486 / 487
妖精の国11
しおりを挟む
トラブルはあったけど無事に解決したかな?
完全な解決とは言えないけど、この国は平和を取り戻した
「あの人の様子はどう?」
「はい、先ほど目を覚まして混乱している様子でした」
あの人というのは、魔物化をレジストしてフィオナちゃんによって人間に戻れた冒険者の男性のこと
「会わせてもらえるかな?」
「はい、こちらです」
悪魔化した冒険者を倒した後、私達は妖精女王の元へ戻っていた
ララフェルに案内してもらって人間に戻れた男性に会う
「君は・・・。そうか、僕は君のおかげで助かったんだね。君の心の声が僕を引き戻してくれたんだ。ありがとう、礼を言うよ。僕はハン・ヘル。しがない冒険者だよ。あいつらとは元々幼馴染だったんだけど・・・。そうか、彼らは亡くなったんだね」
悲しそうな顔をするハン
「あなたは、あなた達はなぜ魔物化したんですか?」
「・・・。彼らも元々はあんな性格じゃなかったんだ。僕たちは子供のころから冒険者に憧れててね。いつか世界に名を轟かす強い冒険者になろう。そう誓い合っていたんだ。だけど、あの時、あの日を境にあいつらは変わった。リーダーのイル。あいつは誰にでも優しくて、率先して弱い人たちを守る男だった。魔法使いのアンナ。彼女は僕達の憧れで、慈愛深い聖母のような人だった。タンクのガンゼ。あいつはお調子者だが決して誰かを好き好んで傷つけるやつじゃなかった。それが、変な男と会って、何かを囁かれてからおかしくなったんだ」
「変な男?」
「ああ、顔に仮面をかぶっていたから正体は分からないが・・・。優しかったイルは常に傲慢に人を見下すようになり、アンナは自分より美しいと思う女性に嫉妬して裏で殺人を、ガンゼは性欲が止まらなくなり、これと思った女性をストーカーするようになった。絶対あの男が何か関わってるはずなんだ」
「あなたはなぜ打ち破れたんですか?」
「それは、俺にもわからない。ただあいつに話しかけられてからは体がいつもダルくてな。何をするにもやる気が起きなかったんだが・・・。そう言えば何週間か前にガンゼが聖女を襲おうとして魔法で攻撃されたんだが、そのとき俺を盾にしてな。そこからダルさもなくなって意識もはっきりした気がする」
「それは恐らく聖魔法、セイントロアという聖なる魔法です」
ララフェルさんが少し考えこんだのちに導き出した聖魔法の名前
確か意識が混乱していたり、狂気に満ちてた時に
「てことはだよミア、聖魔法で意識が戻ったってことかな?」
「それはあるかもしれないわね」
悪魔化、魔物化とは違うのかもしれない
悪魔は聖に弱いっていうのは元の世界では常識だった
だからハンは人に戻れた、のかな?
まだまだ分からないことだらけだ
ひとまずハンは故郷に帰るみたい
そして最後に私は、これだけは言っておきたかった
「ごめんなさいハンさん。私達がもっと彼らのことを調べていれば、助けられたかもしれないのに」
「いや、俺たちの心の弱さが招いた結果だ・・・。違うな、俺の弱さだ。俺が意識を取り戻したときになぜ戻ったのかを理解できていれば、調べて知っていれば、あいつらも元に戻れたかもしれない。これは俺が一生背負っていく咎だ。君たちが気に病むことじゃない」
「でも」
「だったら、そうだな。あいつらの名前を憶えていてやってくれ。暴挙ばかりしていたあいつらは本当のあいつらじゃない。優しいイル、愛情深いアンナ、周りを明るくしてくれていたガンゼ。それが本当の、あいつらだから」
「分かりました。生涯、忘れません!」
ハンさんはもう一度妖精たちに謝ると、故郷へと帰って行った
完全な解決とは言えないけど、この国は平和を取り戻した
「あの人の様子はどう?」
「はい、先ほど目を覚まして混乱している様子でした」
あの人というのは、魔物化をレジストしてフィオナちゃんによって人間に戻れた冒険者の男性のこと
「会わせてもらえるかな?」
「はい、こちらです」
悪魔化した冒険者を倒した後、私達は妖精女王の元へ戻っていた
ララフェルに案内してもらって人間に戻れた男性に会う
「君は・・・。そうか、僕は君のおかげで助かったんだね。君の心の声が僕を引き戻してくれたんだ。ありがとう、礼を言うよ。僕はハン・ヘル。しがない冒険者だよ。あいつらとは元々幼馴染だったんだけど・・・。そうか、彼らは亡くなったんだね」
悲しそうな顔をするハン
「あなたは、あなた達はなぜ魔物化したんですか?」
「・・・。彼らも元々はあんな性格じゃなかったんだ。僕たちは子供のころから冒険者に憧れててね。いつか世界に名を轟かす強い冒険者になろう。そう誓い合っていたんだ。だけど、あの時、あの日を境にあいつらは変わった。リーダーのイル。あいつは誰にでも優しくて、率先して弱い人たちを守る男だった。魔法使いのアンナ。彼女は僕達の憧れで、慈愛深い聖母のような人だった。タンクのガンゼ。あいつはお調子者だが決して誰かを好き好んで傷つけるやつじゃなかった。それが、変な男と会って、何かを囁かれてからおかしくなったんだ」
「変な男?」
「ああ、顔に仮面をかぶっていたから正体は分からないが・・・。優しかったイルは常に傲慢に人を見下すようになり、アンナは自分より美しいと思う女性に嫉妬して裏で殺人を、ガンゼは性欲が止まらなくなり、これと思った女性をストーカーするようになった。絶対あの男が何か関わってるはずなんだ」
「あなたはなぜ打ち破れたんですか?」
「それは、俺にもわからない。ただあいつに話しかけられてからは体がいつもダルくてな。何をするにもやる気が起きなかったんだが・・・。そう言えば何週間か前にガンゼが聖女を襲おうとして魔法で攻撃されたんだが、そのとき俺を盾にしてな。そこからダルさもなくなって意識もはっきりした気がする」
「それは恐らく聖魔法、セイントロアという聖なる魔法です」
ララフェルさんが少し考えこんだのちに導き出した聖魔法の名前
確か意識が混乱していたり、狂気に満ちてた時に
「てことはだよミア、聖魔法で意識が戻ったってことかな?」
「それはあるかもしれないわね」
悪魔化、魔物化とは違うのかもしれない
悪魔は聖に弱いっていうのは元の世界では常識だった
だからハンは人に戻れた、のかな?
まだまだ分からないことだらけだ
ひとまずハンは故郷に帰るみたい
そして最後に私は、これだけは言っておきたかった
「ごめんなさいハンさん。私達がもっと彼らのことを調べていれば、助けられたかもしれないのに」
「いや、俺たちの心の弱さが招いた結果だ・・・。違うな、俺の弱さだ。俺が意識を取り戻したときになぜ戻ったのかを理解できていれば、調べて知っていれば、あいつらも元に戻れたかもしれない。これは俺が一生背負っていく咎だ。君たちが気に病むことじゃない」
「でも」
「だったら、そうだな。あいつらの名前を憶えていてやってくれ。暴挙ばかりしていたあいつらは本当のあいつらじゃない。優しいイル、愛情深いアンナ、周りを明るくしてくれていたガンゼ。それが本当の、あいつらだから」
「分かりました。生涯、忘れません!」
ハンさんはもう一度妖精たちに謝ると、故郷へと帰って行った
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる