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おまけ 後処理9
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翌日、会議3日目を迎えると議題は男性たちの処遇についてだった。
「帝国並びにメルダ様には大変無礼を働いてしまいました。皇国代表として先ずは謝罪させていただきます」
そうベネッタが深々と頭を下げる。ベネッタなら即刻断罪しそうなものだが、そうしなかったのには理由があった。
それは昨日の魔物の進攻を防いだ後、深夜だったにもかかわらずララを交えて皇国代表で話し合いが行われたのだ。そこで男性たちが裏で動いていたこと、男性たちへの扱いがぞんざいになっていたのではないかという問題提起、これからの皇国の行く末などこの会議直前まで話し合っていた。
その結果、ララの必死な訴えとベネッタ自身にも思い当たる節があり切り捨てるのではなく皇国上層部全体の問題として捉えることになったのだ。
「何故このような事態になったのですか?」
「お恥ずかしい話ではありますが、皇国内の軍部と内政部の軋轢が生んだことだと考えております」
「そうですか。では、どのような対応を取るおつもりですか?」
昨日までとは違いメルダは責任を追及するような言い方をしている。それはメルダがこれを好機と思ったからではなく帝国の命運を託そうとしたのを踏み躙られた憤りからだろう。
「この度の帝国の裏切りについての責任を軽くするという形で受け入れてはいただけないだろうか?」
「軽率に乗ってしまった私自身にも過失はありますが、帝国の名誉を傷つけ挙句、帝国に対する戦争行為を行おうとしていた者たちを実質無罪で見過ごせというのですか?」
ベネッタの提案に憤りをメルダは憤りを強めていた。が、そうなるのも無理もない。何故ならベネッタの提案した内容はメルダの言うように実質的に無罪にしろというものだ。
既に帝国の責任、罰の重さが決まっていればそこから差し引くことで調整できるが、その内容が決まっていない今その提案を呑むことは皇国側の裁量に委ねることになる。だからといって先に罪の重さを決めるのも今となってはもう遅い。
つまり、ベネッタは帝国の裏切りの罪を盾にこの件をなかったことにしようとしているのだ。
しかし、それはベネッタの独断ではなくララと男性を含めて全員で話し合った結果だった。
「皇国としては今回の件を差し引いてもあまりあるほど、慎みを持った罰を提案していると考えている。帝国側はそのことをご留意いただけないという解釈でよろしいのだろうか?」
そうベネッタも負けじと退かない。こうなると平行線であり当人同士の話し合いでは解決することは不可能だろう。
そこでようやくゼギウスに話が振られる。
「今回の件につきましてはゼギウス様を始め七英雄全体を侮辱する発言が多く見受けられましたが、七英雄はどのように考えているのですか?」
そう釘さしと援護を求める意味を込めてベネッタはゼギウスに問う。この件に関しては七英雄もまた被害者だった。
「七英雄に関しては触れずに進めるが、今の話については皇国の主張が理不尽だと判断する。理由は慎みを持った提案をしたと言ったが、その時点では慎みを持った提案をする理由がない。よって中立の者としては皇国には違う責任の取り方を要求する」
「処刑しろというのですか!?理不尽です!」
そうララが後ろから声を上げるが、それに対してゼギウスは冷たくあしらう。
「会議に口を挟むな。今は部外者の声は求めてねぇ」
「部外っ……申し訳ありません」
ララはそう言いながら俯いてしまう。あれだけ男性たちを守ろうとしていたのにこんなにあっさり、皇国民に拒絶される訳でもないのに何もできないのが悔しいのだろう。それをゼギウスに言われたのだから猶更だ。
「改めて言うが、これは人間界の秩序を保つための問題だ。この件で皇国側に何も罰を与えないならそもそも帝国も責任を負う必要がねぇ。何で敵対してる皇国に及ぼした影響で帝国が責任を取る必要があると思ってるんだ?」
「それとは話が違うだろう。帝国の行った行為は王国領に住む人々へも被害を及ぼしている。そこに対して償うため、被害国代表として皇国がこの場に立っているのだ」
ベネッタのその主張には無理があった。だが、それだけ男性たちを守ろうと必死なのだろう。そこからは男性たちに対する責任をベネッタも感じているのが伝わってきた。
しかし、ゼギウスはそれだけで許すほどこの会議の意味を軽く捉えてはいなかった。
「あのなぁ…都合のいい時だけ王国を持ち出すんじゃねぇよ。王国ってのはな現状存在しねぇんだよ。存在しないものに対して何を償うんだ?それに皇国の要求は旧王国領に住む人々に何の利もならなかった。不用意な発言は皇国の信用を下げるだけだぞ?」
「……今の発言は取り消します」
ララと同じようにベネッタも俯くと机の下で拳を強く握りしめる。自分の力の無さと軽はずみな発言で皇国の信用を下げかねなかったことが許せないのだろう。その想いは男性たちにしっかりと伝わっていた。
「もういい。私たちを処刑しろ。私たちを生かすことによって皇国に不利益を生むのは本意ではない」
「ですが、それでは約束が……」
ララは言葉が弱くなりながらも諦めない意思表示とばかりに声を振り絞る。それはもうどうにもならないと悟っているのだろう。そこへもう片方の男性が声を荒げた。
「図に乗るな!始めから無罪で乗り切れるとは思っていない!それとも何か?皇国に不利益を与えながらのうのうと生きろと言うのか!」
「生き延びてそれ以上の利益を生めばいいだけのことです!」
もう片方の男性の言葉に思いついたようにララは言葉を強めるが、男性たちの意思は変わらない。
「その甘さは武器にもなるが弱点にもなる。これを機会に学ぶのだな。それは皇国の糧になるだろう。私たちはそれで十分だ」
「ですが___」
それでもまだ止めようとするララには何を言っても無駄だと思ったのか、男性たちはララの言葉を聞く気がないように男性たちはその場を離れていく。それにゼギウスと闇商人、メルダがついて行った。
そこへララもついて行こうとするが、ベネッタが止める。男性たちがこの場を離れたのはララにその最期を見せないためだ。ベネッタはその意図を汲み取った。
離れた場所に移動すると闇商人が男性たちの手足を縛っていく。その最中、男性たちはゼギウスに話しかける。
「ゼギウス、最後に1つ皇国代表としていいか?」
「あぁ、好きにしろ」
「私たちが処刑された後、その後釜にレイネシアを推薦する。そうベネッタ様に伝えてもらいたい。ベネッタ様だけでは思慮に欠ける」
そう呆れたように男性が笑うともう片方の男性もつられて笑う。その様子からは死に対する恐怖を感じない。全てを受け入れているような態度だ。
そこまで男性たちを納得させたのはララやベネッタに皇国を任せられると思ったのと2人の誠意が見えたからだろう。
「分かった。そのことは伝えておくが、自分で言わなくてよかったのか?」
「まだレイネシアのことを認めた訳ではないからな。私たちが直接推薦した旨は伏せてほしいのだ」
その意図を察したようにゼギウスは提案する。
「いつか皇として相応しくなったら明かしといてやるよ」
「駄目だ。ゼギウスもゼギウスで甘すぎる」
「そうだ。お前もこれを教訓にしろ」
それにはお手上げといったようにゼギウスは手を上げる。すると、男性たちの手足を縛り終えた闇商人が男性たちの目を布で覆う。
それを終えると男性たちは跪いて首を前に差し出す。そこへゼギウスは無慈悲に剣を振り下ろした。
「帝国並びにメルダ様には大変無礼を働いてしまいました。皇国代表として先ずは謝罪させていただきます」
そうベネッタが深々と頭を下げる。ベネッタなら即刻断罪しそうなものだが、そうしなかったのには理由があった。
それは昨日の魔物の進攻を防いだ後、深夜だったにもかかわらずララを交えて皇国代表で話し合いが行われたのだ。そこで男性たちが裏で動いていたこと、男性たちへの扱いがぞんざいになっていたのではないかという問題提起、これからの皇国の行く末などこの会議直前まで話し合っていた。
その結果、ララの必死な訴えとベネッタ自身にも思い当たる節があり切り捨てるのではなく皇国上層部全体の問題として捉えることになったのだ。
「何故このような事態になったのですか?」
「お恥ずかしい話ではありますが、皇国内の軍部と内政部の軋轢が生んだことだと考えております」
「そうですか。では、どのような対応を取るおつもりですか?」
昨日までとは違いメルダは責任を追及するような言い方をしている。それはメルダがこれを好機と思ったからではなく帝国の命運を託そうとしたのを踏み躙られた憤りからだろう。
「この度の帝国の裏切りについての責任を軽くするという形で受け入れてはいただけないだろうか?」
「軽率に乗ってしまった私自身にも過失はありますが、帝国の名誉を傷つけ挙句、帝国に対する戦争行為を行おうとしていた者たちを実質無罪で見過ごせというのですか?」
ベネッタの提案に憤りをメルダは憤りを強めていた。が、そうなるのも無理もない。何故ならベネッタの提案した内容はメルダの言うように実質的に無罪にしろというものだ。
既に帝国の責任、罰の重さが決まっていればそこから差し引くことで調整できるが、その内容が決まっていない今その提案を呑むことは皇国側の裁量に委ねることになる。だからといって先に罪の重さを決めるのも今となってはもう遅い。
つまり、ベネッタは帝国の裏切りの罪を盾にこの件をなかったことにしようとしているのだ。
しかし、それはベネッタの独断ではなくララと男性を含めて全員で話し合った結果だった。
「皇国としては今回の件を差し引いてもあまりあるほど、慎みを持った罰を提案していると考えている。帝国側はそのことをご留意いただけないという解釈でよろしいのだろうか?」
そうベネッタも負けじと退かない。こうなると平行線であり当人同士の話し合いでは解決することは不可能だろう。
そこでようやくゼギウスに話が振られる。
「今回の件につきましてはゼギウス様を始め七英雄全体を侮辱する発言が多く見受けられましたが、七英雄はどのように考えているのですか?」
そう釘さしと援護を求める意味を込めてベネッタはゼギウスに問う。この件に関しては七英雄もまた被害者だった。
「七英雄に関しては触れずに進めるが、今の話については皇国の主張が理不尽だと判断する。理由は慎みを持った提案をしたと言ったが、その時点では慎みを持った提案をする理由がない。よって中立の者としては皇国には違う責任の取り方を要求する」
「処刑しろというのですか!?理不尽です!」
そうララが後ろから声を上げるが、それに対してゼギウスは冷たくあしらう。
「会議に口を挟むな。今は部外者の声は求めてねぇ」
「部外っ……申し訳ありません」
ララはそう言いながら俯いてしまう。あれだけ男性たちを守ろうとしていたのにこんなにあっさり、皇国民に拒絶される訳でもないのに何もできないのが悔しいのだろう。それをゼギウスに言われたのだから猶更だ。
「改めて言うが、これは人間界の秩序を保つための問題だ。この件で皇国側に何も罰を与えないならそもそも帝国も責任を負う必要がねぇ。何で敵対してる皇国に及ぼした影響で帝国が責任を取る必要があると思ってるんだ?」
「それとは話が違うだろう。帝国の行った行為は王国領に住む人々へも被害を及ぼしている。そこに対して償うため、被害国代表として皇国がこの場に立っているのだ」
ベネッタのその主張には無理があった。だが、それだけ男性たちを守ろうと必死なのだろう。そこからは男性たちに対する責任をベネッタも感じているのが伝わってきた。
しかし、ゼギウスはそれだけで許すほどこの会議の意味を軽く捉えてはいなかった。
「あのなぁ…都合のいい時だけ王国を持ち出すんじゃねぇよ。王国ってのはな現状存在しねぇんだよ。存在しないものに対して何を償うんだ?それに皇国の要求は旧王国領に住む人々に何の利もならなかった。不用意な発言は皇国の信用を下げるだけだぞ?」
「……今の発言は取り消します」
ララと同じようにベネッタも俯くと机の下で拳を強く握りしめる。自分の力の無さと軽はずみな発言で皇国の信用を下げかねなかったことが許せないのだろう。その想いは男性たちにしっかりと伝わっていた。
「もういい。私たちを処刑しろ。私たちを生かすことによって皇国に不利益を生むのは本意ではない」
「ですが、それでは約束が……」
ララは言葉が弱くなりながらも諦めない意思表示とばかりに声を振り絞る。それはもうどうにもならないと悟っているのだろう。そこへもう片方の男性が声を荒げた。
「図に乗るな!始めから無罪で乗り切れるとは思っていない!それとも何か?皇国に不利益を与えながらのうのうと生きろと言うのか!」
「生き延びてそれ以上の利益を生めばいいだけのことです!」
もう片方の男性の言葉に思いついたようにララは言葉を強めるが、男性たちの意思は変わらない。
「その甘さは武器にもなるが弱点にもなる。これを機会に学ぶのだな。それは皇国の糧になるだろう。私たちはそれで十分だ」
「ですが___」
それでもまだ止めようとするララには何を言っても無駄だと思ったのか、男性たちはララの言葉を聞く気がないように男性たちはその場を離れていく。それにゼギウスと闇商人、メルダがついて行った。
そこへララもついて行こうとするが、ベネッタが止める。男性たちがこの場を離れたのはララにその最期を見せないためだ。ベネッタはその意図を汲み取った。
離れた場所に移動すると闇商人が男性たちの手足を縛っていく。その最中、男性たちはゼギウスに話しかける。
「ゼギウス、最後に1つ皇国代表としていいか?」
「あぁ、好きにしろ」
「私たちが処刑された後、その後釜にレイネシアを推薦する。そうベネッタ様に伝えてもらいたい。ベネッタ様だけでは思慮に欠ける」
そう呆れたように男性が笑うともう片方の男性もつられて笑う。その様子からは死に対する恐怖を感じない。全てを受け入れているような態度だ。
そこまで男性たちを納得させたのはララやベネッタに皇国を任せられると思ったのと2人の誠意が見えたからだろう。
「分かった。そのことは伝えておくが、自分で言わなくてよかったのか?」
「まだレイネシアのことを認めた訳ではないからな。私たちが直接推薦した旨は伏せてほしいのだ」
その意図を察したようにゼギウスは提案する。
「いつか皇として相応しくなったら明かしといてやるよ」
「駄目だ。ゼギウスもゼギウスで甘すぎる」
「そうだ。お前もこれを教訓にしろ」
それにはお手上げといったようにゼギウスは手を上げる。すると、男性たちの手足を縛り終えた闇商人が男性たちの目を布で覆う。
それを終えると男性たちは跪いて首を前に差し出す。そこへゼギウスは無慈悲に剣を振り下ろした。
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