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第一章 魔王の誕生と、旅立ちまでのそれぞれ
14.リィカ⑥
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カランカラン
扉を開けると、軽い音を立てた。
「いらっしゃいませ……リィカ!?」
中にいた女性は、入ってきたわたしを見て、驚いたように声を上げた。
「ただいま、お母さん。久しぶり」
そう言って、わたしは笑った。
わたしと一緒に王都に出てきたお母さんは、今食堂で働いている。
家に行ったらいなかったので、仕事場に来てみた。
「どうしたの、リィカ。……ああ、そういえば長期休みに入ったんだっけ?」
「うん、そうなんだけど。お母さん、今日仕事何時まで?」
「何時って、夜まであるけど……」
お母さんは少し困ったようにそう言ったけれど、わたしとしても仕事の邪魔をするつもりはない。
「じゃあ、家で待ってていい?」
「それは別に構わないけど……」
「マディナさん、いいよ。今日は上がりな!」
お母さんの語尾に被るように、奥から声が聞こえて、女性が一人顔を出した。
マディナ、というのは、母の名前だ。
「でも……」
「気にしなくていいよ。子供のことで母親の予定が狂うなんて当たり前。あんただってそうやって抜けた穴のフォロー、何度もしてきてくれただろ。だからほら、さっさと帰り支度してきな」
「あの、わたし、母の仕事を邪魔するつもりはないので……!」
何やら妙な方向に話が進んでしまったので、慌てて言い募ったが、
「気にすることないよ。ほら、マディナさん、行った行った!」
お母さんが一礼して出て行くのを、黙って見送る事になってしまった。
「しっかし、あんたがリィカちゃんか。マディナさんそっくりだねえ。あたしは、この食堂取りまとめてるカーラっていうんだ。よろしく」
「……は、はい。リィカです。母がお世話になってます」
「いやいや、助かってるよ、こっちも。マディナさん目当ての客も増えたしね」
カハハハ、と笑うカーラさんは、何というか格好いい。
「……あの、一昨日あんな事があったのに、それでもお店やっているんですね」
一昨日。魔王が誕生して魔物があふれた日だ。お店を開くどころじゃない、と思うのに。
「……まあ、さすがにね。あの日は店閉めたけど、昨日からは普通にやってるよ。この辺はちょこっと魔物は出たけど、すぐに兵士が倒してくれて、被害らしい被害はないしね。この先どうなるか分からないから、稼げるうちに稼いでおかないと」
商売やっている人はたくましい、なんて聞いたことはあるけれど、確かにその通りだ。
「リィカ、おまたせ。帰るよ」
お母さんが顔を出したので、わたしはカーラさんに頭を下げて後を追った。
「それで、どうしたの急に。今までほとんど帰ってこなかったのに」
家に帰ると、座って話を始めた。
「……それはごめんなさい。寮の食事が無料で食べられるから、つい、まあいいかなぁ、みたいな……」
あははは、と笑ってごまかす。それも確かに理由の一つだが、魔法の練習に夢中になっていた、というのも正直大きい。
いつでも帰ろうと思えば帰れると思うと、かえって帰る機会が少なくなるのかも知れない。
「お母さん、一昨日、この辺は被害なかったの?」
突然のわたしの話題変更に、不思議そうに首をかしげながらも、
「――もしかして、それが心配だった? この辺は大したことなかったね。魔物に驚いて転んだどこかのおばさんがうるさかったくらい」
「どこかのおばさん?」
「いるのよ。いつもいつもキーキー喚いているおばさんが」
心底ウンザリという母の様子に思わず苦笑いしてしまった。
確かに平和だったようだ。
「あんたのところはどうだったの?」
そうお母さんに聞かれて、切り出してもらえて助かった、と思った。
「たくさん出たよ、魔物。どのくらいいるか先が見えないくらい」
そう言えば、お母さんが呆然とした顔をしている。
「魔物と戦ったんだ、わたし。この国の王子殿下とか、有名な騎士団長様の息子様とか、神官長の息子様とかと一緒に」
「……リィカ?」
「お母さん。わたしね、魔法に関しては優秀なんだよ? 試験も一位を取った。王子殿下方と四人で戦っているとき、大変なのに楽しくて。また一緒に戦いたいな、なんて思っちゃったくらい」
「待ちなさい、リィカ。……あんた、危険な目に合ってたの?」
そういう母の顔は、心配しているのと怒っているのと半々くらいの顔をしていた。
「うん、危険と言えば危険だった。……あ、全部回復してもらったから、どこもなんともないよ」
「そういう問題じゃないでしょ! 今すぐにでも学園に文句を言って……!」
「お母さん、ほんとにいいんだって。本題はそこじゃなくて……!」
立ち上がって今すぐにでも殴り込みかけないお母さんに、待ったをかける。
「……じゃあなんなの」
不承不承座り直してくれたお母さんに、本題を告げた。
「王子殿下方がね、召喚された勇者様と一緒に魔王討伐の旅に出るんだって。それで、わたしも一緒に来てもらえないか、って話があったの」
ガタン、とお母さんが椅子を倒して立ち上がっていた。
「わたしね……」
「断りなさい! そんなの!」
言いかけたわたしの言葉を、お母さんの悲鳴のような声が遮った。
見れば、お母さんは必死の形相をしていた。
「あんたが断れないなら、お母さんが断ってあげるから……!」
「そうじゃないの」
ごめんなさい、と心の中で謝って、
「わたし、一緒に行きたいな、って思ったの」
そう自分の気持ちを告げた。
また、あの人達と一緒に戦ってみたい。そう思うわたしの、リィカの気持ち。
それよりも何よりも、勇者に会いたい、という前世の、凪沙の願い。
――いや、そうじゃない。
あの、勇者の名前を聞いた瞬間、わたしの中に凪沙の記憶と感情が入り込んできた。あくまで前世は前世、今の自分とは違う、と思っていたはずなのに、わたしは凪沙の感情を自分の感情のように感じてしまっている。
だから、どうしても思ってしまう。泰基と暁斗の力になりたいと、強く望んでしまっている。
けれど。
「――何言ってるの! あんたは!!」
お母さんに話せば反対されるかな、と思った。でも、たった一人の母に何も告げない選択をできるはずもなくて、こうして来たんだけど、正直思った以上だった。
「わたし、一緒に行きたいの」
だから、せめてまっすぐに気持ちをぶつけてみる。
「…………………………………………」
お母さんはしばらく黙ってしまったけれど、やがてため息を吐きながら椅子に座り直した。
「……あんたね、命の危険もそうなんだけど……、その一緒に行くっていうの、王子様やら貴族様やら……みんな男なんでしょ? 分かってんの?」
「……? うん、みんな男だけど……?」
何が言いたいのかが分からず、首をかしげると、さらにお母さんはため息をついた。
「分かってないね。……王子様やら貴族様やらが、旅の途中でたかだか平民の女一人……どうにでもしようと思えばできちゃうんじゃないの?」
曖昧でやっぱりよく分からない。……どうにでもできる……ってなに……、て、あ!
やっとピンときたわたしは、思わず両手で自分の身体をぎゅっと抱きしめてしまう。
「違う違う違う違う!!! それは絶対ないから!!! みんなすごく誠実な人たちだよ!」
「……そうだといいけどねえ」
お母さんの深刻そうな表情に、母の過去を知っているわたしとしては黙るしかない。
「……まあ、しょうがないか。あんたは行きたいんだもんね」
その言葉にわたしは大きく目を見開いた。
「……いいの?」
「正直賛成したくはないけどね。それでも、自分でやりたいって決めたことなら、やった方がいい。ま、旅の間に処女なくしちゃったら、素直にそう言いなさい。慰めてあげるから」
「――お母さん!!」
だから、なんてこと言うんだ。
多分顔が真っ赤になってるだろう、わたしを見てお母さんが笑うと、席をたった。
「――リィカ、ちょっと待ってなさい」
「…………?」
ゴソゴソお母さんの私物が置いてある辺りをしていたが、何かを持って戻ってきた。
「奥にしまい込んでそのまま、出すつもりもなかったんだけどね。――ほら、リィカ」
そう言って、小さな丸いものを渡された。しかし、それはただの石ころだった。
「この石ころが何か……あれ、何か印が書いてある?」
「ああ、あんたの父親に当たる人物が、その印の書かれた腕輪をつけてたんだよ」
「………え……」
わたしに父親はいない。ずっとお母さん一人で育ててくれた。
誰が父親なのか、お母さんだって知らない。
お母さんは、暗闇の中で男に襲われて……それでわたしを妊娠してしまったから。
もう一度、その石ころを見る。
それは印なんかじゃなかった。――多分、どこかの貴族の紋章だ。
「お母さんのへぼ魔法が役に立った唯一の代物だよ。――あんたにあげるよ、それ。探せって訳じゃないけど、これから王子様なんかと旅をするんなら、貴族と会う事もあるんだろうし。知らない方よりは知っていた方がいい。だから、持っていきな」
わたしの父親の、唯一の手がかり。
「分かった。もらっとく。でもお母さん、わたし父親なんてどうでもいいの」
「知ってるよ」
そう言って、お母さんは笑っていた。
その日は、お母さんと一緒に過ごして、夜も一緒に寝た。
村にいたとき、いつもそうしていたように。
そして、次の日。
「じゃあ、お母さん、行ってくるね」
「行ってらっしゃい、リィカ。――ちゃんと、帰ってきて顔を見せるんだからね」
「――うん」
無事で、とも、気をつけて、とも言わなかった。ただ、帰ってこい、とだけ言われた。
その約束だけは絶対に守る、とそう思いながら、家を後にした。
扉を開けると、軽い音を立てた。
「いらっしゃいませ……リィカ!?」
中にいた女性は、入ってきたわたしを見て、驚いたように声を上げた。
「ただいま、お母さん。久しぶり」
そう言って、わたしは笑った。
わたしと一緒に王都に出てきたお母さんは、今食堂で働いている。
家に行ったらいなかったので、仕事場に来てみた。
「どうしたの、リィカ。……ああ、そういえば長期休みに入ったんだっけ?」
「うん、そうなんだけど。お母さん、今日仕事何時まで?」
「何時って、夜まであるけど……」
お母さんは少し困ったようにそう言ったけれど、わたしとしても仕事の邪魔をするつもりはない。
「じゃあ、家で待ってていい?」
「それは別に構わないけど……」
「マディナさん、いいよ。今日は上がりな!」
お母さんの語尾に被るように、奥から声が聞こえて、女性が一人顔を出した。
マディナ、というのは、母の名前だ。
「でも……」
「気にしなくていいよ。子供のことで母親の予定が狂うなんて当たり前。あんただってそうやって抜けた穴のフォロー、何度もしてきてくれただろ。だからほら、さっさと帰り支度してきな」
「あの、わたし、母の仕事を邪魔するつもりはないので……!」
何やら妙な方向に話が進んでしまったので、慌てて言い募ったが、
「気にすることないよ。ほら、マディナさん、行った行った!」
お母さんが一礼して出て行くのを、黙って見送る事になってしまった。
「しっかし、あんたがリィカちゃんか。マディナさんそっくりだねえ。あたしは、この食堂取りまとめてるカーラっていうんだ。よろしく」
「……は、はい。リィカです。母がお世話になってます」
「いやいや、助かってるよ、こっちも。マディナさん目当ての客も増えたしね」
カハハハ、と笑うカーラさんは、何というか格好いい。
「……あの、一昨日あんな事があったのに、それでもお店やっているんですね」
一昨日。魔王が誕生して魔物があふれた日だ。お店を開くどころじゃない、と思うのに。
「……まあ、さすがにね。あの日は店閉めたけど、昨日からは普通にやってるよ。この辺はちょこっと魔物は出たけど、すぐに兵士が倒してくれて、被害らしい被害はないしね。この先どうなるか分からないから、稼げるうちに稼いでおかないと」
商売やっている人はたくましい、なんて聞いたことはあるけれど、確かにその通りだ。
「リィカ、おまたせ。帰るよ」
お母さんが顔を出したので、わたしはカーラさんに頭を下げて後を追った。
「それで、どうしたの急に。今までほとんど帰ってこなかったのに」
家に帰ると、座って話を始めた。
「……それはごめんなさい。寮の食事が無料で食べられるから、つい、まあいいかなぁ、みたいな……」
あははは、と笑ってごまかす。それも確かに理由の一つだが、魔法の練習に夢中になっていた、というのも正直大きい。
いつでも帰ろうと思えば帰れると思うと、かえって帰る機会が少なくなるのかも知れない。
「お母さん、一昨日、この辺は被害なかったの?」
突然のわたしの話題変更に、不思議そうに首をかしげながらも、
「――もしかして、それが心配だった? この辺は大したことなかったね。魔物に驚いて転んだどこかのおばさんがうるさかったくらい」
「どこかのおばさん?」
「いるのよ。いつもいつもキーキー喚いているおばさんが」
心底ウンザリという母の様子に思わず苦笑いしてしまった。
確かに平和だったようだ。
「あんたのところはどうだったの?」
そうお母さんに聞かれて、切り出してもらえて助かった、と思った。
「たくさん出たよ、魔物。どのくらいいるか先が見えないくらい」
そう言えば、お母さんが呆然とした顔をしている。
「魔物と戦ったんだ、わたし。この国の王子殿下とか、有名な騎士団長様の息子様とか、神官長の息子様とかと一緒に」
「……リィカ?」
「お母さん。わたしね、魔法に関しては優秀なんだよ? 試験も一位を取った。王子殿下方と四人で戦っているとき、大変なのに楽しくて。また一緒に戦いたいな、なんて思っちゃったくらい」
「待ちなさい、リィカ。……あんた、危険な目に合ってたの?」
そういう母の顔は、心配しているのと怒っているのと半々くらいの顔をしていた。
「うん、危険と言えば危険だった。……あ、全部回復してもらったから、どこもなんともないよ」
「そういう問題じゃないでしょ! 今すぐにでも学園に文句を言って……!」
「お母さん、ほんとにいいんだって。本題はそこじゃなくて……!」
立ち上がって今すぐにでも殴り込みかけないお母さんに、待ったをかける。
「……じゃあなんなの」
不承不承座り直してくれたお母さんに、本題を告げた。
「王子殿下方がね、召喚された勇者様と一緒に魔王討伐の旅に出るんだって。それで、わたしも一緒に来てもらえないか、って話があったの」
ガタン、とお母さんが椅子を倒して立ち上がっていた。
「わたしね……」
「断りなさい! そんなの!」
言いかけたわたしの言葉を、お母さんの悲鳴のような声が遮った。
見れば、お母さんは必死の形相をしていた。
「あんたが断れないなら、お母さんが断ってあげるから……!」
「そうじゃないの」
ごめんなさい、と心の中で謝って、
「わたし、一緒に行きたいな、って思ったの」
そう自分の気持ちを告げた。
また、あの人達と一緒に戦ってみたい。そう思うわたしの、リィカの気持ち。
それよりも何よりも、勇者に会いたい、という前世の、凪沙の願い。
――いや、そうじゃない。
あの、勇者の名前を聞いた瞬間、わたしの中に凪沙の記憶と感情が入り込んできた。あくまで前世は前世、今の自分とは違う、と思っていたはずなのに、わたしは凪沙の感情を自分の感情のように感じてしまっている。
だから、どうしても思ってしまう。泰基と暁斗の力になりたいと、強く望んでしまっている。
けれど。
「――何言ってるの! あんたは!!」
お母さんに話せば反対されるかな、と思った。でも、たった一人の母に何も告げない選択をできるはずもなくて、こうして来たんだけど、正直思った以上だった。
「わたし、一緒に行きたいの」
だから、せめてまっすぐに気持ちをぶつけてみる。
「…………………………………………」
お母さんはしばらく黙ってしまったけれど、やがてため息を吐きながら椅子に座り直した。
「……あんたね、命の危険もそうなんだけど……、その一緒に行くっていうの、王子様やら貴族様やら……みんな男なんでしょ? 分かってんの?」
「……? うん、みんな男だけど……?」
何が言いたいのかが分からず、首をかしげると、さらにお母さんはため息をついた。
「分かってないね。……王子様やら貴族様やらが、旅の途中でたかだか平民の女一人……どうにでもしようと思えばできちゃうんじゃないの?」
曖昧でやっぱりよく分からない。……どうにでもできる……ってなに……、て、あ!
やっとピンときたわたしは、思わず両手で自分の身体をぎゅっと抱きしめてしまう。
「違う違う違う違う!!! それは絶対ないから!!! みんなすごく誠実な人たちだよ!」
「……そうだといいけどねえ」
お母さんの深刻そうな表情に、母の過去を知っているわたしとしては黙るしかない。
「……まあ、しょうがないか。あんたは行きたいんだもんね」
その言葉にわたしは大きく目を見開いた。
「……いいの?」
「正直賛成したくはないけどね。それでも、自分でやりたいって決めたことなら、やった方がいい。ま、旅の間に処女なくしちゃったら、素直にそう言いなさい。慰めてあげるから」
「――お母さん!!」
だから、なんてこと言うんだ。
多分顔が真っ赤になってるだろう、わたしを見てお母さんが笑うと、席をたった。
「――リィカ、ちょっと待ってなさい」
「…………?」
ゴソゴソお母さんの私物が置いてある辺りをしていたが、何かを持って戻ってきた。
「奥にしまい込んでそのまま、出すつもりもなかったんだけどね。――ほら、リィカ」
そう言って、小さな丸いものを渡された。しかし、それはただの石ころだった。
「この石ころが何か……あれ、何か印が書いてある?」
「ああ、あんたの父親に当たる人物が、その印の書かれた腕輪をつけてたんだよ」
「………え……」
わたしに父親はいない。ずっとお母さん一人で育ててくれた。
誰が父親なのか、お母さんだって知らない。
お母さんは、暗闇の中で男に襲われて……それでわたしを妊娠してしまったから。
もう一度、その石ころを見る。
それは印なんかじゃなかった。――多分、どこかの貴族の紋章だ。
「お母さんのへぼ魔法が役に立った唯一の代物だよ。――あんたにあげるよ、それ。探せって訳じゃないけど、これから王子様なんかと旅をするんなら、貴族と会う事もあるんだろうし。知らない方よりは知っていた方がいい。だから、持っていきな」
わたしの父親の、唯一の手がかり。
「分かった。もらっとく。でもお母さん、わたし父親なんてどうでもいいの」
「知ってるよ」
そう言って、お母さんは笑っていた。
その日は、お母さんと一緒に過ごして、夜も一緒に寝た。
村にいたとき、いつもそうしていたように。
そして、次の日。
「じゃあ、お母さん、行ってくるね」
「行ってらっしゃい、リィカ。――ちゃんと、帰ってきて顔を見せるんだからね」
「――うん」
無事で、とも、気をつけて、とも言わなかった。ただ、帰ってこい、とだけ言われた。
その約束だけは絶対に守る、とそう思いながら、家を後にした。
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