猫になったから気ままに暮らしたい

猫の力27

　翌朝目を覚ましてあの少女の様子を見る
　ターナーさんは横の椅子に座ってうとうとと眠っている
　彼女は、まだ目は覚めてないけど、昨日息苦しそうにしていたのと打って変わって安らかな寝顔になってる
　こうしてみるとすごく可愛い
　見た目はまだ十五歳くらいかな？
　そんな少女があれだけの魔法を扱えるなんて、この世界すごいなぁ
　私は彼女に近づいてその顔をじっと見る
　すると
「う、うううん」
　目がぱちりと開いてガバッと起きあがった
「こ、ここは！？　何故私は生きて・・・」
「む、起きたか？　酷いけがだったんだ。ミアが治してなかったら死んでたかもしれないぞ。もう少し寝てなさい」
「あ、あああ、あなた、は・・・」
「ほら、寝てるんだ」
　ターナーさんは驚愕の表情を浮かべている彼女はまた寝かせる
「腹減っただろ？　今用意するから待ってろ」
「んなーん」
「ね、猫？　この子は・・・」
　私に気づいた少女。いきなり私を抱き上げてギュッと抱きしめた
「く、ううう、うぐっ、ぐすっ」
　ああ、そっか、やっぱりこの子はまだ少女なんだ
　エルフだから年齢は分からないけど、子供なんだ
「私は、あの方から逃げてしまった。あの方を救わなくちゃいけなかったのに、私は」
　やっぱり何かあるんだ
　でも今はその話をせずこの子のケアかな
　あまりにも、あまりにも心が壊れそうな危うい雰囲気があるから
「よし、できたぞ。簡単にめだまやきとベーコンのサンドだが、これが意外とうまい」
　いい匂い
　その匂いにつられたかのようにフィオナちゃんがむくりと起きあがって来た
「あ！　目覚ましたんだね！」
　エルフの少女に近寄るフィオナちゃん
「う、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。私は、私はあなた達を傷つけてしまった。私は、私は、私は、村を襲って」
「どういうことだ？　君はいったい」
　彼女の可愛らしい姿からは想像できないけど、村を襲った鎧の魔導士が彼女だ
　それを、彼女はどう説明するのだろうかにゃ
「私、私は、帝国の十二覇人が一人、魔導麗人のアリュエナ・ヴァンシルバ・・・。あなた達の村を襲った、魔導騎士」
「そんな・・・」
　ターナーさんは困ったような表情で耳の裏を掻く
　そしてフィオナちゃんは怒りをあらわにした目でアリュエナを見つめていた