148 / 1,022
白黒 鬼姉妹の冒険13
しおりを挟む
テンセン先生はゆっくりと語り始めた
仙力とは仙人が扱う力で、神が使う神力に近いもの
その秘術は仙人の国である桃源郷に代々受け継がれている
そう、私たち鬼仙の先祖であるモモタロウの故郷
ちなみに鬼人族の首都トウゲンはこの桃源郷から付けられたものらしい
「妖術は無事に操れるようにぃ操れるようにぃなりましたぁからぁ、次はぁ、仙力をぉ扱えるようにぃならないとぉいけませんねぇ」
仙力、一体どんな力なのかな?
私とお姉ちゃんが使ってたのはちょっとした傷が治る程度のものだったけど
「まぁ、桃源郷のことはぁ、私にもわかりませんからぁ。自分たちの目でぇ確かめるしかぁないですねぇ」
先生が言うには、桃源郷は閉ざされた国で、外界との接触を断ってるらしい
侵入してくる者には容赦なくて、うわさでは桃源郷付近に出たSランクの魔物を一撃で倒したという目撃証言もあるくらい強い人が多いんだって
「ではぁ、先生からぁ、卒業証書を授与ぉしますぅね」
テンセン先生が卒業証書としてくれたのは、可愛い狐のスタンプだった
「クスッ、可愛いでしょぉ? 私のお気に入りぃなんですよぉ」
確かに可愛い!
紙に押されたスタンプを丁寧に梱包して、大事なお守りとして懐にしまった
「では先生、今までありがとうございました!」
お姉ちゃんに合わせてみんなでお辞儀をする
「またいつでもぉ、遊びに来てくださいねぇ」
私たちは先生たちに別れを告げて妖怪族の国を出た
今度は他の集落も行ってみよう! クノエ姫と一緒にね
国を出ると桃源郷を目指して北へ歩き出した
ここから距離は少しあるけど一週間もあればつくかな?
それにしても閉鎖された国か・・・
父様や母様は行ったことがあったみたいだけど、私たちはまだ一度も訪れてない
入国させてくれるかかなり心配だよ
「今日はもう遅いからこの辺りで一泊しましょう」
河原に到着すると、お姉ちゃんは簡易のテントを組み立て始めた
このテント、鬼ヶ島の雑貨屋に売ってたんだよね
なんでも異世界から来た人が作ったんだって
便利だよね~
さて、水を汲んで木を集めて、魚を取って
これで良し、今日はオサカナヤイターノ(魚を塩焼きにしたものをハクラが勝手に名付けたもの)だね
焼きたてを一口ハムり
おお!これは!
フワフワの身とぱりぱりの皮に絶妙な塩加減!
幸せの味ですよ
アカネが骨を喉に引っ掛けた以外はトラブルもなくて、綺麗な星空を見ながら寝袋というアイテムに入って眠りについた
この寝袋も同じ雑貨屋で買ったものなのです!
次の日、再び歩き出した私たちは、アカネの提案で赤い狼に乗って移動することにした
この子たち、すりすりと頭を寄せてくるからすっごく可愛い
やっぱりアカネに一番懐いてて、召喚された狼たちはぺろぺろとアカネをなめていた
「これでスピードアップですね。アカネにしてはいい提案だったと思いますよ」
「にしてはは余計っすよ」
キキとアカネは本当に仲がいいね
犬猿の仲? この二人に至ってはそんなことはないのですよ
それから三日
予定より早く桃源郷の国境まで来ることができたんだけど、霧がかかっててよく見えない
迷わないように全員をロープでつないでから中に入ることにした
一寸先も見えない霧に段々と不安になって来た
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「うん、アカネ、キキ、ソウカ、いる?」
「いるっすよ」
「います」
「・・・」
あれ、ソウカの声がしない
「ソウカ! 大丈夫!?」
「・・・」
相変わらず返事がない
ソウカが答えないなんてありえない
あの子は寂しがりやだから私たちから一人で離れるなんてことしないはず
「どうしようお姉ちゃん、ソウカが」
「慌てないで、こういう時は落ち着いて耳を澄ましてソウカの声がするのを待ちましょう」
その場でとどまっていると霧が晴れてきた
私達がいたのは竹に囲まれた広場
その広場の中央に、ソウカの死体が転がっていた
「え? ソ、ソウカ?」
血まみれのソウカは何も答えない
触ってみると恐ろしく冷たくなっていた
「そ、そんな、ソウカ」
涙があふれて止まらない
みんなで名前を呼ぶけどソウカが起き上がることはなかった
ソウカの死体を背負おうとかがむ
ふと周りを見ると今度はキキが消えていた
「え、キ、キキ・・・?」
ドサリと何かが目の前に落ちて来る
それはキキの死体
首が捻じれ、苦悶の表情で死んでいる
「キキ! 嘘でしょ!」
お姉ちゃんも泣きながら戸惑っている
「あっ」
アカネの声がした
振り向いたけどアカネの姿はすでに消えていて、またどさりと目の前に何かが落ちてきた
アカネの死体
今度は胴体を真っ二つに切られていた
「あ、あぁあ、うわぁあああ!」
私たちはなりふり構わず泣いた
死体となった友人たちに覆いかぶさるようにして
そして、気が付いた
死体だと思っていたのは岩の塊
さらにアカネたちはすぐそばで眠っていることに
「な、何が起きてるの?」
お姉ちゃんは涙をぬぐい、状況を確認した
アカネたちには傷一つついてなくて、ただ眠っているだけだった
ここで気配に気づいた
竹藪の中から何かがこちらを見つめている
「誰!」
気配はすぐに竹藪から飛び出し、私達の前に立った
正体は整った顔立ちの私達と同じくらいの歳の少年
「驚かせてしまったかな? すまない、一応敵かどうか確認させてもらったんだ。気を悪くしたなら謝るよ。あ、一応自己紹介をさせてもらうと、僕は伏羲、桃源郷の仙人だよ。ようこそ、鬼仙の姫たち」
まだ頭の整理がついてない中、伏羲と名乗る少年は恭しくお辞儀をした
仙力とは仙人が扱う力で、神が使う神力に近いもの
その秘術は仙人の国である桃源郷に代々受け継がれている
そう、私たち鬼仙の先祖であるモモタロウの故郷
ちなみに鬼人族の首都トウゲンはこの桃源郷から付けられたものらしい
「妖術は無事に操れるようにぃ操れるようにぃなりましたぁからぁ、次はぁ、仙力をぉ扱えるようにぃならないとぉいけませんねぇ」
仙力、一体どんな力なのかな?
私とお姉ちゃんが使ってたのはちょっとした傷が治る程度のものだったけど
「まぁ、桃源郷のことはぁ、私にもわかりませんからぁ。自分たちの目でぇ確かめるしかぁないですねぇ」
先生が言うには、桃源郷は閉ざされた国で、外界との接触を断ってるらしい
侵入してくる者には容赦なくて、うわさでは桃源郷付近に出たSランクの魔物を一撃で倒したという目撃証言もあるくらい強い人が多いんだって
「ではぁ、先生からぁ、卒業証書を授与ぉしますぅね」
テンセン先生が卒業証書としてくれたのは、可愛い狐のスタンプだった
「クスッ、可愛いでしょぉ? 私のお気に入りぃなんですよぉ」
確かに可愛い!
紙に押されたスタンプを丁寧に梱包して、大事なお守りとして懐にしまった
「では先生、今までありがとうございました!」
お姉ちゃんに合わせてみんなでお辞儀をする
「またいつでもぉ、遊びに来てくださいねぇ」
私たちは先生たちに別れを告げて妖怪族の国を出た
今度は他の集落も行ってみよう! クノエ姫と一緒にね
国を出ると桃源郷を目指して北へ歩き出した
ここから距離は少しあるけど一週間もあればつくかな?
それにしても閉鎖された国か・・・
父様や母様は行ったことがあったみたいだけど、私たちはまだ一度も訪れてない
入国させてくれるかかなり心配だよ
「今日はもう遅いからこの辺りで一泊しましょう」
河原に到着すると、お姉ちゃんは簡易のテントを組み立て始めた
このテント、鬼ヶ島の雑貨屋に売ってたんだよね
なんでも異世界から来た人が作ったんだって
便利だよね~
さて、水を汲んで木を集めて、魚を取って
これで良し、今日はオサカナヤイターノ(魚を塩焼きにしたものをハクラが勝手に名付けたもの)だね
焼きたてを一口ハムり
おお!これは!
フワフワの身とぱりぱりの皮に絶妙な塩加減!
幸せの味ですよ
アカネが骨を喉に引っ掛けた以外はトラブルもなくて、綺麗な星空を見ながら寝袋というアイテムに入って眠りについた
この寝袋も同じ雑貨屋で買ったものなのです!
次の日、再び歩き出した私たちは、アカネの提案で赤い狼に乗って移動することにした
この子たち、すりすりと頭を寄せてくるからすっごく可愛い
やっぱりアカネに一番懐いてて、召喚された狼たちはぺろぺろとアカネをなめていた
「これでスピードアップですね。アカネにしてはいい提案だったと思いますよ」
「にしてはは余計っすよ」
キキとアカネは本当に仲がいいね
犬猿の仲? この二人に至ってはそんなことはないのですよ
それから三日
予定より早く桃源郷の国境まで来ることができたんだけど、霧がかかっててよく見えない
迷わないように全員をロープでつないでから中に入ることにした
一寸先も見えない霧に段々と不安になって来た
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「うん、アカネ、キキ、ソウカ、いる?」
「いるっすよ」
「います」
「・・・」
あれ、ソウカの声がしない
「ソウカ! 大丈夫!?」
「・・・」
相変わらず返事がない
ソウカが答えないなんてありえない
あの子は寂しがりやだから私たちから一人で離れるなんてことしないはず
「どうしようお姉ちゃん、ソウカが」
「慌てないで、こういう時は落ち着いて耳を澄ましてソウカの声がするのを待ちましょう」
その場でとどまっていると霧が晴れてきた
私達がいたのは竹に囲まれた広場
その広場の中央に、ソウカの死体が転がっていた
「え? ソ、ソウカ?」
血まみれのソウカは何も答えない
触ってみると恐ろしく冷たくなっていた
「そ、そんな、ソウカ」
涙があふれて止まらない
みんなで名前を呼ぶけどソウカが起き上がることはなかった
ソウカの死体を背負おうとかがむ
ふと周りを見ると今度はキキが消えていた
「え、キ、キキ・・・?」
ドサリと何かが目の前に落ちて来る
それはキキの死体
首が捻じれ、苦悶の表情で死んでいる
「キキ! 嘘でしょ!」
お姉ちゃんも泣きながら戸惑っている
「あっ」
アカネの声がした
振り向いたけどアカネの姿はすでに消えていて、またどさりと目の前に何かが落ちてきた
アカネの死体
今度は胴体を真っ二つに切られていた
「あ、あぁあ、うわぁあああ!」
私たちはなりふり構わず泣いた
死体となった友人たちに覆いかぶさるようにして
そして、気が付いた
死体だと思っていたのは岩の塊
さらにアカネたちはすぐそばで眠っていることに
「な、何が起きてるの?」
お姉ちゃんは涙をぬぐい、状況を確認した
アカネたちには傷一つついてなくて、ただ眠っているだけだった
ここで気配に気づいた
竹藪の中から何かがこちらを見つめている
「誰!」
気配はすぐに竹藪から飛び出し、私達の前に立った
正体は整った顔立ちの私達と同じくらいの歳の少年
「驚かせてしまったかな? すまない、一応敵かどうか確認させてもらったんだ。気を悪くしたなら謝るよ。あ、一応自己紹介をさせてもらうと、僕は伏羲、桃源郷の仙人だよ。ようこそ、鬼仙の姫たち」
まだ頭の整理がついてない中、伏羲と名乗る少年は恭しくお辞儀をした
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
私がいつの間にか精霊王の母親に!?
桜 あぴ子(旧名:あぴ子)
ファンタジー
サラは幼い頃から学ばなくても魔法が使えた。最近では思っただけで、魔法が使えるまでに。。。
精霊に好かれる者は、強力な魔法が使える世界。その中でも精霊の加護持ちは特別だ。当然サラも精霊の加護持ちだろうと周りから期待される中、能力鑑定を受けたことで、とんでもない称号がついていることが分かって⁉️
私が精霊王様の母親っ?まだ、ピチピチの10歳で初恋もまだですけど⁉️
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~
SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。
物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。
4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。
そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。
現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。
異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。
けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて……
お読みいただきありがとうございます。
のんびり不定期更新です。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
そんなにホイホイ転生させんじゃねえ!転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜
Open
ファンタジー
就活浪人生に片足を突っ込みかけている大学生、本田望結のもとに怪しげなスカウトメールが届く。やけになっていた望結は指定された教会に行ってみると・・・
神様の世界でも異世界転生が流行っていて沢山問題が発生しているから解決するために異世界に行って転生者の体の一部を回収してこい?しかも給料も発生する?
月給30万円、昇給あり。衣食住、必要経費は全負担、残業代は別途支給。etc...etc...
新卒の私にとって魅力的な待遇に即決したけど・・・
とにかくやりたい放題の転生者。
何度も聞いた「俺なんかやっちゃいました?」
「俺は静かに暮らしたいのに・・・」
「まさか・・・手加減でもしているのか・・・?」
「これぐらい出来て普通じゃないのか・・・」
そんな転生者を担ぎ上げる異世界の住民達。
そして転生者に秒で惚れていく異世界の女性達によって形成されるハーレムの数々。
もういい加減にしてくれ!!!
小説家になろうでも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる