上 下
204 / 1,022

白黒 童子姉妹の冒険3

しおりを挟む
 資料はいくつか見つかったんだけど、かなり古びたものばかり
 まぁ数万年年も前だから当然と言えば当然
「ハクラ、これを見て」
 お姉ちゃんが持ってきた本、どうやら日記みたい
「ほら、絶桜鬼さんの記述がある」
 そこには、いかに絶桜鬼さんが美しくて強かったかが事細かに描かれていた
 描写が何だかなまめかしい。これ、見てよかったのかな?
「そこじゃなくて、ここ、ほら」
 あら、このページじゃなかったのね
 ページをめくると、絶桜鬼さんと前竜人王さんが共に行った修行場所とその内容が書かれていた
龍襲山りゅうしゅうざん? お姉ちゃんどこかわかる?」
「私も分からないわね、ディレロ、知ってるかしら?」
「あ、えと、確かバルハートの最北端に、その山があるよ」
 急に話しかけられて顔を赤らめたディレロ君
 龍襲山、名前から見るに龍が襲ってくるのかな?
「僕たちも行ったことはないけど、確かあそこの龍は気性が荒いので有名だね。父上なら拳一つで黙らせるんだけど、僕達じゃまだ実力不足ってことで行かせてもらえないんだ」
 龍襲山は古から竜人の修行地として開かれた山で、王に実力を認められた人しか入山できないんだって
 じゃぁゴトラさんに許可をもらいに行かなきゃ
「僕たちも一緒に行けないか進言してみるよ。これでも僕達、結構戦えるようになってるんだ」
 デュレロ君がやる気に満ちてる。とりあえずゴトラさんのところに戻ろっか
「遅かったっすねハクラ様ー」
 別室でくつろいでたアカネたちと合流してからゴトラさんのところへ
 え? 三人が何で別行動してたかって?
 一応この資料室、王族しか入れないみたいなのよ
 竜人王の友人関係にある私たちは特別に通されたけど、本来部外者は入っちゃダメなんだって
「どうだった?見つかったかい? 僕は普段本なんて読まないからどこに何があるかなんて分からないんだよね」
 余計なことを言ってまたカルセさんにつねられてる
「これを見ていただけますか?」
 お姉ちゃんがさっきの日記をゴトラさんに渡すと、驚異の速さで内容を読みきってしまった
「ふむふむ、なるほどね。要は龍襲山に入りたいってことだよね? 結論から言うと、ダメかな」
「ど、どうしてですか!?」
「かなり危険なんだよ。君たちみたいな可愛い女の子にあんなところへ行かせられない」
 またつねられてる
「あなた、ふざけたことを言ってないで本当のことを言いなさいな」
 笑ってるけどカルセさん怖い
「ごめんごめん、でもね、あそこは本当に危険なんだ。五王龍という龍を筆頭に好戦的な龍が溢れてる。五王龍はまだ話が通じるけど、彼らの下についている七龍が曲者なんだ。全く話は通じないし、強者しか認めない。もし敗れればその時は、喰われるだろうね」
 そう聞いて少し怖かったけど、私たちの決心は変わらない
「はぁ、揺らがないね。じゃぁこうしよう。僕とカルセとこれから戦ってもらう。そうだな、一撃でも入れられれば許可を出そう」
 ゴトラさんとカルセさんは立ち上がってついて来るように促した
 そして案内されたのは、毎年異種族闘技の世界大会が行われる地下闘技場
 世界中の格闘家や魔法使い、剣術士などの実力者が憧れる夢の舞台
「君たちの実力は底知れない。でもまだ童子に成ったばかりだろう? 果たしてその力をうまく扱えているのかな?」
 王夫妻は豪華な服を脱いでいく
 その下には動きやすそうな軽い服を着ていた
「それじゃぁ始めよう。デュレロ、ディレロ、お前たちもクロハちゃんたちをサポートしなさい。そして全実力を出すんだ。一斉にかかって来るといいよ」
 私達は七人、大してゴトラさんはカルセさんとのコンビで二人
 数の上では圧倒的有利だけど、たった一つの圧倒的な個が一国を滅ぼすこともあるから
 構えるゴトラさん、彼は世界的に知られる格闘技のマスターでもある
 彼の二つ名、灼氷熱地獄のゴトラ
 それは矛盾してるけど、ゴトラさんの性質を正しく表してる
 氷結と灼熱を操るゴトラさんの力
「全力で来なさい。でなければ、私たちに一撃を入れることなど不可能ですからね」
 そして忘れてはならないのがカルセさん
 彼女の二つ名は微笑冷酷のカルセ
 微笑みながら敵を殲滅する姿は敵に恐怖を覚えさせるほど
 忘れられないあの恐怖は今でも私に染みついてる
 二人の雰囲気が変わった
 ほのぼのとしたさっきまでとは全然違う強者の風格を纏ってる
 かつてあった前魔王との戦争、たった二人で魔族の十個大隊を殲滅したのは今でも語り継がれるほど
 でも、一撃なら、一撃だけなら、今の私たちなら、届くはず!
 今まで習った力をフルに発揮するために、私とお姉ちゃん、アカネたちは、体に魔力、妖力、仙力、方力を行き渡らせた
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

処理中です...