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魔王との戦い10
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「ど、どうしよう! ミアが連れて行かれちゃった!」
「ともかく私が魔法で水中に潜れるようにするから、固まって!」
メアリーの冷静な判断によってフィオナ達は泡に包まれ、そのまま湖の中へと飛び込んだ
フィオナ達が慌てている頃
水中の洞窟内に連れてこられたミア
意識は朦朧としていてはっきりとしない
「うー、うーん、くらくらする~」
「ククク、クキュルルル」
何かが笑っている声が聞こえるが、視界もぼやけていてそれが人型であること以外に何もわからない
笑い声からして女性のようだ
「かーわーいー、クキュルル、かーわーいーいーねー」
女性はミアを抱っこしたままその頭を優しく撫でる
「かーわい、かーわい。猫ちゃーんー、かわいーよー」
女性は満面の笑みで、ミアを心の底から可愛がっているようだ
それが何だか心地よくて、ミアは眠りについてしまった
「おねむ、ねむねむねー。かわーい、猫ちゃん、ねむねむー」
そのまま眠るミアを愛で続ける女性
まるで菩薩のような美しい笑顔
そこでふと女性はミアをクッションの上に寝かし治し、マグカップのようなものを食器棚から取り出して、どうやら紅茶を注ぎ始めたようだ
水中洞窟内部は空気が通っていて、水は入ってこない
彼女は普段からここで暮らしているのか、この空間は完全に彼女の生活空間だった
そこに、フィオナ達が遅れて到着した
「ミアを、私の家族を返して!」
剣をふるい、女性に斬りかかるが、女性は長く伸びた爪二本だけでその剣を簡単にはじき返してしまった
「じゃーまー、この子、わたーしのー猫ちゃん!」
「違います! 私の子です!」
爪と剣による斬り合いは苛烈さを増し、部屋の中は滅茶苦茶になって行く
「だーめ! これ、壊さなーいでー」
爪で弾かれ、剣戟がそれたところにたくさんの猫のぬいぐるみが置いてあり、そこに剣が当たりそうになったのを、彼女は身を挺してぬいぐるみを守った
それにより背中を切り裂かれ、血が吹き出る
「あっ!」
彼女はミアを攫ったが、ミアの今の状況を見れば危害は加えず、むしろ非常に可愛がっていたのが見て取れる
それにたくさんの猫のぬいぐるみ
この女性はただ猫が好きなだけなんだとフィオナは理解した
「今傷を塞ぎます」
剣を仕舞い、裂かれた背中を魔法で治療する
幸いにも深くはなく、フィオナの魔法でも十分に治療できた
「あ、う、猫ちゃん、猫、ちゃんー」
女性はぬいぐるみたちを抱きしめた後、ミアを見て泣きそうな顔をしている
「猫が好き、なんですね?」
「好きー、昔、からー。この子達、わたしーが、つくーった」
ぬいぐるみを指さし、女性はぬいぐるみを一つ、フィオナに渡した
「すごい、こんなに精巧に作れるなんて」
「わたしー、まーおうー、ベベルー!」
「え!?」
女性はなんと、自らを魔王と語った
「ともかく私が魔法で水中に潜れるようにするから、固まって!」
メアリーの冷静な判断によってフィオナ達は泡に包まれ、そのまま湖の中へと飛び込んだ
フィオナ達が慌てている頃
水中の洞窟内に連れてこられたミア
意識は朦朧としていてはっきりとしない
「うー、うーん、くらくらする~」
「ククク、クキュルルル」
何かが笑っている声が聞こえるが、視界もぼやけていてそれが人型であること以外に何もわからない
笑い声からして女性のようだ
「かーわーいー、クキュルル、かーわーいーいーねー」
女性はミアを抱っこしたままその頭を優しく撫でる
「かーわい、かーわい。猫ちゃーんー、かわいーよー」
女性は満面の笑みで、ミアを心の底から可愛がっているようだ
それが何だか心地よくて、ミアは眠りについてしまった
「おねむ、ねむねむねー。かわーい、猫ちゃん、ねむねむー」
そのまま眠るミアを愛で続ける女性
まるで菩薩のような美しい笑顔
そこでふと女性はミアをクッションの上に寝かし治し、マグカップのようなものを食器棚から取り出して、どうやら紅茶を注ぎ始めたようだ
水中洞窟内部は空気が通っていて、水は入ってこない
彼女は普段からここで暮らしているのか、この空間は完全に彼女の生活空間だった
そこに、フィオナ達が遅れて到着した
「ミアを、私の家族を返して!」
剣をふるい、女性に斬りかかるが、女性は長く伸びた爪二本だけでその剣を簡単にはじき返してしまった
「じゃーまー、この子、わたーしのー猫ちゃん!」
「違います! 私の子です!」
爪と剣による斬り合いは苛烈さを増し、部屋の中は滅茶苦茶になって行く
「だーめ! これ、壊さなーいでー」
爪で弾かれ、剣戟がそれたところにたくさんの猫のぬいぐるみが置いてあり、そこに剣が当たりそうになったのを、彼女は身を挺してぬいぐるみを守った
それにより背中を切り裂かれ、血が吹き出る
「あっ!」
彼女はミアを攫ったが、ミアの今の状況を見れば危害は加えず、むしろ非常に可愛がっていたのが見て取れる
それにたくさんの猫のぬいぐるみ
この女性はただ猫が好きなだけなんだとフィオナは理解した
「今傷を塞ぎます」
剣を仕舞い、裂かれた背中を魔法で治療する
幸いにも深くはなく、フィオナの魔法でも十分に治療できた
「あ、う、猫ちゃん、猫、ちゃんー」
女性はぬいぐるみたちを抱きしめた後、ミアを見て泣きそうな顔をしている
「猫が好き、なんですね?」
「好きー、昔、からー。この子達、わたしーが、つくーった」
ぬいぐるみを指さし、女性はぬいぐるみを一つ、フィオナに渡した
「すごい、こんなに精巧に作れるなんて」
「わたしー、まーおうー、ベベルー!」
「え!?」
女性はなんと、自らを魔王と語った
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