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勇者18
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このダンジョンがどこまで深いのかは分からないが、二人は既に覚悟を決めている
何が来ようとも立ち向かい、二人でこのダンジョンを突破する
一回り成長して強くなり、人々を守れるように
「結構流されたね。でも敵が一切出てこないや」
「私も水中を警戒してるんだけど、気配が全然ないの」
ただただ長い水路を流され続ける二人
その時間もすでに三十分を越えたところで、ようやく流れが穏やかになってきて、また広いドーム状のため池のような場所へと到着した
第二の試練場のようだ
「いる」
二人はすぐに気づいた
そこにいるのは大量の小魚
「痛っ!」
足にちくっとした痛みが走ったグルリシアは水中を見る
すると足に小魚が噛みついていた
それを皮切りに二人に小魚が群がってくる
「まずい!」
「アイスグランド!」
マーナが氷で足場を作って二人共その上に上がると、大量の小魚が下半身に食らいついていた
「痛い! 痛い!!」
マーナの方は美しいヒレを食い破られ、鱗が見るも無残にズタズタにされていた
「く、マーナ!」
グルリシアは槍の形状を変える
「貫け!」
大量の小さな槍に変わり、それがマーナに群がっていた小魚を全て貫いた
「う、ああ、足が、うう」
グルリシアが少ししか齧られていないのに比べ、マーナは酷い傷で出血も激しい
重要な血管がいくつか食い破られてしまったようだ
そのためなのか、水中に血がにじんでいき、小魚が興奮して動き回っている
「貫け! 貫け!」
小魚たちは土台に上がって這うようにしてマーナを狙って噛みついてくる
それをすべて槍で突き刺す
その間マーナは氷で傷口を塞いだ
凍傷のおそれがあるため長くはもたない止血法だ
「すぐ全部倒す!」
二人には回復手段がほぼない
グルリシアは焦っていた
「この! くそ、きりがない!」
「フロストティア!」
傷の痛みに耐えつつ、マーナは水滴を水中に垂らす
するとそこから小魚たちは一気に凍り付いて行くのが見えた
しかし小魚はなんと氷をかじってそこから脱出を果たした
「く、ぐあああ!」
マーナを楽にむさぼるためにはグルリシアを先に倒した方がいいと考えたのか、今度は彼の方に魚が群がって行く
皮膚を食い破られる耐えがたい痛みが彼を襲った
「こんな、こんなところで! 負けるものか!」
グルリシアの槍が光る
「僕は槍の勇者! この槍にかけて、人々を守ると誓ったんだ!」
分かれていた槍が集まり、一つの槍に戻ると、それが勝手に動いて小魚を次から次へと貫いていく
さらには分裂し、小魚を倒す速度が倍倍に増える
「メイガスランス!」
増殖増殖増殖
槍はどんどん増殖していって、およそ数百万匹はいたはずの小魚を圧倒するほどの量になり、全ての小魚を貫いて倒しきってしまった
「マーナ!」
なんとか試練はクリアしたものの、マーナの傷は深い
だがなんと槍が小さくなり、マーナの傷口に入り込むと何と傷口が塞がってしまった
「え、なにこれ、僕の槍がなんか」
「う、ありがとうグルリシア。痛みがなくなったわ」
マーナの傷は癒えている
いったいなぜ槍がそのように動いたのかは持ち主のグルリシアでも分からない
そもそもこの槍は彼が勇者になる前からいつの間にか持っていたものだ
様々な者が調べたものの、彼の槍に関してほとんど何もわかっていないのが現状だった
何が来ようとも立ち向かい、二人でこのダンジョンを突破する
一回り成長して強くなり、人々を守れるように
「結構流されたね。でも敵が一切出てこないや」
「私も水中を警戒してるんだけど、気配が全然ないの」
ただただ長い水路を流され続ける二人
その時間もすでに三十分を越えたところで、ようやく流れが穏やかになってきて、また広いドーム状のため池のような場所へと到着した
第二の試練場のようだ
「いる」
二人はすぐに気づいた
そこにいるのは大量の小魚
「痛っ!」
足にちくっとした痛みが走ったグルリシアは水中を見る
すると足に小魚が噛みついていた
それを皮切りに二人に小魚が群がってくる
「まずい!」
「アイスグランド!」
マーナが氷で足場を作って二人共その上に上がると、大量の小魚が下半身に食らいついていた
「痛い! 痛い!!」
マーナの方は美しいヒレを食い破られ、鱗が見るも無残にズタズタにされていた
「く、マーナ!」
グルリシアは槍の形状を変える
「貫け!」
大量の小さな槍に変わり、それがマーナに群がっていた小魚を全て貫いた
「う、ああ、足が、うう」
グルリシアが少ししか齧られていないのに比べ、マーナは酷い傷で出血も激しい
重要な血管がいくつか食い破られてしまったようだ
そのためなのか、水中に血がにじんでいき、小魚が興奮して動き回っている
「貫け! 貫け!」
小魚たちは土台に上がって這うようにしてマーナを狙って噛みついてくる
それをすべて槍で突き刺す
その間マーナは氷で傷口を塞いだ
凍傷のおそれがあるため長くはもたない止血法だ
「すぐ全部倒す!」
二人には回復手段がほぼない
グルリシアは焦っていた
「この! くそ、きりがない!」
「フロストティア!」
傷の痛みに耐えつつ、マーナは水滴を水中に垂らす
するとそこから小魚たちは一気に凍り付いて行くのが見えた
しかし小魚はなんと氷をかじってそこから脱出を果たした
「く、ぐあああ!」
マーナを楽にむさぼるためにはグルリシアを先に倒した方がいいと考えたのか、今度は彼の方に魚が群がって行く
皮膚を食い破られる耐えがたい痛みが彼を襲った
「こんな、こんなところで! 負けるものか!」
グルリシアの槍が光る
「僕は槍の勇者! この槍にかけて、人々を守ると誓ったんだ!」
分かれていた槍が集まり、一つの槍に戻ると、それが勝手に動いて小魚を次から次へと貫いていく
さらには分裂し、小魚を倒す速度が倍倍に増える
「メイガスランス!」
増殖増殖増殖
槍はどんどん増殖していって、およそ数百万匹はいたはずの小魚を圧倒するほどの量になり、全ての小魚を貫いて倒しきってしまった
「マーナ!」
なんとか試練はクリアしたものの、マーナの傷は深い
だがなんと槍が小さくなり、マーナの傷口に入り込むと何と傷口が塞がってしまった
「え、なにこれ、僕の槍がなんか」
「う、ありがとうグルリシア。痛みがなくなったわ」
マーナの傷は癒えている
いったいなぜ槍がそのように動いたのかは持ち主のグルリシアでも分からない
そもそもこの槍は彼が勇者になる前からいつの間にか持っていたものだ
様々な者が調べたものの、彼の槍に関してほとんど何もわかっていないのが現状だった
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