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登場人物(ネタバレ要素有)

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●リオ 十六歳
成人になったばかりで難しい年頃の傭兵の主人公。

紫色の目が特徴的で、赤味ががった暗い茶髪。
料理が好きで食への探求心が強い。
両親が殺されて、無一文で道端で倒れていた時(当時五歳)にツルギに拾われる。
当時は精神的ショックから無口で無表情だったが、その後改善されている。

家族(兄)として、剣の師匠としてツルギに懐いているブラコン(無自覚)。
ツルギに対してはツンデレな面を持ち、小言を言いながらも日頃から世話を焼いていた。
ツルギから色々と教育を受けて、無自覚に日本語ワードをそれなりに知っている。

九年間一緒に過ごし、イシエール共和国の独立戦争によって約二年半前に別れる。
普段は頭も周り、穏やかで素直な性格。
動体視力がとても良く、紫の眼には不思議な魔性を帯びている。

体術の評価が高いが、本人は剣士としての意識を持っているため、毎日剣の努力を欠かさずにしている。
強くなりたいというよりは「なりたい自分」になる事を目標にしながら、剣を振るっている。
ツルギに貰った日本刀が宝物で、刀の手入れはしているが、特段消耗もないので不思議に感じている。
十四歳から一人で生きてきたため、少し常識不足であったり、部分的に子供のような面が抜き切れていない。


●ツルギ 享年三十歳(リオが十四歳の時に死亡、生きてれば三十二歳)
黒目黒髪、日本人で傭兵の裏主人公。

お人よし、曲がったことが嫌い、正直な人。
寂しがり屋だが、他人と距離を置き、強がる。
酒大好き。動物好き。
絡み酒癖がひどく、二日酔いしやすい。

ある事情により本名を捨て「ツルギ」という名を自身でつけた。
異世界に召喚されたのは十五歳の時、リオと出会った当時は二十歳。
リオを可愛がるのが大好きで過保護な剣の師匠。
異世界で家族のような絆を感じているのはリオのみで、何もかも変わった環境の中で精神的に不安定だったが、耐える事が出来たのはリオのおかげだと思っている。
日本刀を自作してリオへ贈ったが、絆が欲しかった自身の心の現れでもある。

「なりたい自分になるために剣を握れ」の台詞は異世界に来た自身を励ます言葉でもあり、「自分が自分でいれるように」という強い想いを込めている。
精神的にはそれほど強くない。
カッコイイ大人を演出しようとしていたが、情けない部分を沢山見られている。

古い友であり恩人であるアルザストの頼みを承諾して、約二年半前にイシエール独立戦争に参加した。
独立戦争の最終戦では囮役として暴れた結果、敵兵を約五千人ほど屠った伝説を持つ。
最後の戦地だったイシェ平原は、イシエールという国名の語源にもなった。



●イルグルド・ミュラー 三十歳
リアナスタ王国の第三師団将軍。

堅い口調だが、金髪と緑の眼で凛々しい貴公子のような騎士。
二年前のイシエール独立戦争でツルギと戦い、左目をなくす。
ツルギに自分の強さを覆されて、逃げるだけでまともに戦えなかった臆病な自分を恥じている。

振り回していた必死な剣が、偶然ツルギの腹を突いた。
現在は「王国最強」と呼ばれている。
自分より弱いものを倒すという事で自分の自尊心を満足させようとしていたが、リオとの戦いの中で自らの精神的未熟さに気づく。
奥さんとは恋愛結婚だが、結婚後は尻に敷かれるようになった。
自己陶酔型、自己顕示欲の強いナルシスト。



●アルザスト・フォルス 三十七歳
リアナスタ王国の元ルヴェール辺境伯で、現在はイシエール共和国の元帥(トップ)

旧名はアルザスト・フォルス・ド・ルヴェール。
茶髪、琥珀色の目、平凡寄りな容姿だが、物腰柔らかく人望がある。
イシエール独立戦争では主導者・軍師として活躍して英雄的扱いだが、本人は謙虚で思慮深い人格者。

イシエールを共和国にしたのはツルギから民主主義を伝え聞いたから。
立憲君主制の在り方を十五年かけて研究して、現在も国力の強化を優先出来る国を目指している。
反乱理由は様々あるが、周辺諸国の情勢を危惧していて、先見の才があったために王国と共倒れにならないよう独立戦争を主導した。

十七年前に十五歳のツルギを保護しており、ツルギが異世界人だと知る数少ない一人。
友としてツルギの力を利用せずにいたかったが、恩義を返すために一度だけ協力してくれるというツルギとの過去の約束を行使し、戦争に巻き込んでしまった負い目がある。
イシエール独立戦争ではツルギが囮になって戦うという案に最後まで反対していたが、追い詰められた状況の最中に泣く泣く決行した。


●ルイン
イシエール共和国軍人、階級は少尉

リアナスタ王国との戦争前に、軍に一時雇用してもらおうと面接に訪れていたリオを気に入り、しつこく部下にならないかと勧誘した。
年若いリオは面接でかなり浮いた存在で目立っていたが、ルインが紹介状と履歴を片手に面接官達にリオを激推した。
二年前にツルギと接触していて、傭兵の自由さに惹かれる部分もあり、好意的。
今回の王国との戦後はリオと仲良くなりたいという思いもあり、リオの世話役に立候補した。


●サリア  二十七歳
「鋼の牙」の団長を務める麗人。

生まれは商家で、実家と相互協力の出来る少数精鋭の傭兵団を自ら立ち上げた。
創設時は副団長のロキを含め三人だったが、伝手を駆使して人数を増やしながら、戦略的に仕事をこなし、知名度を広げた。
傭兵の在り方について独自の感性を持っていて、表でひけらかしたりはしないが、頭がよく、リアリスト
見かけは中性的ではあるが、男性寄りの麗人。
美を尊ぶあまり、女性名を名乗っている。
口調が女性のものなのは、育った環境が女性に囲まれたものだった事や先進的文化に触れる機会があったため、人格形成に影響を受けた。
リオが死と紙一重の生き方をしているのを心配して、恩義せがましくない程度に世話を焼いている。
リオの体術を評価しており、剣術も磨けば光るとかなり腕をかっていて、鍛え上げて鋼の牙の次代を担う戦力にしたいという思っている。
リオがあくまで仕事上の付き合いで自分たちと交流し、警戒するほどではないが、懐いている訳でもないのを見抜いていて、どことなく自分と似通うものがあると思っている。
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