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第十章 カトリーズの悪夢
操られたリィカ
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デウスは、突然現れた勇者一行と軍人二名を見て、顔をしかめた。
だが、すぐに何かを企むような顔になる。
「どうやってこの場所を突き止めたかは存じませが……。ステラという女性に、私を捕まえようとするなら、この女の命は保証しない、と伝えていたはずですが、聞いていませんか?」
取り出した鋭いナイフを、リィカに渡す。
リィカはそれを受け取った。
「手首を切りなさい」
デウスは、その内容とは裏腹に、ごく自然にその命令を下す。
あまりにも普通に発したその言葉に、一瞬、誰もがそれに反応できなかった。
リィカは躊躇い一つ無く、右手に持ったナイフを、自らの左手の手首に振り下ろした。
※ ※ ※
暁斗は、目の前の光景に、息を呑んだ。
リィカが、鋭いナイフをためらうことなく、自分に振り下ろしている。
なぜ。
どうして。
どうしよう。
そんな考えが浮かぶばかりで、どうしていいかが分からない。
――カァンッ!
甲高い音がした。
その音にハッとして、周囲に視線を巡らせる。
アレクが地面に片膝をついていた。
「リィカに何をした」
アレクは立ち上がりつつ、威嚇するようにその問いを発する。
暁斗は地面を見て、やっと理解した。
地面は小石がたくさんある。
アレクはその石を拾って、リィカの持つナイフにぶつけたのだ。
暁斗も、一つ息をついて、デウスとリィカを見る。
アレクの言いたいことは分かる。
リィカが、自分たちを見ても表情一つ変えない。
それどころか、リィカの目に光がない。
あの時の、テルフレイラで見た、心を失って虚ろになったあの時のリィカと、同じ目だった。
デウスは薄く笑うだけで、何も答えない。
「リィカの付けてる首輪は、なに?」
暁斗は、別の問いを発する。
その首輪の発する禍々しい魔力。泰基が言っていた魔力はこれだと、すぐに分かった。
リィカを目の前にしているというのに、リィカの気配をまるで感じない。
それが、あの首輪の影響だと、何の根拠もなく暁斗は察した。
「隷属の首輪、というものを、聞いた事は?」
「なっ……!?」
デウスの言葉に、周囲が驚愕を示す。
暁斗も、周囲の反応を見て思い出した。
隷属の首輪。
昔、奴隷に付けていたと言われる首輪のことだ。
「隷属の首輪を二つ付けると、主人の言うとおりにしか動けなくなるんですよ。逆らえば、激痛が支配する」
デウスの言葉を、暁斗はすぐに理解できなかった。
想像の範疇を超えていた。
「この女は逆らったんですよ。逆らって、結局激痛に耐えきれず、心を壊した。そのおかげで、逆らうことのない、いい人形が手に入りましたがね」
「人形……?」
暁斗がポツリとつぶやく。
人形とは、何のことだ。
「ええ、そうです。私の指示に従ってのみ動く存在。それは人間とは言わないでしょう? この女は私の操り人形ですよ」
薄笑いを浮かべて語るデウスの言葉が、暁斗にはどうしても理解できない。
「これから、私に相応しい人形となるように躾けて、明日朝にでも皆様方にご紹介しようと思っていたんですよ。それなのに、こんなに早く来てしまうんですから」
ただ一つ分かったのは、デウスがリィカを害した、と言うこと。
リィカが虚ろな目をしているのは、デウスのせいだ、と言うこと。
暁斗は、聖剣に手をかける。
やることは一つ。
デウスを倒して、リィカを救う。それだけだ。
「おっと。動かない方がいいですよ。この人形がどうなっても良いのですか?」
嘲笑と共に言われた言葉に、暁斗は弾けるように聖剣から手を離した。
リィカはナイフを持ったままだ。
そのナイフが、左手の手首に当てられている。
動けないのは、暁斗だけではなかった。
うかつに動けば、デウスの命令で、リィカは簡単に自傷する。
そんな一行を、デウスは満足そうに眺めた。
「人形の躾は後回しですね。先に、勇者たちを倒すことを優先します」
デウスは言うと、後ろに下がる。
必然的に、リィカがデウスを庇うような位置に立つ。
「彼らに上級魔法を使いなさい。そうですね。《爆発の轟火》で良いでしょう。きちんと詠唱して使うのですよ」
「………………っ……!」
「やめろっ!!」
暁斗は唇を噛んだ。
叫んだのは、アレクだ。
《爆発の轟火》は、火の上級魔法だ。
間違っても、街中で使うような魔法ではない。
そんな魔法が放たれれば、この辺り一帯、どの程度の被害になるのか。
下手をすれば、魔族や魔物に襲撃された以上の被害になりかねない。
「『火よ。…………』…………?」
だが、ナイフを持った右手を前に出して、リィカが始めた詠唱は、最初の一句で止まった。
それ以上、唱えようとしない。
「…………え……」
「どうしたんですか!?」
暁斗の漏らした声に、デウスのやや慌てた声が重なった。
デウスにとっても、予想外だったようだ。
「やはり、そうですよね」
「詠唱、全く覚えてなかったもんな」
ユーリと泰基の、ホッとしたような、どこか呆れも含んだような会話が暁斗の耳に飛び込んできた。
「魔法封じの検証をした時、詠唱しろと言ったら、全く覚えていなかったんだよ」
泰基が、苦笑交じりに説明した。
(そう言えば、そんな事言ってたっけ)
今朝の朝食の時だ。
検証したと言って、その結果を教えてくれたのだ。
アレクがなぜか不機嫌だったことだけ、記憶に残っているが。
そう。
今朝は何も変わりなく、一緒に食事をしていたのに。
「しょうがないですねぇ。無詠唱などという神への反逆者は、まさか、感謝の言葉すら覚えていないとは」
デウスの言葉に、暁斗は意識を戻す。
「今は目を瞑りましょう。後でしっかり躾けますからね。無詠唱で構いません。魔法を使って、勇者一行を倒しなさい」
「《爆発の轟火》」
デウスの言葉に、間髪入れることなく、リィカが上級魔法を唱えた。
「リィカ!!」
アレクが叫ぶ。
けれど、暁斗は目を見開いた。
――魔法は、発動しなかった。
「は?」
デウスは、驚きなのか意外だったのか、何が起こったのか分かっていない様子だった。
それを見て、暁斗は一瞬で判断する。
リィカに向かって、駆け出した。
「あっ、はっ……!? な、何をしてるんです! さっさと魔法を使いなさい!!」
駆け出した暁斗を見て、デウスが慌てた。明らかに混乱している。
だが、構わず暁斗は駆けた。
「《爆発の轟火》」
再びリィカが魔法を唱える。
しかし、発動しない。
そう、発動しない。するはずない。
背後に気配を感じた。
ユーリと泰基だ。
二人も動くと思った。二人も、魔法は発動しないと分かったはずだから。
「あの首輪、どうすればいいの!?」
振り返りもせずに聞く。
自分たちじゃ分からない。ユーリなら、もしかしたら。
「魔力を一気に流しこむ事で破壊した、と伝承にあります!」
すぐ返ってきた答えに、すごいなと思う。
いつだったか、学園での成績は上位にあると得意げに言っていたけれど、それだけの事はあると思う。
「オレがリィカを抑える! 首輪は父さんとユーリ、お願い!」
「無理するなよ!」
泰基から注意があったけれど、リィカはもう目の前だ。
動けないように押さえ込める自信は、あった。
「剣を! 剣を使いなさい!!」
けれど、デウスの声がして、リィカが動く。
腰の剣を抜き放った。
暁斗の目の前で、リィカが剣を構える。
あと一歩、遅かった。
暁斗は、剣を構えるリィカと対峙した。
だが、すぐに何かを企むような顔になる。
「どうやってこの場所を突き止めたかは存じませが……。ステラという女性に、私を捕まえようとするなら、この女の命は保証しない、と伝えていたはずですが、聞いていませんか?」
取り出した鋭いナイフを、リィカに渡す。
リィカはそれを受け取った。
「手首を切りなさい」
デウスは、その内容とは裏腹に、ごく自然にその命令を下す。
あまりにも普通に発したその言葉に、一瞬、誰もがそれに反応できなかった。
リィカは躊躇い一つ無く、右手に持ったナイフを、自らの左手の手首に振り下ろした。
※ ※ ※
暁斗は、目の前の光景に、息を呑んだ。
リィカが、鋭いナイフをためらうことなく、自分に振り下ろしている。
なぜ。
どうして。
どうしよう。
そんな考えが浮かぶばかりで、どうしていいかが分からない。
――カァンッ!
甲高い音がした。
その音にハッとして、周囲に視線を巡らせる。
アレクが地面に片膝をついていた。
「リィカに何をした」
アレクは立ち上がりつつ、威嚇するようにその問いを発する。
暁斗は地面を見て、やっと理解した。
地面は小石がたくさんある。
アレクはその石を拾って、リィカの持つナイフにぶつけたのだ。
暁斗も、一つ息をついて、デウスとリィカを見る。
アレクの言いたいことは分かる。
リィカが、自分たちを見ても表情一つ変えない。
それどころか、リィカの目に光がない。
あの時の、テルフレイラで見た、心を失って虚ろになったあの時のリィカと、同じ目だった。
デウスは薄く笑うだけで、何も答えない。
「リィカの付けてる首輪は、なに?」
暁斗は、別の問いを発する。
その首輪の発する禍々しい魔力。泰基が言っていた魔力はこれだと、すぐに分かった。
リィカを目の前にしているというのに、リィカの気配をまるで感じない。
それが、あの首輪の影響だと、何の根拠もなく暁斗は察した。
「隷属の首輪、というものを、聞いた事は?」
「なっ……!?」
デウスの言葉に、周囲が驚愕を示す。
暁斗も、周囲の反応を見て思い出した。
隷属の首輪。
昔、奴隷に付けていたと言われる首輪のことだ。
「隷属の首輪を二つ付けると、主人の言うとおりにしか動けなくなるんですよ。逆らえば、激痛が支配する」
デウスの言葉を、暁斗はすぐに理解できなかった。
想像の範疇を超えていた。
「この女は逆らったんですよ。逆らって、結局激痛に耐えきれず、心を壊した。そのおかげで、逆らうことのない、いい人形が手に入りましたがね」
「人形……?」
暁斗がポツリとつぶやく。
人形とは、何のことだ。
「ええ、そうです。私の指示に従ってのみ動く存在。それは人間とは言わないでしょう? この女は私の操り人形ですよ」
薄笑いを浮かべて語るデウスの言葉が、暁斗にはどうしても理解できない。
「これから、私に相応しい人形となるように躾けて、明日朝にでも皆様方にご紹介しようと思っていたんですよ。それなのに、こんなに早く来てしまうんですから」
ただ一つ分かったのは、デウスがリィカを害した、と言うこと。
リィカが虚ろな目をしているのは、デウスのせいだ、と言うこと。
暁斗は、聖剣に手をかける。
やることは一つ。
デウスを倒して、リィカを救う。それだけだ。
「おっと。動かない方がいいですよ。この人形がどうなっても良いのですか?」
嘲笑と共に言われた言葉に、暁斗は弾けるように聖剣から手を離した。
リィカはナイフを持ったままだ。
そのナイフが、左手の手首に当てられている。
動けないのは、暁斗だけではなかった。
うかつに動けば、デウスの命令で、リィカは簡単に自傷する。
そんな一行を、デウスは満足そうに眺めた。
「人形の躾は後回しですね。先に、勇者たちを倒すことを優先します」
デウスは言うと、後ろに下がる。
必然的に、リィカがデウスを庇うような位置に立つ。
「彼らに上級魔法を使いなさい。そうですね。《爆発の轟火》で良いでしょう。きちんと詠唱して使うのですよ」
「………………っ……!」
「やめろっ!!」
暁斗は唇を噛んだ。
叫んだのは、アレクだ。
《爆発の轟火》は、火の上級魔法だ。
間違っても、街中で使うような魔法ではない。
そんな魔法が放たれれば、この辺り一帯、どの程度の被害になるのか。
下手をすれば、魔族や魔物に襲撃された以上の被害になりかねない。
「『火よ。…………』…………?」
だが、ナイフを持った右手を前に出して、リィカが始めた詠唱は、最初の一句で止まった。
それ以上、唱えようとしない。
「…………え……」
「どうしたんですか!?」
暁斗の漏らした声に、デウスのやや慌てた声が重なった。
デウスにとっても、予想外だったようだ。
「やはり、そうですよね」
「詠唱、全く覚えてなかったもんな」
ユーリと泰基の、ホッとしたような、どこか呆れも含んだような会話が暁斗の耳に飛び込んできた。
「魔法封じの検証をした時、詠唱しろと言ったら、全く覚えていなかったんだよ」
泰基が、苦笑交じりに説明した。
(そう言えば、そんな事言ってたっけ)
今朝の朝食の時だ。
検証したと言って、その結果を教えてくれたのだ。
アレクがなぜか不機嫌だったことだけ、記憶に残っているが。
そう。
今朝は何も変わりなく、一緒に食事をしていたのに。
「しょうがないですねぇ。無詠唱などという神への反逆者は、まさか、感謝の言葉すら覚えていないとは」
デウスの言葉に、暁斗は意識を戻す。
「今は目を瞑りましょう。後でしっかり躾けますからね。無詠唱で構いません。魔法を使って、勇者一行を倒しなさい」
「《爆発の轟火》」
デウスの言葉に、間髪入れることなく、リィカが上級魔法を唱えた。
「リィカ!!」
アレクが叫ぶ。
けれど、暁斗は目を見開いた。
――魔法は、発動しなかった。
「は?」
デウスは、驚きなのか意外だったのか、何が起こったのか分かっていない様子だった。
それを見て、暁斗は一瞬で判断する。
リィカに向かって、駆け出した。
「あっ、はっ……!? な、何をしてるんです! さっさと魔法を使いなさい!!」
駆け出した暁斗を見て、デウスが慌てた。明らかに混乱している。
だが、構わず暁斗は駆けた。
「《爆発の轟火》」
再びリィカが魔法を唱える。
しかし、発動しない。
そう、発動しない。するはずない。
背後に気配を感じた。
ユーリと泰基だ。
二人も動くと思った。二人も、魔法は発動しないと分かったはずだから。
「あの首輪、どうすればいいの!?」
振り返りもせずに聞く。
自分たちじゃ分からない。ユーリなら、もしかしたら。
「魔力を一気に流しこむ事で破壊した、と伝承にあります!」
すぐ返ってきた答えに、すごいなと思う。
いつだったか、学園での成績は上位にあると得意げに言っていたけれど、それだけの事はあると思う。
「オレがリィカを抑える! 首輪は父さんとユーリ、お願い!」
「無理するなよ!」
泰基から注意があったけれど、リィカはもう目の前だ。
動けないように押さえ込める自信は、あった。
「剣を! 剣を使いなさい!!」
けれど、デウスの声がして、リィカが動く。
腰の剣を抜き放った。
暁斗の目の前で、リィカが剣を構える。
あと一歩、遅かった。
暁斗は、剣を構えるリィカと対峙した。
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