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鬼人族の国3

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 広い城を見学していると案内係の女性が幹部の鬼人の一人を紹介してくれた
 その人は黄色い着物を着ていて、頭の真横にお面をつけている
 そのお面は三つの面が一つの面になっているようで、目、口、耳がバツでふさがれていた。髪の色も黄色で、額から二本の角が生えている
 そして異様なのが、お尻から長い尻尾、まるで猿のような尻尾が生えていたのだ
 彼女は名前をキキさんと言い、文官兼参謀を務めている
 非常に頭がいいらしく、姫たちからの信頼も厚い
 ただ人見知りらしいので話しかけてもぺこりと頭を下げてくれただけだった
 頬を染めてそそくさと立ち去る姿が可憐で可愛い
 次にで会ったのは真っ赤でラフな着物(胸がこぼれそう)に真っ赤な髪、額から二本の角が生えてて、頭上には犬耳、お尻からは犬の尻尾が生えてる女性
 彼女は名前をアカネさんと言い、非常に元気な娘だった
 その人懐っこい笑顔は子犬のようで、皆に慕われているらしい
 部下の中で最も戦闘力が秀でているため戦闘班のトップを務めている
 僕たちに気づくと「ようこそっすー! たっぷり楽しんで行ってくださいっす!」と手を振りながら歓迎してくれた
 すごくかわいい笑顔を振りまいている。まるで太陽のような人だった
 そして次に会ったのが緑がかった青い着物にこれまた緑がかった青い髪、頭の横から上に反り返った二本の角を持ち、背中から雉のような彩り豊かな翼があった
 名前はソウカさん、偵察部隊を率いている情報のプロだという
 性格は温厚でおとなしく、ドジっ子気質なんだと教えてくれた
 ただ、それは見て分かった
 おっとりと歩き、何もないところでつまずくのでかなりフワフワした人なんだと思った
「あら~、私の胸当ては~、どこへ行ったのでしょう~?」
 ソウカさんはきょろきょろとあたりを探しながらこっちにやってきた
 フワフワした人というか、羽をはためかせて本当に飛んでいた
 案内係の女性が分からないというとまたどこかへ去って行った
 飛んでいればいいのになぜか着地して歩いて去ろうとしたためまたつまずいて転んでいた
 なんだか見ていてほっこりしてしまう
 今まで紹介された三人は姫たちの右腕で、三獣鬼と呼ばれている獣人と鬼人のハーフだ
 幹部は他にもいるらしいけどトップの三人全員に会えたのは幸運だったかもしれない。全員が城にそろっていることは少ないんだそうだ
 三獣鬼もそれぞれ独特の刀を持っていて、それも教えてくれた
 キキさんはかなり長い太刀で、「円(まどか)」というらしい
 能力は自分の間合いに入った敵を自動で斬りつける
 アカネさんの刀は二振りの小太刀で、「閃(せん)」といい、自分の見ている範囲内ならどこだろうと斬りつけることができるらしい。何それ怖い
 ソウカさんが持つのは身の丈ほどもある巨大な幅広の刀「断(だん)」
 その能力は地面に突き立てることで地面を断裂させて相手を飲み込む豪快な力だ
 この能力は突き立てる高さによって範囲を広げる
 つまり空を飛べる彼女は上空から地面に向かって刀を突き立てることによって災害並みの威力を発揮することができるのだ
 ちなみに他の幹部の人達も動物系の鬼仙、仙人の力を持った鬼だそうで、その人たちも相当に強いんだとか
 そして幹部は他にも六人いるみたい
 ただ、幹部ではないにも関わらず姫二人に付きそうことを許されている妖怪族の少女がいて、偶然にもその子と出会った
 すねこすり族で、名前はネネコちゃんっていうらしい
 ちょこちょこと歩く姿はかなり可愛く、周囲の人を微笑ませていた
 彼女は孤児で、姫たちに拾われたそうで、二人にすごく懐いている
「ようこそ、お城にようこそですよ」
 そう言って歓迎してくれるネネコちゃんからは一生懸命さが伝わって来た
 気づいたら僕は思わず頭を撫でていた。嬉しそうに目を細める姿がまた可愛いねぇ
 そうやって城を見て回り、見物し終わるとすでに夕方だった
 取っていた宿に戻ると、名物である温泉にゆっくりと浸かって疲れを取る
 体の芯から疲れが取れている感じがして頬も緩むね
 明日の予定を頭でたてながら宿に敷かれていた布団に潜り込むとすぐに睡魔と友達になり眠った
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