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魔王の王16
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フィオナちゃんを私の背中に乗せてひとまず今日は野営をすることになった
ニッサさんがアンデッド避けの魔法を展開して、さらにエルヴィスと私のダメ押し結界
これだけ強固ならよほど強いアンデッドではない限り大丈夫
フィオナちゃんはしばらくして目が覚めたけど、魔力切れのせいかまだ頭がガンガンするのと、眩暈があるみたい
「ご心配おかけしました」
「いいのよ。でもあまり無茶はしないでね?」
この任務が終わったら魔力を伸ばす方法を教えてくれるらしい
集中力が大事だから、こういう危険が伴う時にはできないんだって
「もう歩けそう?」
「はい、それは大丈夫です」
「でもま、ゆっくり休んで。ご飯や寝床の用意は僕達でやるから」
この二人がアイドルのように大人気な理由が分かる
単純に優しい。すごく
「はい、スープとパン。野菜はいっぱい入ってるから栄養はつくわよ。あとこれもね」
そう言ってニッサさんはスープとパン、そしてかったい干し肉をくれた
あじはまあ、うん、保存食にしては美味しい部類
干し肉はかなり固くて、ちっちゃな私の歯じゃ噛み切れなかったけど、ニッサさんが切り刻んでくれた
「さて、食べたらゆっくり寝ること! 疲れや寝不足はパフォーマンスを落としちゃうからね」
ニッサさんおかあさんみたい
翌朝
すっきりした目覚めで簡易テントから外に出ると、結界まわりはゾンビたちが浄化された後でいっぱいになってた
具体的に言うと灰が積もってた
「すごい結界ですね」
「ふふふ、そりゃあそうよ。教会で血のにじむような特訓したもの」
ドヤッてるニッサさん可愛い
「さて、目的地の魔王討伐場所はもうすぐよ」
「もうさすがにスケルトンドラゴンクラスは出ないだろうけど、気は抜かないようにね」
平原の丁度中心あたり
そこには石碑が一つ立っていた
死者の魔王への石碑じゃなくて、死者の魔王の犠牲者のための石碑
そこに、一人の何かが座っていた
ボサボサの髪に汚れてボロボロの服と体
死体が腐った臭いがする
「なんだ、人間か? 鳥人もいるようだな。私を再び殺しに来たか?」
「お前は、死者の魔王だな?」
「そう呼ばれていたのは知っていたが、ふむ・・・」
そのまま黙り込んでしまう魔王らしき者
「戦う気がないなら聞かせて欲しい。お前を甦らせたのはなんだ?」
「死者を操るのが私様の力だった。私様がかつて操った死者は、意志もありしっかりと受け答えできていたんだ。だがどうだ? 今私様の力は見る影もない」
「それがどうした? お前を甦らせたのは誰かと聞いてるんだ!」
声を荒げるクピアさん
「私様は、もうだめだ。こんな力じゃ、死者に申し訳が立たない。彼らは私様の、良き友だったというのに」
なんだか文献に残ってる話と違う
死者の魔王は陰湿で、死体の尊厳を貶めるのが好きだったって聞いたけど、いざ本人と会ってみると、まるでそんな感じはしないどころか、死体を丁寧に扱っていたような感じさえする
「私様は、もう間もなく再び眠りにつくだろう」
死者の魔王が自身のお腹を見せる
そこにはざっくりと何かで切り裂かれた痕があった
「まさか、自分で自分の体を?」
「私様はもう静かに、死者たちと眠りにつきたいのだよ。私様を、蘇らせたあの男・・・。情報が欲しいのだろう? あの男からは異質な気配がした。まるで、この世界にないものかのように。話せることはそれだけだ。それじゃあ、もう眠らせてくれ」
「ありがとう。死者たちの王」
「ふふ・・・」
魔王ではなく、死者に寄り添った王
それがこの人の本来の姿だったのかも
死者たちの王は最後に私達に優しく笑いかけて、ボロボロと崩れ去った
ニッサさんがアンデッド避けの魔法を展開して、さらにエルヴィスと私のダメ押し結界
これだけ強固ならよほど強いアンデッドではない限り大丈夫
フィオナちゃんはしばらくして目が覚めたけど、魔力切れのせいかまだ頭がガンガンするのと、眩暈があるみたい
「ご心配おかけしました」
「いいのよ。でもあまり無茶はしないでね?」
この任務が終わったら魔力を伸ばす方法を教えてくれるらしい
集中力が大事だから、こういう危険が伴う時にはできないんだって
「もう歩けそう?」
「はい、それは大丈夫です」
「でもま、ゆっくり休んで。ご飯や寝床の用意は僕達でやるから」
この二人がアイドルのように大人気な理由が分かる
単純に優しい。すごく
「はい、スープとパン。野菜はいっぱい入ってるから栄養はつくわよ。あとこれもね」
そう言ってニッサさんはスープとパン、そしてかったい干し肉をくれた
あじはまあ、うん、保存食にしては美味しい部類
干し肉はかなり固くて、ちっちゃな私の歯じゃ噛み切れなかったけど、ニッサさんが切り刻んでくれた
「さて、食べたらゆっくり寝ること! 疲れや寝不足はパフォーマンスを落としちゃうからね」
ニッサさんおかあさんみたい
翌朝
すっきりした目覚めで簡易テントから外に出ると、結界まわりはゾンビたちが浄化された後でいっぱいになってた
具体的に言うと灰が積もってた
「すごい結界ですね」
「ふふふ、そりゃあそうよ。教会で血のにじむような特訓したもの」
ドヤッてるニッサさん可愛い
「さて、目的地の魔王討伐場所はもうすぐよ」
「もうさすがにスケルトンドラゴンクラスは出ないだろうけど、気は抜かないようにね」
平原の丁度中心あたり
そこには石碑が一つ立っていた
死者の魔王への石碑じゃなくて、死者の魔王の犠牲者のための石碑
そこに、一人の何かが座っていた
ボサボサの髪に汚れてボロボロの服と体
死体が腐った臭いがする
「なんだ、人間か? 鳥人もいるようだな。私を再び殺しに来たか?」
「お前は、死者の魔王だな?」
「そう呼ばれていたのは知っていたが、ふむ・・・」
そのまま黙り込んでしまう魔王らしき者
「戦う気がないなら聞かせて欲しい。お前を甦らせたのはなんだ?」
「死者を操るのが私様の力だった。私様がかつて操った死者は、意志もありしっかりと受け答えできていたんだ。だがどうだ? 今私様の力は見る影もない」
「それがどうした? お前を甦らせたのは誰かと聞いてるんだ!」
声を荒げるクピアさん
「私様は、もうだめだ。こんな力じゃ、死者に申し訳が立たない。彼らは私様の、良き友だったというのに」
なんだか文献に残ってる話と違う
死者の魔王は陰湿で、死体の尊厳を貶めるのが好きだったって聞いたけど、いざ本人と会ってみると、まるでそんな感じはしないどころか、死体を丁寧に扱っていたような感じさえする
「私様は、もう間もなく再び眠りにつくだろう」
死者の魔王が自身のお腹を見せる
そこにはざっくりと何かで切り裂かれた痕があった
「まさか、自分で自分の体を?」
「私様はもう静かに、死者たちと眠りにつきたいのだよ。私様を、蘇らせたあの男・・・。情報が欲しいのだろう? あの男からは異質な気配がした。まるで、この世界にないものかのように。話せることはそれだけだ。それじゃあ、もう眠らせてくれ」
「ありがとう。死者たちの王」
「ふふ・・・」
魔王ではなく、死者に寄り添った王
それがこの人の本来の姿だったのかも
死者たちの王は最後に私達に優しく笑いかけて、ボロボロと崩れ去った
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