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妖精の国11

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 トラブルはあったけど無事に解決したかな?
 完全な解決とは言えないけど、この国は平和を取り戻した
「あの人の様子はどう?」
「はい、先ほど目を覚まして混乱している様子でした」
 あの人というのは、魔物化をレジストしてフィオナちゃんによって人間に戻れた冒険者の男性のこと
「会わせてもらえるかな?」
「はい、こちらです」
 悪魔化した冒険者を倒した後、私達は妖精女王の元へ戻っていた
 ララフェルに案内してもらって人間に戻れた男性に会う
「君は・・・。そうか、僕は君のおかげで助かったんだね。君の心の声が僕を引き戻してくれたんだ。ありがとう、礼を言うよ。僕はハン・ヘル。しがない冒険者だよ。あいつらとは元々幼馴染だったんだけど・・・。そうか、彼らは亡くなったんだね」
 悲しそうな顔をするハン
「あなたは、あなた達はなぜ魔物化したんですか?」
「・・・。彼らも元々はあんな性格じゃなかったんだ。僕たちは子供のころから冒険者に憧れててね。いつか世界に名を轟かす強い冒険者になろう。そう誓い合っていたんだ。だけど、あの時、あの日を境にあいつらは変わった。リーダーのイル。あいつは誰にでも優しくて、率先して弱い人たちを守る男だった。魔法使いのアンナ。彼女は僕達の憧れで、慈愛深い聖母のような人だった。タンクのガンゼ。あいつはお調子者だが決して誰かを好き好んで傷つけるやつじゃなかった。それが、変な男と会って、何かを囁かれてからおかしくなったんだ」
「変な男?」
「ああ、顔に仮面をかぶっていたから正体は分からないが・・・。優しかったイルは常に傲慢に人を見下すようになり、アンナは自分より美しいと思う女性に嫉妬して裏で殺人を、ガンゼは性欲が止まらなくなり、これと思った女性をストーカーするようになった。絶対あの男が何か関わってるはずなんだ」
「あなたはなぜ打ち破れたんですか?」
「それは、俺にもわからない。ただあいつに話しかけられてからは体がいつもダルくてな。何をするにもやる気が起きなかったんだが・・・。そう言えば何週間か前にガンゼが聖女を襲おうとして魔法で攻撃されたんだが、そのとき俺を盾にしてな。そこからダルさもなくなって意識もはっきりした気がする」
「それは恐らく聖魔法、セイントロアという聖なる魔法です」
 ララフェルさんが少し考えこんだのちに導き出した聖魔法の名前
 確か意識が混乱していたり、狂気に満ちてた時に
「てことはだよミア、聖魔法で意識が戻ったってことかな?」
「それはあるかもしれないわね」
 悪魔化、魔物化とは違うのかもしれない
 悪魔は聖に弱いっていうのは元の世界では常識だった
 だからハンは人に戻れた、のかな?
 まだまだ分からないことだらけだ
 ひとまずハンは故郷に帰るみたい
 そして最後に私は、これだけは言っておきたかった
「ごめんなさいハンさん。私達がもっと彼らのことを調べていれば、助けられたかもしれないのに」
「いや、俺たちの心の弱さが招いた結果だ・・・。違うな、俺の弱さだ。俺が意識を取り戻したときになぜ戻ったのかを理解できていれば、調べて知っていれば、あいつらも元に戻れたかもしれない。これは俺が一生背負っていく咎だ。君たちが気に病むことじゃない」
「でも」
「だったら、そうだな。あいつらの名前を憶えていてやってくれ。暴挙ばかりしていたあいつらは本当のあいつらじゃない。優しいイル、愛情深いアンナ、周りを明るくしてくれていたガンゼ。それが本当の、あいつらだから」
「分かりました。生涯、忘れません!」
 ハンさんはもう一度妖精たちに謝ると、故郷へと帰って行った
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