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序幕
9話 憎めない大人
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「木剣じゃなくて、本物の剣が欲しい」
「リオはまだ小さいから、重い剣は危ないだろ?」
―――懐かしい。
夢、なんて見るの久しぶりだな。
「小さくない。ちゃんと使える」
「じゃあ、木剣を持つ剣士は剣士じゃないのか?」
「え?・・・使う人によると思う」
「へー。どうしてそう思う?」
「だって、ツルギが使うなら木剣でも剣だ」
「えーと、その例えは同意しにくいぞ?じゃ、リオも木剣を使って剣士になれるじゃないか?」
「なにそれ。僕は剣がいい」
―――剣が欲しいって、ねだっていた頃だ。
いくつぐらいの歳だったかな・・・ツルギに文句言い始めたのと同時期かもしれない。
自分で言うのもだが、可愛げが足りなかった。
すこし気だるげなツルギは、二十代の癖に酒焼けのせいか少しだけしゃがれたような声だ。
「わりぃ!!いじわるしすぎた!うーん、木剣を使う剣士もいれば、剣を持ってても剣士になれない人もいる。剣を持つには、まず心が強くなくちゃならない。だから、心の成長が大事だ!
それに、体だってお前はまだ子供だからな?間違えるなよ。今はまだ駄目ってだけ!」
「心の成長・・・どんな風になればいい?ツルギの言葉って、たまに分からない」
「まずは、剣の事は置いておいて、リオはもっと子供らしい事をしとけ。好奇心は成長するのに大切だぞ!何かしたい事もあったら言えよ?それと、ちゃんとした剣はいつか俺が渡すから」
「ほんと?!」
「っぅ~!!それは反則!・・・こほんっ!もちろん本当だ!しっかり頑張れよ?
まぁ、俺が言いたかったのはあれだ。剣を使うってのは危険な事なんだ。おもちゃじゃないんだから、焦らないで欲しい」
「・・・わかった。思いっきり振り回せるし、しばらくこれでいい」
「そうそう、分かってきたじゃないか!・・・あの、リオ?厳しく言ってごめんな?お前が悪いんじゃないぞ。何度も言うけど、剣に関しては甘やかさないってだけだ」
「ううん、気にしてない。それって他の事では甘やかしてるって事?」
「え。いや、そうゆう意味じゃない!リオは料理も掃除もしてくれるし、買い物も。なんか、いつもすまん・・・あれ?むしろ甘やかされてるのは俺か?」
―――この時のツルギは、嫌われたくないって顔してて情けなかった。
俺が掃除しないと気が済まなくなったり、つまみ系のレシピが多くなったのも。
考えたら、全部ツルギが原因じゃないか?・・・子供に気を遣われる大人だったのは、確かだ。
「ツルギ、自分で言ってて恥ずかしくないの?」
「っぐ!お前、そうゆうとこ結構辛辣だよな!うう」
「だって、昨日も二日酔いっていうから、色々頼まれて大変だった。子供におつかいさせてるの?って、他の大人がうるさい」
「何も言い返せない・・・」
「それに・・・あまり心配させないで」
「?!リオッ!リオは本当にいい子だな!ツンデレ最高!!」
「また分からない言葉だ」
―――ツンデレって結局なんだったんだろう。
ツルギに聞いても教えてくれなかったからな・・・
ツルギが俺にあの力の事を打ち明けなかったのも、なんとなく分かる。
出会った時のイルグンドは、おもちゃを手に入れた子供のように剣を振り回しているようにしか、俺には見えなかった。
俺もあんな風になってたかもしれない。
思えば、真剣を渡されたのだって剣を習い始めて五年してからだった。
剣はしつこくねだってたから覚えている。
でも、剣をくれた時は何回もツルギが寸法と重さを調整してくれて、剣士として認められたんだって嬉しかった。
・・・ったく
酒飲まなきゃ、もっと一緒に鍛練出来たのに。
ま、ツルギだから仕方ないか
「リオはまだ小さいから、重い剣は危ないだろ?」
―――懐かしい。
夢、なんて見るの久しぶりだな。
「小さくない。ちゃんと使える」
「じゃあ、木剣を持つ剣士は剣士じゃないのか?」
「え?・・・使う人によると思う」
「へー。どうしてそう思う?」
「だって、ツルギが使うなら木剣でも剣だ」
「えーと、その例えは同意しにくいぞ?じゃ、リオも木剣を使って剣士になれるじゃないか?」
「なにそれ。僕は剣がいい」
―――剣が欲しいって、ねだっていた頃だ。
いくつぐらいの歳だったかな・・・ツルギに文句言い始めたのと同時期かもしれない。
自分で言うのもだが、可愛げが足りなかった。
すこし気だるげなツルギは、二十代の癖に酒焼けのせいか少しだけしゃがれたような声だ。
「わりぃ!!いじわるしすぎた!うーん、木剣を使う剣士もいれば、剣を持ってても剣士になれない人もいる。剣を持つには、まず心が強くなくちゃならない。だから、心の成長が大事だ!
それに、体だってお前はまだ子供だからな?間違えるなよ。今はまだ駄目ってだけ!」
「心の成長・・・どんな風になればいい?ツルギの言葉って、たまに分からない」
「まずは、剣の事は置いておいて、リオはもっと子供らしい事をしとけ。好奇心は成長するのに大切だぞ!何かしたい事もあったら言えよ?それと、ちゃんとした剣はいつか俺が渡すから」
「ほんと?!」
「っぅ~!!それは反則!・・・こほんっ!もちろん本当だ!しっかり頑張れよ?
まぁ、俺が言いたかったのはあれだ。剣を使うってのは危険な事なんだ。おもちゃじゃないんだから、焦らないで欲しい」
「・・・わかった。思いっきり振り回せるし、しばらくこれでいい」
「そうそう、分かってきたじゃないか!・・・あの、リオ?厳しく言ってごめんな?お前が悪いんじゃないぞ。何度も言うけど、剣に関しては甘やかさないってだけだ」
「ううん、気にしてない。それって他の事では甘やかしてるって事?」
「え。いや、そうゆう意味じゃない!リオは料理も掃除もしてくれるし、買い物も。なんか、いつもすまん・・・あれ?むしろ甘やかされてるのは俺か?」
―――この時のツルギは、嫌われたくないって顔してて情けなかった。
俺が掃除しないと気が済まなくなったり、つまみ系のレシピが多くなったのも。
考えたら、全部ツルギが原因じゃないか?・・・子供に気を遣われる大人だったのは、確かだ。
「ツルギ、自分で言ってて恥ずかしくないの?」
「っぐ!お前、そうゆうとこ結構辛辣だよな!うう」
「だって、昨日も二日酔いっていうから、色々頼まれて大変だった。子供におつかいさせてるの?って、他の大人がうるさい」
「何も言い返せない・・・」
「それに・・・あまり心配させないで」
「?!リオッ!リオは本当にいい子だな!ツンデレ最高!!」
「また分からない言葉だ」
―――ツンデレって結局なんだったんだろう。
ツルギに聞いても教えてくれなかったからな・・・
ツルギが俺にあの力の事を打ち明けなかったのも、なんとなく分かる。
出会った時のイルグンドは、おもちゃを手に入れた子供のように剣を振り回しているようにしか、俺には見えなかった。
俺もあんな風になってたかもしれない。
思えば、真剣を渡されたのだって剣を習い始めて五年してからだった。
剣はしつこくねだってたから覚えている。
でも、剣をくれた時は何回もツルギが寸法と重さを調整してくれて、剣士として認められたんだって嬉しかった。
・・・ったく
酒飲まなきゃ、もっと一緒に鍛練出来たのに。
ま、ツルギだから仕方ないか
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