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雑用少年、追放される
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「出てけ、ノロマ。追放だ」
「え?」
突然の宣告に、僕はポカンとする。
「ホントにノロマだな。お前はもうこのパーティーには必要ない。追放する、と言ったんだよ。分かったか」
「そ、そんな……!」
やっとその意味を飲み込めた。
けれど、素直にはいと頷けるはずもない。
「な……、お願いします、ここにおいて下さい! 僕が、他に行くところなんて……!」
なぜ、と言いそうになったのは堪えた。
理由なんか聞かなくたって分かる。
力もない。魔力もない。体力もない。
ないない尽くしの僕だ。
そんな僕が、急成長を遂げて注目の的になっているCランクの冒険者パーティ―『閃光の剣』にいるのだ。
足手まといだ、と周囲から言われていたし、僕自身だって分かってる。
僕がしていたのは、いわゆるパーティーの“雑用“に過ぎない。
いてもいなくても、何とでもなるのだ。
それでも、孤児院出身の僕がまともに稼げるとしたら、冒険者になる以外に道はなかった。
同情だったとしても、このパーティーに拾ってもらえたのだ。
追い出されたら、他に行く所なんてない。
だから、必死になって縋ったのだけど。
「知るか。低ランクだった頃ならまだしも、これから俺たちはもっと強くなる。強くなれる。お前みたいな足手まといがいたら、先に進めねぇんだよ」
ガシャン、と音を立てて、僕の前に布袋が投げられる。
「手切れ金だ。じゃあな」
それだけ言って、リーダーが去っていく。
他のパーティーのメンバーたちは、僕に一言も言うことなく、リーダーについて行く。
場末の食堂。
今が食事の時間からズレていて良かった。
大号泣しても、迷惑掛けるのは店主だけで済んだから。
+++++
「どうしようかな……」
僕はとぼとぼ歩いていた。
手切れ金は、それなりの金額……と言っていいのだろうか。
僕の故郷……孤児院のある街まで片道どうにかギリギリ行けるくらいの金額だ。
出身地がそこだと話したことがあったから、要するにそこまでの運賃は出してくれたんだろう。
けど、帰れない。
帰れるくらいなら、出てきたりしない。
産業も何もない小さな街。そこの孤児院なんて、お世辞にも裕福じゃない。
街に到着する頃には、僕は無一文だ。
そんな僕を置いてなどくれないだろう。
「もう、いいかな」
なんで、こんな時に川にかかる橋にちょうど出てしまったんだろうか。
川は流れが急だ。落ちたら、まず助からない。
そのせいで、ここはある意味自殺スポットとなっている。
フラフラと吸い込まれるように、橋の手すりに手を掛ける。
そのまま腕に力を入れて……。
「何してんだ、てめぇは」
後ろから掛けられた声に驚いて、腕から力が抜けた結果、僕はそのまま尻餅をついてしまった。
+++++
「……僕は、ポートと言います」
何でこんな事になったんだろう。
そう思いながら、僕は自己紹介した。
目の前にいるのは、ソロで冒険者をやっているBランクのゲルトさんだ。
上位に行くほどにパーティーを組む人が多いのに、ずっとソロでやっていることで有名な人だ。
そんな人に橋で声を掛けられて、問答無用で襟首つかまれて引っ張られて、気付けばゲルトさんのお家にお邪魔していた。
「――んで?」
「え?」
「なんだって、自殺なんぞしようとした?」
ぐ、と唸った。
バレてたんだ、と思うが、あの場で橋の手すりに掴まってすることなんて、一つだけだ。
でも、初対面の人になんでそんな事話さなきゃなんないんだ。
そう思ってゲルトさんを睨み付けたけど、ゲルトさんは僕を見てなかった。
のんびり茶なんか飲んでいる。
ムカッときた。
自分から聞いたんだから、もう少し聞く姿勢があってもいいんじゃないだろうか。
そう思って、気付いたら僕は、最初から最後まで全部ぶちまけていたのだった。
+++++
「ふーん」
聞き終えたゲルトさんは、非常につまんなそうに一言言った。
「それだけですか。聞いたのはそっちじゃないですか」
「それだけだ。オレに何期待してんだよ」
呆れたように言われたけど、自殺しようとしたのをわざわざ声を掛けて止めて、家に連れてきて、話を聞こうとしてくれたんだ。
当然、もっと何かあると思うだろ。
「まあ『閃光の剣』の話は聞いたことあるが。たいしたことねぇな。今以上には上がれねぇだろうな」
「は?」
僕の話を聞いて、何がどうしてそういう考えに行き着くのか。
「どういうことですか! 皆、すごいんです! 皆強くて、最短でCランクまで駆け上がったのだって、当然で……!」
ムキになって言い返したら、意外そうな顔をされた。
「追い出されたってのに、ずいぶん必死だな。恨んでねぇのか」
「…………………恨んでなんか、ないですよ」
だって、僕みたいな役立たずを追い出すなんて、当然のことだ。
恨めるはずない。
「ふーん」
さっきと同じだけど、でもさっきのつまらなそうな反応とは、何か違う気がした。
真っ直ぐ僕の目を見てきて、怯んで逸らしてしまう。
「知ってっか。雑用ってな、面倒なんだ」
「は?」
唐突に、ゲルトさんが語り始めた。
「雑用の最たるモノは、メシ作りだろうが……簡単にはいかねぇ。水・食材の確保、火を熾して、調理して。事前の準備も事後の後片付けもめんどくせぇ」
「……はぁ」
まあ確かに面倒と言えば面倒かもしれないけど。
でも、突然何なんだ?
「他には、ポーションとか色んなアイテム揃えたりもしてたか? 目的地までの道順調べたり、情報集めたり?」
「はい、してましたけど。でも、そんなの僕じゃなくても、できることです」
そのくらいしか、誰でもできることしか、僕ができることはなかったのだ。
誰でもできるんだから、僕がいる必要なんか、なかった。
「そうだな。でも言っただろ。面倒なんだよ、そういうの。その面倒を、一度誰かに押しつけて楽を覚えると、なかなか戻れねぇ」
「え?」
「果たして、そいつらはどうなるだろうねぇ。全部てめぇにやらせていた雑用を、果たしてちゃんとやれるのか。楽しみだ」
ニヒヒ、と笑うゲルトさんは、はっきり言って今まで僕が見たどの悪人よりも、悪人面だった。
+++++
結論から言うと、たぶんゲルトさんの言うとおりになったんだろう。
『閃光の剣』はそこから上がれなくなった。
仲間割れを起こして、パーティーそのものが解散したらしい。
それを聞いたとき、僕は驚いた。
ゲルトさんの反応は違った。
「なんだ、つまんねぇ。普通こういうのって、旅に出た先で大揉めに揉めて、全滅するもんじゃねぇのかよ」
「……物騒なこと言わないで下さいよ」
冗談じゃない。
そういう話も時々聞くだけに、洒落にならなかった。
+++++
で、それからの僕はというと。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴を上げた。
「うるさいわよ、ポート」
「あんまり声を上げると、魔物が寄ってくるぞ」
「そんなこと、言われてもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
僕は肩に担がれていた。
そのまま全力疾走されているのだ。
からかうように言われたけど、悲鳴をあげずにどうしろというのか。
あれから、ゲルトさんは僕をとある冒険者パーティーに紹介してくれた。
Cランクパーティー『筋肉集団』。
……もうちょっと、パーティー名なかったんだろうか。
ムキムキマッチョの男女集団だから、この上なく分かりやすいけど。
そろそろBランクへの昇格も目前というこのパーティー。
雑用しかできない、と何のひねりもなく紹介されたとき、その目が輝いた、ように見えた。
「メシは作れるか?」
「え、はい。あまり凝ったものは無理ですけど……」
「よし、採用!!」
ホントのホントにこれだけで、僕はこのパーティーに入った。
バンバン叩かれた肩が痛かった。
とにかく、食事作りが面倒で面倒でしょうがないらしい。でもやらないわけにいかない。
筋肉を維持するためには、食事は絶対に抜かせない。
でも食事なんか作りたくない。
基本的には外食していたようだけど、冒険中は、保存食を食べるか自炊するかの二択になることが多い。
で、保存食じゃ筋肉は維持出来ない! と自炊することにしているらしいが、じゃあ誰が作るんだ、という話になる。
その結果、壮絶なジャンケン勝負が繰り広げられるらしい。
ジャンケンはいいけど、ちゃんと料理できていたんだろうか。
聞いたら、全員の視線がそっぽを向いていた。
いいから保存食食べろよ、と思った。
一度食事を作って出したら、メチャメチャ喜ばれた。
消費する速さも量も半端なかった。
ただ、体力がないから、冒険の邪魔になってしまうことに変わりない。
と思ったら、肩に担がれて全力疾走されたのだ。
「これもいいトレーニングだ!」
……うん。僕が吐きそうになっていることを除けば、いいかもしれない。
とりあえず、この揺れに耐えられるようになろう、と心に決めた僕だった。
+++++
「ゲルトさん、こんにちは」
「また来たのかよ、てめぇは」
遠慮の欠片もなく、家の中に入って来やがったポートにツッコむが、奴はニコニコしたままだ。
「またってほど来てませんよ」
そのままキッチンに直行だ。
いい加減、オレも諦めた。
オレはゲルトと言う。
ソロで冒険者をやっている。
自殺しようとしていたポートを止めて、家に連れて帰ってきた日から、一ヶ月ほど経った。
『筋肉集団』に入って、どうやら上手くやっているようで安心した。
需要と供給は完全に一致していたが、だからといって絶対に上手くいくとは限らないからな。
初めて『筋肉集団』と冒険に出て、帰ってきたときの青白い顔と嘔吐は、忘れられそうにない。
こいつはダメか、と思ったが、ここまで何の問題もなく続いている。
ポートは、家主の許可も得ずに勝手に料理を始めている。
冒険が休みの日は、よくここに来ている。
来んのがダメってわけじゃないが、こいつが来ると、ある一人の男を思い出す。
オレだって、昔はパーティーを組んで冒険をしていた。
その中に、能力が低くてパーティーの雑用をやらせていた奴がいた。
そいつを、かつてのオレは、冒険の邪魔だとパーティーから追放したのだ。
『閃光の剣』と同じ事を、過去にやらかしていたのだ。
だから分かる。
雑用係、なんぞと言えば、たいしたことねぇように聞こえるが、実際の所は、雑用なんかじゃなく、冒険の土台となるものだ。
その土台を担ってくれてた奴を追い出し、大切にしなかった時点で、オレたちのパーティーは終わってた。
そいつを追い出した後、そのパーティーで冒険をしたのはたった一回。
たった一回で、パーティーはボロボロだった。死人が出なかったのが、奇跡だ。
追い出したそいつは、一体どこで何をどうしたのか、今や知らない者はいない、最高のSランク冒険者になっている。
こっちは、ただのBランク。低いわけじゃないが、Sランクとは比較にもならねぇ。
それからは、パーティーを組む気にもならず、ソロでやっていた。
偶然、パーティーの雑用をやってた奴が追い出された、って話を食堂の主人から聞いた時、アイツの顔がよぎった。
気付けば必死になって探して、自殺一歩手前の所を確保したって訳だ。
確保したところで何すりゃいいか分からんし、話を聞いたところでどうすりゃいいかも分かんねぇ。
だからオレの思うところをただ言っただけなのだが、奴なりに考えたのか、持ち直したようだ。
ちなみに、『閃光の剣』が解散したのは、オレがポートを拾ってから十日ほどだ。
冒険者ギルドで、喧嘩している姿がよく見られていたらしい。
「あの役立たずの雑用係を連れ戻す!」
そう息巻いていた所にオレは遭遇し、とりあえずぶん殴っておいた。
雑用の大切さを分かった上で、頭を下げて戻ってきてもらう、と言うならともかく、ひどい言い草だ。
いきなりぶん殴ったことについては問題になりかけたが、ギルド側に事情を説明したら納得してもらえた。
ついでに、『閃光の剣』はポートに近づかないように警告までしてくれていた。
そんな事があったなんぞ、ポートには言ってないがな。
で、拾った以上捨てるわけにも行かないから、冒険者ギルドのマスターに何かないか聞いてみたら、あっさり『筋肉集団』を紹介された。
オレも聞いたことがある、暑苦しい筋肉集団。
戦闘能力の有無は関係なく、一緒に冒険に来て料理をしてくれる人を探しているらしいが、なかなか見つからない、ということだ。
まあ、そうだろうな。
戦えて料理のできる奴もそこそこいるだろうが、そういう奴が料理を自分だけに押しつけられれば、不満を持つ。
戦えねぇ奴は、普通は冒険に出ねぇ。
その普通じゃねぇポートと『筋肉集団』は、まさに利害が一致していたわけだ。
ふんふん鼻歌を歌いながら、料理をしているポートを何とはなしに眺める。
こいつは、自分を追い出したパーティーを恨んでないと言った。
果たして、オレが追い出したアイツは、どうだったんだろうか。
一人でどんな思いをして、とんでもない力を手に入れるに至ったんだろうか。
力を手に入れたとき、オレたちへの復讐を考えなかったんだろうか。
想像するしかない。
考えたって、答えが出るはずもない。
いつか会えたら、その時には土下座して命を差し出すつもりでいるが、今のところその機会は来ていない。
「ゲルトさん、できましたよ。食べましょう」
どれだけやっても面倒としか思えない料理を、見事な手際でやってのけたポートが声をかけてきた。
無論、飯屋で食った方が上手い。
だが、命をかけた冒険中に振る舞われる手料理がどれだけ嬉しいか、なんてことを知ったのも、パーティーが解散した後だ。
「……パーティー、上手く馴染めたか」
いつもは無言で食べるのに、何となく今日は聞きたくなった。
聞かなくたって、様子を見てりゃ分かる事なのに。
「はい、とても楽しいです。……肩に担がれて疾走されるのにも、ようやく慣れてきましたし」
嘔吐した原因だな。
体力がないこいつにペースを合わせるくらいなら、担いでしまえ。訓練にもちょうどいいし。という理由を『筋肉集団』に聞かされて、その時ばかりはこいつに同情した。
結局は、その移動手段が定着してしまったわけか。
いいのやら悪いのやらよく分からんが、本人が納得してんなら、いいんだろう。
「皆、美味しそうに食べてくれるんですよね。冒険中は文字通りお荷物なのに、いてくれて良かったって言ってくれるんですよ。それが嬉しいです」
「そうか」
「はい」
オレの素っ気ない返事を気にする事もなく、ポートは笑顔を見せる。
「だから、ゲルトさんのおかげです。ありがとうございます。あの時、ゲルトさんに出会えて、本当に良かったです」
何のてらいもなくお礼を言われて、オレは言葉に詰まる。
別にこいつのために、助けたわけじゃねぇ。
アイツの顔がよぎって、気付けば動いていただけだ。
礼を言われる事じゃない。
それに、思う。
もしもオレに会わなかったら、どうなっていたんだろうか。
追放されたアイツが一人で強い力を手に入れたように、ポートももしかしてそういう機会があったんじゃないだろうか。
もしそうなら、今みたいに筋肉に挟まれて、担がれて移動して、料理を振る舞って、なんて冒険じゃなく、冒険の中心人物になれていたはずだ。
オレに会ってしまったせいで、その機会を失ってしまったのかもしれない。
考えたところで仕方ない考えが、頭を巡る。
「ゲルトさん、お邪魔しました。失礼します。――また来ます」
「もう来んな」
アイツの事を思いだしたり、考えても仕方ない考えが巡ったりするのが嫌で、結構本気で言うんだが、ポートがへこたれねぇことくらいは、いい加減学習した。
「また来ます。僕、今頑張って筋トレしてるんです。次来るときは、筋肉ムキムキになってますので、楽しみにしていて下さい」
呆気にとられた。
去っていくポートの、ヒョロヒョロの後ろ姿を見る。
――ムキムキ?
ムリだろう。
筋トレを悪いとは言わんが、筋肉がつくような体には見えない。
もしも万が一にも、冒険の中心人物になれるような日が来たとしても、筋肉がムキムキになっている姿は想像もできない。
「まあ、頑張れ」
やるのは自由だ。
あのパーティーに、思考までしっかり染まっていたらしいポートに、オレは適当にエールを送ったのだった。
「え?」
突然の宣告に、僕はポカンとする。
「ホントにノロマだな。お前はもうこのパーティーには必要ない。追放する、と言ったんだよ。分かったか」
「そ、そんな……!」
やっとその意味を飲み込めた。
けれど、素直にはいと頷けるはずもない。
「な……、お願いします、ここにおいて下さい! 僕が、他に行くところなんて……!」
なぜ、と言いそうになったのは堪えた。
理由なんか聞かなくたって分かる。
力もない。魔力もない。体力もない。
ないない尽くしの僕だ。
そんな僕が、急成長を遂げて注目の的になっているCランクの冒険者パーティ―『閃光の剣』にいるのだ。
足手まといだ、と周囲から言われていたし、僕自身だって分かってる。
僕がしていたのは、いわゆるパーティーの“雑用“に過ぎない。
いてもいなくても、何とでもなるのだ。
それでも、孤児院出身の僕がまともに稼げるとしたら、冒険者になる以外に道はなかった。
同情だったとしても、このパーティーに拾ってもらえたのだ。
追い出されたら、他に行く所なんてない。
だから、必死になって縋ったのだけど。
「知るか。低ランクだった頃ならまだしも、これから俺たちはもっと強くなる。強くなれる。お前みたいな足手まといがいたら、先に進めねぇんだよ」
ガシャン、と音を立てて、僕の前に布袋が投げられる。
「手切れ金だ。じゃあな」
それだけ言って、リーダーが去っていく。
他のパーティーのメンバーたちは、僕に一言も言うことなく、リーダーについて行く。
場末の食堂。
今が食事の時間からズレていて良かった。
大号泣しても、迷惑掛けるのは店主だけで済んだから。
+++++
「どうしようかな……」
僕はとぼとぼ歩いていた。
手切れ金は、それなりの金額……と言っていいのだろうか。
僕の故郷……孤児院のある街まで片道どうにかギリギリ行けるくらいの金額だ。
出身地がそこだと話したことがあったから、要するにそこまでの運賃は出してくれたんだろう。
けど、帰れない。
帰れるくらいなら、出てきたりしない。
産業も何もない小さな街。そこの孤児院なんて、お世辞にも裕福じゃない。
街に到着する頃には、僕は無一文だ。
そんな僕を置いてなどくれないだろう。
「もう、いいかな」
なんで、こんな時に川にかかる橋にちょうど出てしまったんだろうか。
川は流れが急だ。落ちたら、まず助からない。
そのせいで、ここはある意味自殺スポットとなっている。
フラフラと吸い込まれるように、橋の手すりに手を掛ける。
そのまま腕に力を入れて……。
「何してんだ、てめぇは」
後ろから掛けられた声に驚いて、腕から力が抜けた結果、僕はそのまま尻餅をついてしまった。
+++++
「……僕は、ポートと言います」
何でこんな事になったんだろう。
そう思いながら、僕は自己紹介した。
目の前にいるのは、ソロで冒険者をやっているBランクのゲルトさんだ。
上位に行くほどにパーティーを組む人が多いのに、ずっとソロでやっていることで有名な人だ。
そんな人に橋で声を掛けられて、問答無用で襟首つかまれて引っ張られて、気付けばゲルトさんのお家にお邪魔していた。
「――んで?」
「え?」
「なんだって、自殺なんぞしようとした?」
ぐ、と唸った。
バレてたんだ、と思うが、あの場で橋の手すりに掴まってすることなんて、一つだけだ。
でも、初対面の人になんでそんな事話さなきゃなんないんだ。
そう思ってゲルトさんを睨み付けたけど、ゲルトさんは僕を見てなかった。
のんびり茶なんか飲んでいる。
ムカッときた。
自分から聞いたんだから、もう少し聞く姿勢があってもいいんじゃないだろうか。
そう思って、気付いたら僕は、最初から最後まで全部ぶちまけていたのだった。
+++++
「ふーん」
聞き終えたゲルトさんは、非常につまんなそうに一言言った。
「それだけですか。聞いたのはそっちじゃないですか」
「それだけだ。オレに何期待してんだよ」
呆れたように言われたけど、自殺しようとしたのをわざわざ声を掛けて止めて、家に連れてきて、話を聞こうとしてくれたんだ。
当然、もっと何かあると思うだろ。
「まあ『閃光の剣』の話は聞いたことあるが。たいしたことねぇな。今以上には上がれねぇだろうな」
「は?」
僕の話を聞いて、何がどうしてそういう考えに行き着くのか。
「どういうことですか! 皆、すごいんです! 皆強くて、最短でCランクまで駆け上がったのだって、当然で……!」
ムキになって言い返したら、意外そうな顔をされた。
「追い出されたってのに、ずいぶん必死だな。恨んでねぇのか」
「…………………恨んでなんか、ないですよ」
だって、僕みたいな役立たずを追い出すなんて、当然のことだ。
恨めるはずない。
「ふーん」
さっきと同じだけど、でもさっきのつまらなそうな反応とは、何か違う気がした。
真っ直ぐ僕の目を見てきて、怯んで逸らしてしまう。
「知ってっか。雑用ってな、面倒なんだ」
「は?」
唐突に、ゲルトさんが語り始めた。
「雑用の最たるモノは、メシ作りだろうが……簡単にはいかねぇ。水・食材の確保、火を熾して、調理して。事前の準備も事後の後片付けもめんどくせぇ」
「……はぁ」
まあ確かに面倒と言えば面倒かもしれないけど。
でも、突然何なんだ?
「他には、ポーションとか色んなアイテム揃えたりもしてたか? 目的地までの道順調べたり、情報集めたり?」
「はい、してましたけど。でも、そんなの僕じゃなくても、できることです」
そのくらいしか、誰でもできることしか、僕ができることはなかったのだ。
誰でもできるんだから、僕がいる必要なんか、なかった。
「そうだな。でも言っただろ。面倒なんだよ、そういうの。その面倒を、一度誰かに押しつけて楽を覚えると、なかなか戻れねぇ」
「え?」
「果たして、そいつらはどうなるだろうねぇ。全部てめぇにやらせていた雑用を、果たしてちゃんとやれるのか。楽しみだ」
ニヒヒ、と笑うゲルトさんは、はっきり言って今まで僕が見たどの悪人よりも、悪人面だった。
+++++
結論から言うと、たぶんゲルトさんの言うとおりになったんだろう。
『閃光の剣』はそこから上がれなくなった。
仲間割れを起こして、パーティーそのものが解散したらしい。
それを聞いたとき、僕は驚いた。
ゲルトさんの反応は違った。
「なんだ、つまんねぇ。普通こういうのって、旅に出た先で大揉めに揉めて、全滅するもんじゃねぇのかよ」
「……物騒なこと言わないで下さいよ」
冗談じゃない。
そういう話も時々聞くだけに、洒落にならなかった。
+++++
で、それからの僕はというと。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴を上げた。
「うるさいわよ、ポート」
「あんまり声を上げると、魔物が寄ってくるぞ」
「そんなこと、言われてもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
僕は肩に担がれていた。
そのまま全力疾走されているのだ。
からかうように言われたけど、悲鳴をあげずにどうしろというのか。
あれから、ゲルトさんは僕をとある冒険者パーティーに紹介してくれた。
Cランクパーティー『筋肉集団』。
……もうちょっと、パーティー名なかったんだろうか。
ムキムキマッチョの男女集団だから、この上なく分かりやすいけど。
そろそろBランクへの昇格も目前というこのパーティー。
雑用しかできない、と何のひねりもなく紹介されたとき、その目が輝いた、ように見えた。
「メシは作れるか?」
「え、はい。あまり凝ったものは無理ですけど……」
「よし、採用!!」
ホントのホントにこれだけで、僕はこのパーティーに入った。
バンバン叩かれた肩が痛かった。
とにかく、食事作りが面倒で面倒でしょうがないらしい。でもやらないわけにいかない。
筋肉を維持するためには、食事は絶対に抜かせない。
でも食事なんか作りたくない。
基本的には外食していたようだけど、冒険中は、保存食を食べるか自炊するかの二択になることが多い。
で、保存食じゃ筋肉は維持出来ない! と自炊することにしているらしいが、じゃあ誰が作るんだ、という話になる。
その結果、壮絶なジャンケン勝負が繰り広げられるらしい。
ジャンケンはいいけど、ちゃんと料理できていたんだろうか。
聞いたら、全員の視線がそっぽを向いていた。
いいから保存食食べろよ、と思った。
一度食事を作って出したら、メチャメチャ喜ばれた。
消費する速さも量も半端なかった。
ただ、体力がないから、冒険の邪魔になってしまうことに変わりない。
と思ったら、肩に担がれて全力疾走されたのだ。
「これもいいトレーニングだ!」
……うん。僕が吐きそうになっていることを除けば、いいかもしれない。
とりあえず、この揺れに耐えられるようになろう、と心に決めた僕だった。
+++++
「ゲルトさん、こんにちは」
「また来たのかよ、てめぇは」
遠慮の欠片もなく、家の中に入って来やがったポートにツッコむが、奴はニコニコしたままだ。
「またってほど来てませんよ」
そのままキッチンに直行だ。
いい加減、オレも諦めた。
オレはゲルトと言う。
ソロで冒険者をやっている。
自殺しようとしていたポートを止めて、家に連れて帰ってきた日から、一ヶ月ほど経った。
『筋肉集団』に入って、どうやら上手くやっているようで安心した。
需要と供給は完全に一致していたが、だからといって絶対に上手くいくとは限らないからな。
初めて『筋肉集団』と冒険に出て、帰ってきたときの青白い顔と嘔吐は、忘れられそうにない。
こいつはダメか、と思ったが、ここまで何の問題もなく続いている。
ポートは、家主の許可も得ずに勝手に料理を始めている。
冒険が休みの日は、よくここに来ている。
来んのがダメってわけじゃないが、こいつが来ると、ある一人の男を思い出す。
オレだって、昔はパーティーを組んで冒険をしていた。
その中に、能力が低くてパーティーの雑用をやらせていた奴がいた。
そいつを、かつてのオレは、冒険の邪魔だとパーティーから追放したのだ。
『閃光の剣』と同じ事を、過去にやらかしていたのだ。
だから分かる。
雑用係、なんぞと言えば、たいしたことねぇように聞こえるが、実際の所は、雑用なんかじゃなく、冒険の土台となるものだ。
その土台を担ってくれてた奴を追い出し、大切にしなかった時点で、オレたちのパーティーは終わってた。
そいつを追い出した後、そのパーティーで冒険をしたのはたった一回。
たった一回で、パーティーはボロボロだった。死人が出なかったのが、奇跡だ。
追い出したそいつは、一体どこで何をどうしたのか、今や知らない者はいない、最高のSランク冒険者になっている。
こっちは、ただのBランク。低いわけじゃないが、Sランクとは比較にもならねぇ。
それからは、パーティーを組む気にもならず、ソロでやっていた。
偶然、パーティーの雑用をやってた奴が追い出された、って話を食堂の主人から聞いた時、アイツの顔がよぎった。
気付けば必死になって探して、自殺一歩手前の所を確保したって訳だ。
確保したところで何すりゃいいか分からんし、話を聞いたところでどうすりゃいいかも分かんねぇ。
だからオレの思うところをただ言っただけなのだが、奴なりに考えたのか、持ち直したようだ。
ちなみに、『閃光の剣』が解散したのは、オレがポートを拾ってから十日ほどだ。
冒険者ギルドで、喧嘩している姿がよく見られていたらしい。
「あの役立たずの雑用係を連れ戻す!」
そう息巻いていた所にオレは遭遇し、とりあえずぶん殴っておいた。
雑用の大切さを分かった上で、頭を下げて戻ってきてもらう、と言うならともかく、ひどい言い草だ。
いきなりぶん殴ったことについては問題になりかけたが、ギルド側に事情を説明したら納得してもらえた。
ついでに、『閃光の剣』はポートに近づかないように警告までしてくれていた。
そんな事があったなんぞ、ポートには言ってないがな。
で、拾った以上捨てるわけにも行かないから、冒険者ギルドのマスターに何かないか聞いてみたら、あっさり『筋肉集団』を紹介された。
オレも聞いたことがある、暑苦しい筋肉集団。
戦闘能力の有無は関係なく、一緒に冒険に来て料理をしてくれる人を探しているらしいが、なかなか見つからない、ということだ。
まあ、そうだろうな。
戦えて料理のできる奴もそこそこいるだろうが、そういう奴が料理を自分だけに押しつけられれば、不満を持つ。
戦えねぇ奴は、普通は冒険に出ねぇ。
その普通じゃねぇポートと『筋肉集団』は、まさに利害が一致していたわけだ。
ふんふん鼻歌を歌いながら、料理をしているポートを何とはなしに眺める。
こいつは、自分を追い出したパーティーを恨んでないと言った。
果たして、オレが追い出したアイツは、どうだったんだろうか。
一人でどんな思いをして、とんでもない力を手に入れるに至ったんだろうか。
力を手に入れたとき、オレたちへの復讐を考えなかったんだろうか。
想像するしかない。
考えたって、答えが出るはずもない。
いつか会えたら、その時には土下座して命を差し出すつもりでいるが、今のところその機会は来ていない。
「ゲルトさん、できましたよ。食べましょう」
どれだけやっても面倒としか思えない料理を、見事な手際でやってのけたポートが声をかけてきた。
無論、飯屋で食った方が上手い。
だが、命をかけた冒険中に振る舞われる手料理がどれだけ嬉しいか、なんてことを知ったのも、パーティーが解散した後だ。
「……パーティー、上手く馴染めたか」
いつもは無言で食べるのに、何となく今日は聞きたくなった。
聞かなくたって、様子を見てりゃ分かる事なのに。
「はい、とても楽しいです。……肩に担がれて疾走されるのにも、ようやく慣れてきましたし」
嘔吐した原因だな。
体力がないこいつにペースを合わせるくらいなら、担いでしまえ。訓練にもちょうどいいし。という理由を『筋肉集団』に聞かされて、その時ばかりはこいつに同情した。
結局は、その移動手段が定着してしまったわけか。
いいのやら悪いのやらよく分からんが、本人が納得してんなら、いいんだろう。
「皆、美味しそうに食べてくれるんですよね。冒険中は文字通りお荷物なのに、いてくれて良かったって言ってくれるんですよ。それが嬉しいです」
「そうか」
「はい」
オレの素っ気ない返事を気にする事もなく、ポートは笑顔を見せる。
「だから、ゲルトさんのおかげです。ありがとうございます。あの時、ゲルトさんに出会えて、本当に良かったです」
何のてらいもなくお礼を言われて、オレは言葉に詰まる。
別にこいつのために、助けたわけじゃねぇ。
アイツの顔がよぎって、気付けば動いていただけだ。
礼を言われる事じゃない。
それに、思う。
もしもオレに会わなかったら、どうなっていたんだろうか。
追放されたアイツが一人で強い力を手に入れたように、ポートももしかしてそういう機会があったんじゃないだろうか。
もしそうなら、今みたいに筋肉に挟まれて、担がれて移動して、料理を振る舞って、なんて冒険じゃなく、冒険の中心人物になれていたはずだ。
オレに会ってしまったせいで、その機会を失ってしまったのかもしれない。
考えたところで仕方ない考えが、頭を巡る。
「ゲルトさん、お邪魔しました。失礼します。――また来ます」
「もう来んな」
アイツの事を思いだしたり、考えても仕方ない考えが巡ったりするのが嫌で、結構本気で言うんだが、ポートがへこたれねぇことくらいは、いい加減学習した。
「また来ます。僕、今頑張って筋トレしてるんです。次来るときは、筋肉ムキムキになってますので、楽しみにしていて下さい」
呆気にとられた。
去っていくポートの、ヒョロヒョロの後ろ姿を見る。
――ムキムキ?
ムリだろう。
筋トレを悪いとは言わんが、筋肉がつくような体には見えない。
もしも万が一にも、冒険の中心人物になれるような日が来たとしても、筋肉がムキムキになっている姿は想像もできない。
「まあ、頑張れ」
やるのは自由だ。
あのパーティーに、思考までしっかり染まっていたらしいポートに、オレは適当にエールを送ったのだった。
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