猫になったから気ままに暮らしたい

転生者4

「さて、アシュトとの話は後にしましょう。まずは勇者様の鎧を取りに行きます」
「取りに？　ここにはないんですか？」
　テリュシュさんはニヤッと笑って答える
「ダンジョンです！」
「だ、ダンジョン！？」
「はい、このクピト山の中腹にクピトダンジョンという迷宮があります。その最奥にメシアスーツという鎧が安置されているのです」
「メシアスーツ・・・」
「ええ、あなたのお父様、レノンが着用していた、聖なる鎧です」
「お父さん、が・・・」
　フィオナちゃんは本当のお父さんを見たことない
　生まれてすぐに今のお父さんであるターナーさんに連れられて国から逃げたから
　母親の姿すら見ることなく彼女は国を離れた
　勇者レノン、その妻であった王女カナン
　突如攻めてきた帝国により、亡国となったセリュシオンで二人は亡くなった
「メシアスーツは着用した者に見合った力を発揮します。あなたの父であるレノンは、他者を守り切る力を発揮しました。実に、レノンらしい力です」
「私、本当のお父さんがどんな人なんか知らない。でも、ターナーお父さんに、すごく強くて、優しい人だったって聞いた。だから私も本当のお父さんみたいに、誰かを守るために自分の力を使いたい」
「フフ、やはりレノンの子ですね。貴方なあそう言うと思っていました。そんなあなたならきっとダンジョンも攻略できるでしょう。アシュト、案内をしてあげなさい」
「はい！」
　あ、アシュト君が案内してくれるんだ
　道中でちょっとお話できそうだね
「では勇者様、こちらへ！」
　アシュト君の後に続いて立ち上がる
「勇者フィオナ。頑張ってくださいね。きっとあなたなら今のこの世界の現状を変えられると信じています」
　フィオナちゃんは深くうなづいた