14 / 410
国王の魔術師 前編
しおりを挟む
「以上で報告を終わります。英雄ターナーによると、帝国が我が国のみならず、同盟国にも潜伏しているようです」
「ふむ、戦争の準備を進めているとは思っていたが、すでに国に潜り込んでおるとは・・・。それに勇者の存在を知られてしまったとな。早めに手を打つ必要がある。フィオナ嬢の平穏のために」
バララスラ王国の王、ディオス・バララスラ
立派なひげを蓄え、威厳ある姿だが、優しい目をした男
その横には若く美しい少女が座り、さらにその横に凛々しい少年が座っている
少女の方はディオス王の娘、アリアス姫で、少年は双子の弟のアルバス王子
二人共頭がよく、王と同じく民を第一に考えれる仁王に育ってきている
「お父様、一度そのフィオナさんに会ってみたいのですが」
「ああ、その内になアリアス。ターナーはこれから彼女を勇者としての道を示すと言っていた。彼女はこれから忙しくなるだろう」
報告が終わり、王はすぐに指令を出した
周辺国へ帝国を警戒するよう通達と、潜り込んでいる帝国の間者への注意喚起
自国の領民であるアルト村への騎士の派遣
「帝国との戦いは避けられないか。ヴァレスク。また貴殿に助けを求めるのも都合がいいことは分かっている。しかし、国民を守るためには・・・」
「分かっておりますとも我が王。国を、国民を守れるならいくらでもこの身、捧げます」
白いローブを纏った女性。ヴァレスクと呼ばれた年齢不詳の女性は恭しく王にお辞儀をすると、扉を出て行った
ヴァレスク・ヴァレンティウス
魔人族という珍しい種族で、魔法のスペシャリスト
この国の守護者にして参謀という彼女は、王に大変な恩義を感じていた
幼少のころ村を魔物に襲われた彼女は、自ら魔物を討伐に来た若き日の王によって救われた
両親も、村の者も魔物にくわれ、唯一生き残っていたのが彼女だった
それ以来彼女は王のために勉学に励み、ついには王宮魔術師、果ては王の側近にまで上り詰めて国の英雄となった
ヴァレスクはこの国と王、そして民のためならばその命を賭しても惜しくないと考えていた
そんな彼女はまず勇者フィオナのいる村へ行き、帝国がなぜ勇者の存在を知ったのかを探ることにした
彼女の魔術は過去や思考を見ることができる
つまり村に来ていた帝国騎士の思考を過去視するのだ
転移魔法によって王のもとから数分後にはすでに村に着いたヴァレスク
彼女は角を隠したローブをさらに目深にかぶると、村の村長の元へ歩き出した
村長宅
「な、なんとヴァレスク様がこのような辺鄙な村へ、ようこそおいで下さいました」
「お、お構いなく・・・。それで、その、ああああの、て、帝国きしゅ、きち、帝国騎士の、あの、えっと、襲ったところに、あ、案内してもらえると、う、嬉しいなぁ、なんて」
彼女は王とその家族以外にはとんでもない人見知りだった
「もちろんですとも、ささ、こちらへ」
しかし彼女が人見知りなのは周知の事実だったため、村長も気にすることなく案内する
すでに燃やされた家何棟かは修復されている
ヴァレスクはそこに向かって魔術を行使した
「ヴィジョン」
彼女の頭に過去が流れ込んでくる
「・・・。ひどい」
そこには帝国騎士が子供二人を引きずり出して殺そうとする様子が浮かんでいた
だが帝国騎士は猫に猫パンチされて魅了状態になったことが見て取れた
「これが、報告にあった猫・・・。かわいい・・・」
取りあえず可愛い猫は置いておいて、帝国騎士の思考から過去を読み解くことにした
「ふむ、戦争の準備を進めているとは思っていたが、すでに国に潜り込んでおるとは・・・。それに勇者の存在を知られてしまったとな。早めに手を打つ必要がある。フィオナ嬢の平穏のために」
バララスラ王国の王、ディオス・バララスラ
立派なひげを蓄え、威厳ある姿だが、優しい目をした男
その横には若く美しい少女が座り、さらにその横に凛々しい少年が座っている
少女の方はディオス王の娘、アリアス姫で、少年は双子の弟のアルバス王子
二人共頭がよく、王と同じく民を第一に考えれる仁王に育ってきている
「お父様、一度そのフィオナさんに会ってみたいのですが」
「ああ、その内になアリアス。ターナーはこれから彼女を勇者としての道を示すと言っていた。彼女はこれから忙しくなるだろう」
報告が終わり、王はすぐに指令を出した
周辺国へ帝国を警戒するよう通達と、潜り込んでいる帝国の間者への注意喚起
自国の領民であるアルト村への騎士の派遣
「帝国との戦いは避けられないか。ヴァレスク。また貴殿に助けを求めるのも都合がいいことは分かっている。しかし、国民を守るためには・・・」
「分かっておりますとも我が王。国を、国民を守れるならいくらでもこの身、捧げます」
白いローブを纏った女性。ヴァレスクと呼ばれた年齢不詳の女性は恭しく王にお辞儀をすると、扉を出て行った
ヴァレスク・ヴァレンティウス
魔人族という珍しい種族で、魔法のスペシャリスト
この国の守護者にして参謀という彼女は、王に大変な恩義を感じていた
幼少のころ村を魔物に襲われた彼女は、自ら魔物を討伐に来た若き日の王によって救われた
両親も、村の者も魔物にくわれ、唯一生き残っていたのが彼女だった
それ以来彼女は王のために勉学に励み、ついには王宮魔術師、果ては王の側近にまで上り詰めて国の英雄となった
ヴァレスクはこの国と王、そして民のためならばその命を賭しても惜しくないと考えていた
そんな彼女はまず勇者フィオナのいる村へ行き、帝国がなぜ勇者の存在を知ったのかを探ることにした
彼女の魔術は過去や思考を見ることができる
つまり村に来ていた帝国騎士の思考を過去視するのだ
転移魔法によって王のもとから数分後にはすでに村に着いたヴァレスク
彼女は角を隠したローブをさらに目深にかぶると、村の村長の元へ歩き出した
村長宅
「な、なんとヴァレスク様がこのような辺鄙な村へ、ようこそおいで下さいました」
「お、お構いなく・・・。それで、その、ああああの、て、帝国きしゅ、きち、帝国騎士の、あの、えっと、襲ったところに、あ、案内してもらえると、う、嬉しいなぁ、なんて」
彼女は王とその家族以外にはとんでもない人見知りだった
「もちろんですとも、ささ、こちらへ」
しかし彼女が人見知りなのは周知の事実だったため、村長も気にすることなく案内する
すでに燃やされた家何棟かは修復されている
ヴァレスクはそこに向かって魔術を行使した
「ヴィジョン」
彼女の頭に過去が流れ込んでくる
「・・・。ひどい」
そこには帝国騎士が子供二人を引きずり出して殺そうとする様子が浮かんでいた
だが帝国騎士は猫に猫パンチされて魅了状態になったことが見て取れた
「これが、報告にあった猫・・・。かわいい・・・」
取りあえず可愛い猫は置いておいて、帝国騎士の思考から過去を読み解くことにした
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
45
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる