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第十七章 キャンプ
反撃の準備
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ここは魔物の発生源となっている場所。
その場所では、飛んできた巨大魔法に大混乱に陥っていた。
「なんだあれっ!?」
「慌てるな! 《結界》を全力で発動させろっ!」
しかし、すぐに冷静な指示が飛び、前もって渡されていた《結界》の魔石を発動させる。
壊れても構わないくらいの魔力を注ぎ込む。すぐに気付いた。事前に聞かされていた、要注意の魔法だ。
魔力を注ぎ込み続け、魔石が限界を迎えると同時に巨大魔法も消滅し、ホッと息を吐く。
「大量に魔物がいたことで命拾いしたな」
リーダーの言葉に頷いた。魔物のおかげで、多少なりとも魔法の威力が減衰していた。そうでなければ、防ぎきるのは無理だっただろう。
とりあえず一安心だが、だからといってのんびりできる状況ではない。
「気を引き締めろ。これからが本番だ」
その言葉に、緊張が走った。
※ ※ ※
リィカが、魔物の発生源に向けて《天変地異》を放ったことが功を奏したのか、魔物の数が激減した。
これだったらもっと早くやっておけば良かった、とリィカは思ったが、もしアレクが聞けば「やめておけ」と言っただろう。魔物じゃなくてリィカの魔法で、生徒たちが恐慌状態に陥りかねない。
魔物の数が減ったことで、その先にある魔力もしっかり感じられる。リィカは眉をひそめた。
(数は、三。たぶん魔族だけど、知ってる人じゃない、よね……?)
やや自信なさげに思う。
少なくともジャダーカはいない。リィカが一番気にするのはそこだが、もしジャダーカがいたなら、魔物を送り込むなんてせずに、本人が目の前に現れていただろうが。
リィカは凝縮魔法を発動し、放つ。
数は少なくなったが、魔物がBランクばかりになってきた。あまり油断できるものでもなかった。
※ ※ ※
(ようやく、最後尾が行ったか)
アレクは、やれやれという気持ちで、そう思った。
先頭のアークバルトたちが行ってから、そこまで時間が経ったわけでもないだろうが、魔物から守りながらだと、すごく長く感じた。
しかし、問題はここからどうするか。
魔物の発生源に向かうにしても、今いる魔物を倒してしまわないといけないが、その魔物も次から次へと押し寄せてくる。
一人で考えてもしょうがないと、アレクは風の手紙を繋げた。
「全員が抜けた。この後どうする? 結局、魔物を倒さないと、脱出組の後を追われることになる」
『うーん、そうですよね。《結界》を張ってもいいですけど、範囲が広すぎて、どこまで張ればいいのかが分からないんですよね』
返ってきた返事は、ユーリだ。
アレクも《結界》の使用は考えたが、ユーリの言う通りで、よほど広く張らないと、張った《結界》の脇を悠々と魔物が通り抜けていく、という結果になりかねない。
『わたしとユーリで、上級魔法連発する? 魔物が全部倒れるまで』
「力尽くだな」
リィカの提案に、アレクは苦笑した。だが、それが一番手っ取り早いかと思う。ランクは上がっても全体数は少なくなっているから、この周辺の魔物さえ倒してしまえば、脱出組の後を追われる心配も、ほぼなくなる。
『連発じゃなくて、一発だけでいい。魔力無駄にすんな。一発放ってくれりゃ、後は倒すのも簡単だ』
バルの提案に、それもそうかと思う。上級魔法の後に、生き残っている魔物の数の方が少ないだろうし、生き残っても大ダメージだろう。
「そうしようか。リィカかユーリか、頼んでいいか?」
『ユーリ、どうする?』
『リィカの方に魔力が余裕あるなら、お願いしたいですね』
『分かった』
ユーリの言葉に、リィカは全く躊躇わずに頷く。
そう言うということは、ユーリの方は結構危ないのか。だが、リィカとてどこまで余裕があるものなのか。
合流してから確認しよう、とアレクが思ったところで、リィカの魔法が発動された。
凄まじい風が、上から下へと吹き下ろしてきた。風の上級魔法《嵐の下降風》だ。次から次へと倒れていくBランクの魔物を見て、アレクは何となく思う。
(魔法師団どもの上級魔法もこれだけ威力があったら、文句はないんだけどな)
騎士団員を平然と巻き込んで、上級魔法を放つ魔法師団員たちだが、それで完全に魔物を倒せているかというと、その限りではない。
それだけ威力があったら、巻き込まれた騎士団員も無事では済まなくなる、という点では問題だが、結局何回も上級魔法を放つ魔法師団員たちの魔法に巻き込まれるのだから、最終的な結果はさほど変わらない、とアレクは思う。
そもそも巻き込むな、というのが一番言いたいことだが。旅の中で、リィカにもユーリにも泰基にも、魔法に巻き込まれたことなどない。やろうと思えばできるはずなのだ。
だがまあ、今はそれを考える時ではない。辛うじてリィカの魔法に耐えきった魔物を、アレクは倒していったのだった。
その場所では、飛んできた巨大魔法に大混乱に陥っていた。
「なんだあれっ!?」
「慌てるな! 《結界》を全力で発動させろっ!」
しかし、すぐに冷静な指示が飛び、前もって渡されていた《結界》の魔石を発動させる。
壊れても構わないくらいの魔力を注ぎ込む。すぐに気付いた。事前に聞かされていた、要注意の魔法だ。
魔力を注ぎ込み続け、魔石が限界を迎えると同時に巨大魔法も消滅し、ホッと息を吐く。
「大量に魔物がいたことで命拾いしたな」
リーダーの言葉に頷いた。魔物のおかげで、多少なりとも魔法の威力が減衰していた。そうでなければ、防ぎきるのは無理だっただろう。
とりあえず一安心だが、だからといってのんびりできる状況ではない。
「気を引き締めろ。これからが本番だ」
その言葉に、緊張が走った。
※ ※ ※
リィカが、魔物の発生源に向けて《天変地異》を放ったことが功を奏したのか、魔物の数が激減した。
これだったらもっと早くやっておけば良かった、とリィカは思ったが、もしアレクが聞けば「やめておけ」と言っただろう。魔物じゃなくてリィカの魔法で、生徒たちが恐慌状態に陥りかねない。
魔物の数が減ったことで、その先にある魔力もしっかり感じられる。リィカは眉をひそめた。
(数は、三。たぶん魔族だけど、知ってる人じゃない、よね……?)
やや自信なさげに思う。
少なくともジャダーカはいない。リィカが一番気にするのはそこだが、もしジャダーカがいたなら、魔物を送り込むなんてせずに、本人が目の前に現れていただろうが。
リィカは凝縮魔法を発動し、放つ。
数は少なくなったが、魔物がBランクばかりになってきた。あまり油断できるものでもなかった。
※ ※ ※
(ようやく、最後尾が行ったか)
アレクは、やれやれという気持ちで、そう思った。
先頭のアークバルトたちが行ってから、そこまで時間が経ったわけでもないだろうが、魔物から守りながらだと、すごく長く感じた。
しかし、問題はここからどうするか。
魔物の発生源に向かうにしても、今いる魔物を倒してしまわないといけないが、その魔物も次から次へと押し寄せてくる。
一人で考えてもしょうがないと、アレクは風の手紙を繋げた。
「全員が抜けた。この後どうする? 結局、魔物を倒さないと、脱出組の後を追われることになる」
『うーん、そうですよね。《結界》を張ってもいいですけど、範囲が広すぎて、どこまで張ればいいのかが分からないんですよね』
返ってきた返事は、ユーリだ。
アレクも《結界》の使用は考えたが、ユーリの言う通りで、よほど広く張らないと、張った《結界》の脇を悠々と魔物が通り抜けていく、という結果になりかねない。
『わたしとユーリで、上級魔法連発する? 魔物が全部倒れるまで』
「力尽くだな」
リィカの提案に、アレクは苦笑した。だが、それが一番手っ取り早いかと思う。ランクは上がっても全体数は少なくなっているから、この周辺の魔物さえ倒してしまえば、脱出組の後を追われる心配も、ほぼなくなる。
『連発じゃなくて、一発だけでいい。魔力無駄にすんな。一発放ってくれりゃ、後は倒すのも簡単だ』
バルの提案に、それもそうかと思う。上級魔法の後に、生き残っている魔物の数の方が少ないだろうし、生き残っても大ダメージだろう。
「そうしようか。リィカかユーリか、頼んでいいか?」
『ユーリ、どうする?』
『リィカの方に魔力が余裕あるなら、お願いしたいですね』
『分かった』
ユーリの言葉に、リィカは全く躊躇わずに頷く。
そう言うということは、ユーリの方は結構危ないのか。だが、リィカとてどこまで余裕があるものなのか。
合流してから確認しよう、とアレクが思ったところで、リィカの魔法が発動された。
凄まじい風が、上から下へと吹き下ろしてきた。風の上級魔法《嵐の下降風》だ。次から次へと倒れていくBランクの魔物を見て、アレクは何となく思う。
(魔法師団どもの上級魔法もこれだけ威力があったら、文句はないんだけどな)
騎士団員を平然と巻き込んで、上級魔法を放つ魔法師団員たちだが、それで完全に魔物を倒せているかというと、その限りではない。
それだけ威力があったら、巻き込まれた騎士団員も無事では済まなくなる、という点では問題だが、結局何回も上級魔法を放つ魔法師団員たちの魔法に巻き込まれるのだから、最終的な結果はさほど変わらない、とアレクは思う。
そもそも巻き込むな、というのが一番言いたいことだが。旅の中で、リィカにもユーリにも泰基にも、魔法に巻き込まれたことなどない。やろうと思えばできるはずなのだ。
だがまあ、今はそれを考える時ではない。辛うじてリィカの魔法に耐えきった魔物を、アレクは倒していったのだった。
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