上 下
172 / 487

勇者11

しおりを挟む
 アルドシア国近郊の海域
 そこに超巨大クラーケンが現れ、周辺の海域を荒らしまわっているということで、勇者二人が派遣された
 二人は恋人同士で、種族こそ違うが互いに愛し合っている
 二人共仲間を持たず、お互いが仲間のようなものだった
「マーナ、ありがとう」
「いいのよグルリシア」
 ピュレイア王国の第三王女にして勇者のマーナの魔法により、海面を歩けるようになったアルドシアの勇者、エルフのグルリシア
 マーナは水人族のため、水中でも呼吸できるが、エルフのグルリシアはそうもいかない
 お互いに信頼し合っているため、ピュレイアは海に来てすぐに魔法をかけた
「さてと、早速のお出ましってところかな?」
 ザザンと海の波が荒れ始め、水が盛り上がったと思うと、巨大な触腕が現れて二人を叩きつぶそうと、水面に叩きつけた
「おそい!」
 グルリシアが槍を使ってその巨大触腕を受け流す
 自分の数百倍もある触腕を簡単に流したグルリシアは、槍の達人の上にマーナからの補助を受けている
 彼に取ってこの程度の魔物は取るに足らない敵だった
「それ!」
 二人を初撃でつぶせなかった時点で超巨大クラーケンの運命は決まっていた
 触腕の位置から本体の位置を割り出したグルリシアは、槍に自信の力を注ぐ
 すると槍が巨大化し、十分にクラーケンを貫けるサイズになる
 それを片手で持ち上げるグルリシア
 マーナの補助があってこそこの力を発揮できる
 槍はギュンと加速していき、クラーケンの心臓部を直撃し貫いた
 立った一撃で、この海域を荒らしていたクラーケンは息絶える
「ふぅ、これで終わりっと」
「さすがグルリシア!」
「君の補助があってこそだよ」
 少しイチャイチャしながら、二人の勇者は帰路につこうと海面を進み始めた
 そこに突如何かが飛んできて、海面に爆発を起こす
「なに!?」
 とっさに気配に気づいたマーナが結界魔法によって爆発を防ぐ
「勇者、死すべし」
 爆撃を放ったと思われる者は体に無数の目を持った人型の何かだった
 それは明らかに勇者を目の敵としており、二人を殺すという絶対の決意をその殺意から読み取れた
「これは、まずいね・・・」
 明らかに自分達よりも実力が上と理解できたグルリシアはマーナを抱え上げると、槍を放ってそれに乗り、能力を使って目にも取らぬ速さで逃げた
 被害を出さないために自分たちの国とは別方向へ
 それを見た何かは少し首をかしげると、二人を追うように空中を走り始めた
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう

天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。 侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。 その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。 ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...