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第十三章 魔国への道
泰基VSフロストック②
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泰基は、魔剣デフェンシオに魔力を流した。同時に《結界》を解除する。
「何じゃとっ!?」
そのまま吹雪の中を、一直線にフロストックに向けて走った。
「【光速剣】!」
剣技を放つ。横に薙ぐ剣技だ。
本来、三日月型の弧を描く衝撃波が一つ放たれるだけの剣技だが、泰基が放った剣技は、複数の衝撃波が放たれた。
(やはり、できる)
魔法と同じだ。
イメージ次第で、その形を変えることが出来る。
「ヒョッ!?」
驚いた声を出しつつも、放った衝撃波はすべて凍らされる。だが、その間に泰基は相手に肉薄していた。
「【金光新星剣】!」
再び放った剣技は、光の直接攻撃の剣技。もちろん、魔力付与はしてある。
相手の胴を真っ二つにするつもりで剣を振るう。
――ドンッ
「ぐっ!?」
何か硬い物に当たったような音がした。同時に、フロストックが呻く。
泰基は舌打ちをしたくなった。後方に吹き飛ばすことはできた。だが、攻撃が当たった部分を手で押さえているだけで、たいしたダメージにはなってなさそうだ。
「……やってくれるのぉ。一体全体どうやって、ワッシの吹雪の中を物ともせずに駆け抜けてこられたのか、興味があるんじゃが」
「教える必要があるか?」
先ほど言われたことをそのまま返せば、フロストックはまたも「ヒョッヒョッヒョッヒョッ」と笑った。
「確かにその通りじゃ。となれば、今度はワッシがその秘密を暴く番じゃな」
「別に謎解き合戦をする気はない。俺はさっさとこの結界を解くだけだ」
「なんじゃ、解きたいなら簡単じゃぞ。そなたが降参すれば良い」
「お断りだ」
言い返し、再び剣を構える。
この馬鹿なやり取りのおかげで、クールタイムは終了した。またすぐにでもデフェンシオの能力が使える。
「ヒョッヒョッヒョッヒョッ。では、こういうのはどうかの」
フロストックが指を下に向けて一振りした。
「……なっ!」
つられて下を見て、驚愕の声を上げた。
地面が氷でつるつるになっている。泰基が立っていた、靴の下までつるつるだ。これでは、滑ってまともに動くこともできない。
「――うぉっ!?」
そう思った瞬間、ツルッと滑って泰基は転んだ。
「ヒョッヒョッヒョッヒョッ、さてさて、どう戦う?」
「……んのやろう」
尻もちをついた泰基を、愉快そうにフロストックが笑う。
立ちたくても、滑ってしまって立てない。何とか立ったとしても、立つだけでやっとだ。それでは意味がない。
こういう足元が不安定な場合の戦い方は……。
「さて、では謎解きタイムといこうかの。そぉれっ」
「……………!」
泰基の下から、氷の柱が飛び出してきた。避けられず、そのままぶつかって弾かれる。その勢いのままに、体が滑る。
「くっ……」
「そぉれ、次いくぞ」
その声とともに、泰基が滑っていく先にも氷の柱が出現した。しかも、その横はギザギザと尖っている。
ドンッ
「グッ……!」
そのギザギザが背中に刺さって痛みが走る。それも一瞬で、ぶつかった衝撃で柱から弾き飛ばされて、またも泰基の体は滑っていた。
(くそっ、せっかく魔道具の防御力をあげたっていうのに、結局怪我するのか)
地下道を通っているときに、リィカとユーリと三人で、ああでもないこうでもないと言いながら、新しく作った魔道具。
結局、画期的なアイディアなど思い浮かばなかった。
これまでの防御の魔道具はCランクの魔石を使っていたが、今度はBランクの魔石を使って、より多く魔力を込めただけの代物だ。
それでも、以前の物より効果が上がっていることは確認していたのだが、それがあっさりと破られた。
(――デフェンシオ)
『うん』
デフェンシオの効果を発動させる。氷の柱にぶつかるが、今度は痛みも何も感じない。
「ヒョッ!?」
デフェンシオの効果は、十秒。たったそれだけ、と言われればそれまでだが、戦いの中での十秒は長い。
泰基は体を起こす。自分の行く先に、またも氷の柱が出現する。
不安定な、滑る床での戦い方は。
「いくぞっ!」
足を突き出す。氷の柱を足で蹴った。その勢いそのままに、泰基は剣を突き出す。
滑る床でわざわざ立つことなどない。滑る勢いを利用して、座ったまま攻撃すればいいのだ。
「《光の付与》! 【光輝突撃剣】!」
光のエンチャント、そして、光の突き技の剣技を繰り出した。それがフロストックの体を貫く……前に、氷の盾が出現した。
「させぬぞっ!」
「くっ……!」
泰基の剣と、フロストックの盾がぶつかり合う。動きを止められてしまうと、足元の滑る泰基は力を入れにくい。
結局、フロストックの盾を壊すことには成功したものの、泰基の剣技もそこまでだった。
「何じゃとっ!?」
そのまま吹雪の中を、一直線にフロストックに向けて走った。
「【光速剣】!」
剣技を放つ。横に薙ぐ剣技だ。
本来、三日月型の弧を描く衝撃波が一つ放たれるだけの剣技だが、泰基が放った剣技は、複数の衝撃波が放たれた。
(やはり、できる)
魔法と同じだ。
イメージ次第で、その形を変えることが出来る。
「ヒョッ!?」
驚いた声を出しつつも、放った衝撃波はすべて凍らされる。だが、その間に泰基は相手に肉薄していた。
「【金光新星剣】!」
再び放った剣技は、光の直接攻撃の剣技。もちろん、魔力付与はしてある。
相手の胴を真っ二つにするつもりで剣を振るう。
――ドンッ
「ぐっ!?」
何か硬い物に当たったような音がした。同時に、フロストックが呻く。
泰基は舌打ちをしたくなった。後方に吹き飛ばすことはできた。だが、攻撃が当たった部分を手で押さえているだけで、たいしたダメージにはなってなさそうだ。
「……やってくれるのぉ。一体全体どうやって、ワッシの吹雪の中を物ともせずに駆け抜けてこられたのか、興味があるんじゃが」
「教える必要があるか?」
先ほど言われたことをそのまま返せば、フロストックはまたも「ヒョッヒョッヒョッヒョッ」と笑った。
「確かにその通りじゃ。となれば、今度はワッシがその秘密を暴く番じゃな」
「別に謎解き合戦をする気はない。俺はさっさとこの結界を解くだけだ」
「なんじゃ、解きたいなら簡単じゃぞ。そなたが降参すれば良い」
「お断りだ」
言い返し、再び剣を構える。
この馬鹿なやり取りのおかげで、クールタイムは終了した。またすぐにでもデフェンシオの能力が使える。
「ヒョッヒョッヒョッヒョッ。では、こういうのはどうかの」
フロストックが指を下に向けて一振りした。
「……なっ!」
つられて下を見て、驚愕の声を上げた。
地面が氷でつるつるになっている。泰基が立っていた、靴の下までつるつるだ。これでは、滑ってまともに動くこともできない。
「――うぉっ!?」
そう思った瞬間、ツルッと滑って泰基は転んだ。
「ヒョッヒョッヒョッヒョッ、さてさて、どう戦う?」
「……んのやろう」
尻もちをついた泰基を、愉快そうにフロストックが笑う。
立ちたくても、滑ってしまって立てない。何とか立ったとしても、立つだけでやっとだ。それでは意味がない。
こういう足元が不安定な場合の戦い方は……。
「さて、では謎解きタイムといこうかの。そぉれっ」
「……………!」
泰基の下から、氷の柱が飛び出してきた。避けられず、そのままぶつかって弾かれる。その勢いのままに、体が滑る。
「くっ……」
「そぉれ、次いくぞ」
その声とともに、泰基が滑っていく先にも氷の柱が出現した。しかも、その横はギザギザと尖っている。
ドンッ
「グッ……!」
そのギザギザが背中に刺さって痛みが走る。それも一瞬で、ぶつかった衝撃で柱から弾き飛ばされて、またも泰基の体は滑っていた。
(くそっ、せっかく魔道具の防御力をあげたっていうのに、結局怪我するのか)
地下道を通っているときに、リィカとユーリと三人で、ああでもないこうでもないと言いながら、新しく作った魔道具。
結局、画期的なアイディアなど思い浮かばなかった。
これまでの防御の魔道具はCランクの魔石を使っていたが、今度はBランクの魔石を使って、より多く魔力を込めただけの代物だ。
それでも、以前の物より効果が上がっていることは確認していたのだが、それがあっさりと破られた。
(――デフェンシオ)
『うん』
デフェンシオの効果を発動させる。氷の柱にぶつかるが、今度は痛みも何も感じない。
「ヒョッ!?」
デフェンシオの効果は、十秒。たったそれだけ、と言われればそれまでだが、戦いの中での十秒は長い。
泰基は体を起こす。自分の行く先に、またも氷の柱が出現する。
不安定な、滑る床での戦い方は。
「いくぞっ!」
足を突き出す。氷の柱を足で蹴った。その勢いそのままに、泰基は剣を突き出す。
滑る床でわざわざ立つことなどない。滑る勢いを利用して、座ったまま攻撃すればいいのだ。
「《光の付与》! 【光輝突撃剣】!」
光のエンチャント、そして、光の突き技の剣技を繰り出した。それがフロストックの体を貫く……前に、氷の盾が出現した。
「させぬぞっ!」
「くっ……!」
泰基の剣と、フロストックの盾がぶつかり合う。動きを止められてしまうと、足元の滑る泰基は力を入れにくい。
結局、フロストックの盾を壊すことには成功したものの、泰基の剣技もそこまでだった。
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