が二本から三本に増え、赤毛の髪は腰元まで伸び、少し背も伸びて胸も以前よりさらにふくよかになっていた
 顔立ちから幼さは消え、ワイルドさが引き立つ美少女に。尾は長く、ふさふさとした毛並みが輝いている
 次にキキは角は一本のままだが、額に第三の目が開いた
 顔立ちもクールビューティーと言った印象になっている
 ただ胸は相変わらず平で、自分の胸を触りながらため息をついて明らかに落ち込んでいた
 最後にソウカ
 彼女は相変わらずのスタイルの良さで、髪も変わらない
 角は元の二本が長くのび、その角には紋様が刻まれた
 一番変わったのは翼で、二枚から四枚に増え、濃い青から輝くような青に変わっていた
「力のぉ、あがりぃ具合がぁ半端じゃぁないねぇ」
「ふむ、童子とはここまで大きな力を持つ者なのか。 もはや我らでは敵うまい」
「何を言っているのですか? 私達もさらに力を付けて龍神になればよいのです。さすればアンミツ姫のおそばに常にいれるようになるではないですか」
「そうは言ってもよう、どうすりゃ龍神になんてなれんだ? 俺たちも相当努力したけど全然なれねぇじゃん」
「それは俺たちの修行がまだ足りないということだろう」
 口々に話す龍王たちにふと思ったことをアカネは言ってみた
「アンミツ姫に聞いたらどうっすか? その方が速いっすよ」
「な、何を言うか。アンミツ姫様は我らが主。そのようなことお聞きできるわけがなかろう」
「いやいやいや、そのくらい教えてくれるっすよ。勇気出して聞いてみるっす。いっすか? あたしらの国に来た異世界人が言ってたっす。“聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥”ってね」
「あ、アカネ、よくそんな難しい言葉覚えてたわね?」
「む、あたしだってそのくらい覚えてるっす!」
 ひとまず童子へと進化出来たアカネたちはその日の修行を終えた
 ただ、キキは未だに自分の胸の成長に不満があるようで、しきりに揉みしだいていた
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)
ファンタジー
サラは幼い頃から学ばなくても魔法が使えた。最近では思っただけで、魔法が使えるまでに。。。 精霊に好かれる者は、強力な魔法が使える世界。その中でも精霊の加護持ちは特別だ。当然サラも精霊の加護持ちだろうと周りから期待される中、能力鑑定を受けたことで、とんでもない称号がついていることが分かって⁉️ 私が精霊王様の母親っ?まだ、ピチピチの10歳で初恋もまだですけど⁉️

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

転生したら弱いものまね士になったけど結局活躍した。それはいいとして、英雄になったら隣に住んでたエルフとベッドの上でファンタジーが始まった

ぐうのすけ
ファンタジー
会社帰り、俺は突然異世界に転生した。 転生した異世界は貴族屋敷……の隣にあるボロ屋の息子だった。 10才で弱いと言われるものまね士のジョブを授かるが、それでも俺は冒険者を目指す。 所で隣のメイドさん、俺をからかうの、やめてもらえますか? やめて貰えないと幼馴染のお嬢様が頬をぷっくりさせて睨んでくるんですけど? そう言えば俺をバカにしていたライダーはどんどんボロボロになっていくけど、生きておるのか? まあ、そんな事はどうでもいいんだけど、俺が英雄になった後隣に住んでいたエルフメイドがベッドの上では弱すぎる。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

処理中です...