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猫の力25

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 翌日
 朝早くに起きた私はすぐ王立図書館へ向かった
 この新アルト村は王都から人間の足で歩いて一時間ほどの距離しかない
 猫の足ならすぐだね
 まだ空いてなかったけど、猫ならどこからでも忍び込める
 少し開いてた窓があったから、そこから入り込んだ
 そういえば能力の一つに抜き足ってのがあって、気配を完全に絶って行動ができるようになる
 実はあの化け物を倒したあとに増えてたみたいなんだけど、さっき気づいたのよね
 だから朝早くから行動に移したってわけですよ
 さすが王立だけあって本の蔵書量が副都の比じゃない
 多すぎるから一日じゃ探せないかも
 まあ時間はあるから焦らず読もう
 まず見たのは歴史書の棚
 魔王に関する本も結構あった
 中には魔王を研究した本まであったよ
 それを引きずり出して読み始める
 なになに、魔王とは人々の悪意が産んだ純粋な悪たる生物である・・・
 いきなりな導入だね
 原初の魔王ラ・ウーは自らを悪意の塊と名乗っていたんだとか
 悪意の塊かぁ、本人がそう名乗ってたんならそうなんだろうね
 それから百年単位で魔王は生まれて、それと同時に反存在の勇者も生まれた
 勇者は魔王を討つために生まれるけど、時には魔王に敗れる勇者もいて、その際は世界は混乱し、飢餓や病が流行ったんだとか
 ふむふむ、ここに書かれている限り、魔王は人類にとっての害悪でしかないどころか、自然自体も破壊し始めるから、この世界にとってもかなり危険な存在みたい
 次に読み始めたのは前魔王についての本
 前の魔王の名前はクイーンバグという名前で、その名の通り蟲のような魔王だったらしい
 たくさんの虫を操って、バッタによる作物への被害が特に甚大だったんだけど、中でも彼女の力はクイーンと言って、蜂型の魔物に人間を襲わせて、針で刺された人間を操る力を持っていたんだとか
 操られている可能性が高い帝国の皇帝たち
 彼女は先代勇者との戦いで首をはねられて死んだとなっている
 死体も勇者が確認したから間違いないみたい
 でもその一年後に帝国の不審な動きが始まった
 帝国は突然先代勇者が平和に暮らしていた国に攻め入って、住民たちをほぼみなごろし、そのまま国を属国と言うにも卑劣な行いで乗っ取り、王族も、勇者も、そして勇者の妻となっていた聖女も、殺しつくした
 そっか、それでターナーさんはまだ赤ん坊だったフィオナちゃんを抱えて、この国まで逃げてきたんだ
 それにしてもこれは魔王復活が真実味を帯びてきたかも
 それで帝国はまっさきにその魔王に支配されて・・・
 うーん、猫たる私に何かできることはないかな?
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