122 / 487
異世界人5
しおりを挟む
ヴァンガルド王国に着いたレード、ピューリー、カインの三人
そこは悲惨な状況だった
「な、なに、これ・・・。お姉様これって」
「私は報告に戻るわ。レードさん、ピューリーを守ってあげて」
「ああ」
砂漠のオアシス大都市ヴァンガルド
蜃気楼のように揺らぎ、赤く美しい街だったヴァンガルドは、燃え盛る炎と、血によって赤く染まっていた
人が、一人も生き残っていない
一つの大国が完全に滅んでいた
「と、ともかく生存者を」
「よせピューリー。お前も探知魔法くらいは使えるだろう・・・」
「で、でも、ダットソンさんは、異世界人同盟でも、最強の一角で」
「精霊魔法が使われた形跡がある。激しい戦闘があったみたいだ。まだ彼が死んだとは限らない。俺たちがヴァンガルド内を見て来るから、ピューリーはここにいてくれ」
レードはピューリーに隠匿の力を注ぎ、完全に気配を絶った
「行こうカイン」
「・・・。うん」
中はもはやヒトの原型を保っていない死体であふれかえっていた
まるで紙でも千切るかのようにバラバラでぐしゃぐしゃ
ここまでの酷い光景を、二人は今まで見たことがなかった
込み上げる吐き気を我慢し、崩壊した王宮へ急ぐ
王宮は鉄壁の守りを誇っていたため、探知では分からない生存者がいるかもしれないとの判断だ
「この先か」
「ああ、レード、これって、人間の仕業だと思うか?」
「分からんが、魔物にしては人を殺し慣れている気がする」
魔物の場合は食べるために殺すか、縄張りを守るために殺す
しかしこの国での殺人行為は、まるで楽しんでいるかのようだった
「ここが王宮があった場所か。瓦礫の山だな」
王宮のがれきをどかすと、何かに守られた空間が現れた
「ここだ! 生存者がいたぞ!」
その中にいたのは王女一人と、彼女を取り囲むように泣いている子供達
たったそれだけだった
「無事でしたか王女様! 王様は? ダットソンさんはどうなったのです?」
「あ、ああ、あなたは、カインさん・・・。お父様は、民を守るため、自ら犠牲になりました。そこの、肉片が・・・。お父様、です。う、く、ううう」
王女の指さす方向にある真っ赤な肉片
やはり王も原型をとどめないほどにバラバラになっていた
「ダ、ダットソンさんは、どうなったのです?」
「彼は、攫われました。最後まで精霊魔法で抵抗していましたが、両腕をもがれ、そのまま」
「そんな」
「この国を襲ったのは、あれは、人間のようで、人間ではありませんでした。そしてあの顔は、私は知っています。あれは、帝国十二覇人が一人、爆砕のテンリでした」
その名前に二人は声を失った
そこは悲惨な状況だった
「な、なに、これ・・・。お姉様これって」
「私は報告に戻るわ。レードさん、ピューリーを守ってあげて」
「ああ」
砂漠のオアシス大都市ヴァンガルド
蜃気楼のように揺らぎ、赤く美しい街だったヴァンガルドは、燃え盛る炎と、血によって赤く染まっていた
人が、一人も生き残っていない
一つの大国が完全に滅んでいた
「と、ともかく生存者を」
「よせピューリー。お前も探知魔法くらいは使えるだろう・・・」
「で、でも、ダットソンさんは、異世界人同盟でも、最強の一角で」
「精霊魔法が使われた形跡がある。激しい戦闘があったみたいだ。まだ彼が死んだとは限らない。俺たちがヴァンガルド内を見て来るから、ピューリーはここにいてくれ」
レードはピューリーに隠匿の力を注ぎ、完全に気配を絶った
「行こうカイン」
「・・・。うん」
中はもはやヒトの原型を保っていない死体であふれかえっていた
まるで紙でも千切るかのようにバラバラでぐしゃぐしゃ
ここまでの酷い光景を、二人は今まで見たことがなかった
込み上げる吐き気を我慢し、崩壊した王宮へ急ぐ
王宮は鉄壁の守りを誇っていたため、探知では分からない生存者がいるかもしれないとの判断だ
「この先か」
「ああ、レード、これって、人間の仕業だと思うか?」
「分からんが、魔物にしては人を殺し慣れている気がする」
魔物の場合は食べるために殺すか、縄張りを守るために殺す
しかしこの国での殺人行為は、まるで楽しんでいるかのようだった
「ここが王宮があった場所か。瓦礫の山だな」
王宮のがれきをどかすと、何かに守られた空間が現れた
「ここだ! 生存者がいたぞ!」
その中にいたのは王女一人と、彼女を取り囲むように泣いている子供達
たったそれだけだった
「無事でしたか王女様! 王様は? ダットソンさんはどうなったのです?」
「あ、ああ、あなたは、カインさん・・・。お父様は、民を守るため、自ら犠牲になりました。そこの、肉片が・・・。お父様、です。う、く、ううう」
王女の指さす方向にある真っ赤な肉片
やはり王も原型をとどめないほどにバラバラになっていた
「ダ、ダットソンさんは、どうなったのです?」
「彼は、攫われました。最後まで精霊魔法で抵抗していましたが、両腕をもがれ、そのまま」
「そんな」
「この国を襲ったのは、あれは、人間のようで、人間ではありませんでした。そしてあの顔は、私は知っています。あれは、帝国十二覇人が一人、爆砕のテンリでした」
その名前に二人は声を失った
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる