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神々の日常3

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 神々はせわしなく、慌ただしく、騒々しく動き回っていた
 緊急事態の発生、これから起こる世界の大混乱に備えてのことだった
「すぐにプリシラとサニア、ルニアを呼びなさい。それからマキナとフェインにこのことをすべての神々に伝達するようにと」
 神々に指示を伝える天の神ラシュア
 かれが呼んだのは想像の女神プリシラと末神の双子サニアとルニア、電子の女神マキナと伝達の神フェインだった
 ラシュアの呼びかけにすぐに現れる五柱
「お兄様、プリシラです」
 プリシラは特殊な女神で、下位の創造主から産まれ、上位の女神となった
 その権能は想像
 想像したものを創造する
 無機物ならどんなものでも想像できるものなら創り出せ、生命すらもある程度創造できる強力な力を持っている
「兄様、サニアとルニア、参りました」
 おとなしそうな少女サニアとどこか怒ったような表情をしているルニア
 この二柱は双子で、破壊の女神と能力の女神だ
 破壊の女神はその通り破壊を司っていて、攻撃のみに特化している
 能力の女神は神々の持つ力をある程度使え、その能力を人間に分け与える力も持つ
「ラシュア兄さ~ん、マキナ、来たよん」
 電子の女神マキナ、世界の電子を司り、情報を集めることに長けた女神だ
「兄上、僕、先ほどからここにいるのですが・・・」
 優しい顔立ちの美少年、伝達の神フェインはどうやらラシュアの横にずっといたようだが、なぜだか影が薄い
 そんな彼は伝達を司り、主にマキナや監視の女神キュカなどが集めた情報を要約し、わかりやすくして全ての神々に伝える役割を持つ
「おや、フェイン、いたのなら声をかけなさい。遠慮などしなくてよいと言ったでしょう?」
「いえ、声はかけたのですが、忙しそうでしたので」
「そ、そうですか、それはすみませんね」
 バツの悪そうな顔で弟神であるフェインの頭を撫でる
 フェインはその手からの愛情を感じ、満足したようだ
「さて、あなたたちを呼んだのは他でもありません。先ほどパリケル様から連絡が入りました。どうやらイレギュラーメルカの封印が解けたようなのです」
「メルカのですか!?」
 ルフェインとマキナは驚いていたが、サニア、ルニア、プリシラの新妹神の三柱はピンと来ていないようだった
「あの、メルカとは誰なのですか?」
「そうでしたね、あなたたち三柱は新しい女神でした。メルカとは全ての世界のイレギュラー、突如生まれた我々のような力ある者を滅ぼしうる力を持った少女です」
 あまりにも突拍子もないラシュアの発言に驚く三柱
 メルカは数億年ほど前に原初と呼ばれる全ての母と人間の男から生まれた
 生まれも異常なら、その力も異常だった
 存在するだけで、その場の空間、時空、時間を歪め、全ての流れを変えてしまう
 その少女が通った世界はのべつ幕無く滅びの一途を辿っている
 あまりのイレギュラーさに驚いた大神、神々、闇、黒族、古の支配者たちはその当時起こっていた争いを一旦やめ、彼女の封印に全力を尽くしたという
 少女は何かをしたわけでもない
 むしろその少女は普通であろうとした
 普通に生活し、普通に笑い、普通に、ヒトとして生きようとした
 しかし在るだけで全てを歪める彼女を、セカイは許さなかった
 やがてセカイの力ある者達によって彼女は一つの小さな世界へと幽閉された
「その世界が、なぜかあの世界の迷宮に繋がったということですか?」
「ええ、そんな機会を逃すわけがありません。メルカは我々に復讐するため動くでしょう。そうなれば世界は、消えます。比喩ではなく全ての世界が消えるのです」
「可及的速やかにそのメルカを排除すればいいってことですよね?」
「いえ、恐らく神々だけではメルカに勝つことはできません。黒族、闇人、古の支配者、そして大神様に協力していただかなくては」
 つまりラシュアは連絡の取れない古の支配者と大神への伝達役としてプリシラ、サニア、ルニアに白羽の矢を立てたのだった
 大神たちは神々の親でもあるので協力は取り付けるが、問題は古の支配者たちだ
 和解したとはいえ、彼女らはすでにかつての戦いによって姿を消している
 協力を求めるためには探し出す必要があるが、手掛かりは皆無だった
「分かりました。必ずやその任務、私たちでこなして見せます! 母様となってくださったメシア様のためにも!」
 プリシラの言う母メシアとは救いの女神
 自分たちの力をすべて注いで消えたプリシラの両親に変わって母親代わりをしていた女神だ
 その後すぐに三柱は、ラシュアの命を受けて旅立っていった
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