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4章 波乱
それぞれの旅立ち
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アーベンはミエラの話を聞きながら、ゆるりと振り返った。背後には、つい先ほど通り過ぎた街の門がぽつりと遠ざかっていた。
かつては栄華と誇りに満ちていたこの都市も、いまやその面影はどこにもない。
ただ崩れ落ちた石壁と、焦げた大地と、静けさが残されているだけだった。
彼の視線は、やがて遠くにそびえる王城へと移る。外見は保っているように見えたが、その内部で起きたであろう惨劇と、自らが知る最後の光景が脳裏に過り――それはもはや“墓標”のように思えた。
さらにその上空には、遠くの貴族たちに異変を知らせる「積み木火」の煙が細くたなびいていた。
だが、果たしてこの火を見て、誰が動くのだろう。
すでに街からは、悲鳴ひとつ聞こえない。ただ、死と終焉の静寂が街を覆い尽くしていた。
――国が崩れた。
その事実を前にしても、アーベンの胸を満たしていたのは、怒りや悲しみではなかった。
むしろ、自分が生き残っているという事実に対する、説明のつかない高揚感。
理不尽にも思える運命の“選別”に選ばれたことへの、戸惑い混じりの昂ぶりだった。
ミエラの語る話によって、弟レグラスがこの地に戻ってきた理由はわかった。
そして、彼が向かった先――あの城に起きたであろう運命を思えば、生きている可能性は限りなく低い。
それでも――アーベンは、もう一人の弟・ケイオスだけは生きていると思っていた。
ケイオスは、不可解な存在だった。
時に思慮深く、時に衝動的で、母が亡くなってからは特に――その行動は誰にも予測できなかった。
冷静なふりをしながらも、激情を秘めている。そういう男だった。
(もし生きていれば、またどこかで出会うだろう。死んでいたのなら……それは、それまでのことだ)
そう割り切ろうとしながら、アーベンは平原に広がる一行を見渡した。
先行していたジンが、アイリーンを平らな草地へと静かに寝かせており、その隣ではアイシャが無力に横たわっていた。
アーベンの視線は、背後に静かに佇む二人の男に移る。
一人は“バラン”――もう一人は、“ブロブ”。
バランの視線と、アーベンの視線が交差した瞬間、言葉にせずとも問いが交わされた。
その瞳が語っていたのは――
――竜族ですが、よろしいのですか? 本当に助けるおつもりで?
という、静かな確認だった。
ブロブはその感情を表には出さなかったが、沈黙が同じ問いを暗に放っていた。
アーベン自身が、かつて命じていたのだ。
“神との戦い”に備え、運命の竜族――つまり、アイリーンのような存在を排除すべし、と。
だが、結果はオーデントの崩壊。
それは誰の手によってもたらされたのか――もはや問いすら意味をなさない。
今さら一人の眷属を殺したところで、何が変わる?
それよりも――
彼女の側にいることが、何か“意味”を持っているのではないか。
そう思わせるほどに、アイリーンという存在は異質だった。
何より、もし本気で竜族を屠るつもりだったならば、バラン一人で十分だっただろう。
だが、自身はブロブに命じそうはしなかった。そしてブロブも殺さなかった。
(……これもまた、運命なのか?)
アーベンは心の奥底で、試したいという衝動に駆られていた。
今ここで、命じてみたら――「彼女を殺せ」と。
果たしてそれは実行されるのか。
あるいは、“何か”がそれを阻むのか。
その思考の渦に身を任せながら、アーベンはアイリーンのもとへと歩を進めた。
背後には、バランとブロブが音もなく続いていた。
「もう少し街から離れた方がいいんじゃないか?」
と、盗賊ロスティンがぼやくように言った。それに対して、ジンが静かに首を振る。
「気配はもうない。……それに、ミエラも休ませた方がいい」
ボルボは黙って頷き、ミエラをそっと草地へと下ろした。ミエラはすぐに顔をあげ、焦るような眼差しをアーベンへと向ける。
「アーベン王子……いえ、バランさん。お願いです」
その言葉を受け、アーベンはわずかに笑みを浮かべながらも、内心に渦巻く衝動を押し殺し、バランへと視線を向けた。
「……治癒を頼めるか?」
その一言に、バランはフードの奥から口元だけを覗かせ、無言で頷いた。
彼はゆっくりと歩み寄り、アイリーン、そしてアイシャの前に膝をつく。
その姿には、感情も、ためらいも、偽善もなかった。
淡い光が、そっと辺りに満ちた。
その光に包まれるようにして、地に伏していた二人――アイリーンとアイシャの身体が徐々に癒えていく。特にアイシャの肌に浮かんでいた斑点や腫瘍は、時が進むごとに見る見るうちに引いていき、顔の輪郭がようやく本来の姿を取り戻し始めた。
安堵の表情がその場の空気に広がる中、ロスティンだけは表情を変えず、アーベンとその従者たちを鋭く見つめていた。
(やっかいだな…)
アーベンは内心で呟きながら、複数の選択肢を思考の中で巡らせていた。
――ミエラたちと共にオステリィアへ向かうか。
――あるいは一時的にミュリエル・エタハル辺境伯の城へと身を寄せるか。
――それとも、バランたち本来の属する国・テネグリアを目指し、途中でドラント・スマイグ辺境伯の領地を経由するべきか。
その思考をかき消すかのように、アイリーンとアイシャが目を開いた。
アイリーンが目を覚ました瞬間、ミエラは迷いなくその胸に飛び込んだ。
「アイリーン! 本当に、よかった…!」
困惑しながらも、アイリーンはそっと微笑み、優しくミエラの背を撫でる。
「ミエラちゃん…そっちこそ、無事でよかったわ」
一方、アイシャが目を開けるや否や、ロスティンが姿を見て
「よぉ、半端者。お互い命があって何よりだな」
アイシャは怒りと嫌悪感を滲ませ
「……あんたは半端者以下のクソ野郎。なんであんたたちが一緒にいるのよ」
ロスティンは軽く笑い飛ばしたが、アイシャの睨みは鋭かった。
場の空気を取り成すように、ジンが声を上げた。
「……とりあえず全員目を覚ましたってことで、情報を整理しよう。これからどうするかも含めて」
「賛成だ」とアーベンが応じた。「今後の動きについても決めておきたいところだね」
視線が集まり、自然と話し合いの輪が形成される。その中で、アイリーンから話を聞いたミエラから非難めいた眼差しを受けていたジンが、どこか気まずそうに口を開いた。
「……状況が状況だったんだ。いや、すまなかった」
鼻を鳴らすようにアイリーンがそっぽを向くと、ジンは肩をすくめるしかなかった。
そんな空気の中、ボルボがアーベンに話を振った。
「で、レグラスの兄貴ってわけのあんたは、無事に国を捨てて逃げおおせたってことか。これからどうするんだ?」
口調の荒さに眉をひそめながらも、アーベンは努めて柔らかく応じた。
「当初の予定通り、私はミエラたちと共にオステリィアを目指すつもりだよ。この先の道も把握しているし、途中にはミュリエル伯の城ヌーグリアもある。休息地として最適だ」
それを聞いたロスティンが眉をしかめた。
「おいおい、だがあんたはベイルガルドに狙われてるって話だったろ? そのまま引き連れてったら面倒なことになりかねねぇぜ」
それに対してアーベンは、わざとらしい驚きの声を上げた。
「おや? 君も同行するつもりだったのかい? それは知らなかったな」
皮肉を含んだやり取りに、ミエラは話題を切り替えるようにアイシャに向き直った。
「アイシャは、どうするつもり?」
アイシャは困ったように視線を落とし、静かに答えた。
「……まだ、わからない」
「そう」と、ミエラは微笑みながら呟いた。
そして視線は、バランとブロブへと移った。
「バランさん、ブロブさん。お二人はアーベン王子の傭兵と聞いていますが……これからはどうされるつもりですか?」
アーベンは口を挟まず、彼らに判断を委ねるように静かに見守っていた。オーデントがこうなってしまった以上は自身と結んだ約束は変わる。
道を違えるならそれもまた運命の流れ。同行するなら、それも良いと。
(彼らはテネグリアの者。聖教派の騎士――だが、いまはあえてそれを告げる必要はない)
バランはちらりとアーベンを見やり、淡々と答えた。
「私たちは雇われの身です。これからは――テネグリアへ戻るつもりです」
「テネグリア……」ミエラは、その名を繰り返した。
そこでアーベンが口を開き、簡潔に説明を補った。
「テネグリアは、神の信仰によって二つに分かれた国だ。献身の神デュヴァを信じる“聖教派”と、憤怒の神インガを崇める“眷民派”。王はおらず、民が神とその教えによって秩序を保っている」
ミエラは眉をしかめ
「眷民派ですか?」
アーベンはミエラの問いに
「聖教派からは悪神と呼ばれている憤怒の神が作り出した眷属が人と交わり、生まれた者達。それが街や村を作りそう呼ばれている」
ロスティンやアイシャは既に知っているのだろう、つまらなそうに話を聞き、口を挟むようにボルボが
「神が二人もいんのかよ…」
アーベンはその言葉に首を振り
「いや、既にその神々はこの世に顕現していない。だからこそ、ややこしいのだ」
ミエラたちは困ったような反応を示したが、アーベンは説明を続けた。
「聖教派の中でも、デュヴァ以外の神をも等しく身を捧げるべきとの穏健派がいる一方で、狂信する者もいる。そして眷民派は、インガを信仰として残しているが、大部分は人と交わり信仰等はなく、あくまで分ける意味で使われてる」
「それでも、テネグリアという国が成り立っているのはなぜか?」
その答えを、アーベン自身が呟いた。
「矛盾と信仰の歪みが、逆に均衡を保っているからさ。皮肉なことに、“献身”の名のもとで成立しているというわけだ」
そして、静かに声を落とす。
「……だからこそ、オーデントとの誓約を破った。難しいものだね」
その言葉に、しばし誰もが沈黙した。
その沈黙を破ったのは、ロスティンの気怠げな声だった。
「……まあ、テネグリアの事情なんざどうでもいい。気になるのは――なんで“信仰を捨てた”オーデントの王子様が、国の誓約を破ったテネグリアの“自称傭兵”と一緒にいるのかってことだ。腕も立つ、治癒もできる、片方は人間ですらなさそうだしな」
その言葉に、アーベンは静かに肩をすくめて応じた。
「説明の通り、彼らは傭兵だよ。仮にそれが建前だとして――今この場でそれを問い詰める必要があるだろうか?」
言葉は柔らかくも、その奥には冷ややかな警告が含まれていた。
皆の視線が自然と二人に集まり、空気がわずかに張り詰める。
ロスティンは皮肉げに笑いながらも一歩も引かず、言葉を継ぐ。
「ただの疑問だよ。あんたの国には“剣聖”と呼ばれる男がいるって噂もあるしな。もしかしたらと思ってさ」
場に緊張が走る中、バランが一歩前に出て、穏やかな口調で言葉を紡いだ。
「誤解を招いたようで、申し訳ありません。ロスティン殿、貴方の懸念は理解できます。そして――無用な敵意を抱かれぬよう、我々の存在が混乱の火種となっているのなら、それも甘んじて受け入れましょう」
彼の声は低く、落ち着いていた。
「ただ一点。私たちが何者であるか、それが“傭兵”なのか、あるいは別の存在か。それは今この場においては重要ではないと考えます。私たちは、貴方方と目的を同じくしたわけではない。テネグリアへ戻る道を進むのみ。それでも、共に剣を交えたという事実が、我々が敵でないことの証となれば幸いです」
静寂が戻る中、ロスティンは面倒そうに頭をかき、ため息交じりに言った。
「……だな。悪かったよ。疑って済まねぇな」
その場の緊張が解けるのを見計らうように、ジンが立ち上がり、声を張った。
「じゃあ――俺はベイルガルドへ向かう。他はオステリィアだな」
その言葉に、アイリーンが思わず声を荒げる。
「はぁ? あんた、オステリィアには行かないの? ベイルガルド行きなら、オステリィアを経由すりゃいい話でしょ!」
ミエラも驚いたようにジンを見つめる。
ジンはため息まじりに地図を広げた。
「地図を見ればわかるが、どう考えても遠回りなんだよ。時間も、道も、効率も悪い」
それを覗き込んだアーベンは呆れを隠さず、嘆息を漏らす。
「……それ、いつの時代の地図だい? アルベストの大雑把な地図じゃ詳細なんて把握できやしないさ。特に今の地形や勢力図を無視してる」
ジンはちらりとロスティンを見やる。するとロスティンは勝ち誇ったように鼻を鳴らす。
「今の状況じゃ、道案内なんざ引き受けられねぇよ。……お前が、俺を“ベイルガルドへ行く”って話に含めなかった理由がよく分かったわ」
ジンは乾いた笑みを浮かべる。
「まあ、予想通りってやつだな。……本来はロスティンが案内してくれる予定だったんだが、それも今は無し。しょうがない」
案の定、ミエラは不安そうに問いかけた。
「……一緒にオステリィアに来てくれるって、約束はもうなくなったの?」
ジンは申し訳なさそうに、しかし真っ直ぐな目で応えた。
「すまない……だが、国の今の有様を見て、少し考え直した。ただ、俺が約束したのは本当だ。もしミエラが望むなら――」
アーベンは呆れた。駄目とは言えない流れでよく言うと
(なるほど、思いつきと直感で生きてる口か。ある意味、潔い)
言葉の続きを待たずに、ミエラは案の定、静かに頷いた。
「……うん、大丈夫。もともとジンには目的があるって知ってたし。少し早いけど……気をつけて」
その言葉に対して、対照的にアイリーンはジンに罵声を浴びせ、ジンは軽く肩をすくめていた。
そのとき、無言だったボルボが立ち上がり、静かに言った。
「じゃあ、俺もお前と行くわ」
一同が驚く中、ボルボは頭をかきながら理由を続けた。
「お頭たちがベイルガルドに向かったって話したろ? 俺の勘が正しければ、あいつらはオステリィアなんて経由しないさ」
ジンとボルボが目を交わすと、互いに小さく頷いた。
それぞれが別れの言葉を交わす中、ただ一人――アイシャは俯いたままだった。
ミエラが優しく語りかける。
「アイシャも……私たちと一緒に、オステリィアに来ない?」
しかし、アイシャは目を伏せたまま、ロスティン、そしてアーベンを見つめると、ゆっくりと首を振った。
その様子にロスティンは呆れ顔で言った。
「構ってられねぇぞ、こっちは」
その言葉に、アイリーンが怒鳴り、ミエラの視線も冷ややかにロスティンへと向けられる。
そんな時――バランが静かに口を開いた。
「……ならば、私たちと来るか?」
その言葉にアイシャはビクリと肩を震わせた。
アーベンは驚いた。彼女はただの元盗賊の少女。しかも病に伏していたばかりで、今はまだ使い物にならない。それでも、なぜ彼は――
周囲も同様に訝しむ中、バランは一言だけ言った。
「少し年が上になりますが……娘がいるので」
その静かな言葉に、誰もが口を閉ざした。
アイシャは迷いながらも、ゆっくりと立ち上がり、バランに向けて小さく頭を下げる。そして隣に立つブロブを、どこか怯えるように見上げた。
アーベンは、そんな彼女を見て溜息を吐いた。
(よくもまあ、素性も知らぬ者と行けるものだ。だが……それも彼女が盗賊だった由縁か)
そして、それぞれが旅路につこうとしたとき――
バランが静かにアーベンに近づき、低く言った。
「アーベン王子。短い間でしたが、感謝を申し上げます。国同士の“願い”は叶いそうもありませんが……私の“願い”は、叶うかもしれません」
アーベンはしばし目を伏せ、そしてジンを一瞥すると、微笑んで答えた。
「ならば、良かったよ。……またどこかで」
その言葉にバランは静かに頷き、最後に、誰にも聞こえぬほどの小さな声で呟いた。
「――近いうちに、また」
かつては栄華と誇りに満ちていたこの都市も、いまやその面影はどこにもない。
ただ崩れ落ちた石壁と、焦げた大地と、静けさが残されているだけだった。
彼の視線は、やがて遠くにそびえる王城へと移る。外見は保っているように見えたが、その内部で起きたであろう惨劇と、自らが知る最後の光景が脳裏に過り――それはもはや“墓標”のように思えた。
さらにその上空には、遠くの貴族たちに異変を知らせる「積み木火」の煙が細くたなびいていた。
だが、果たしてこの火を見て、誰が動くのだろう。
すでに街からは、悲鳴ひとつ聞こえない。ただ、死と終焉の静寂が街を覆い尽くしていた。
――国が崩れた。
その事実を前にしても、アーベンの胸を満たしていたのは、怒りや悲しみではなかった。
むしろ、自分が生き残っているという事実に対する、説明のつかない高揚感。
理不尽にも思える運命の“選別”に選ばれたことへの、戸惑い混じりの昂ぶりだった。
ミエラの語る話によって、弟レグラスがこの地に戻ってきた理由はわかった。
そして、彼が向かった先――あの城に起きたであろう運命を思えば、生きている可能性は限りなく低い。
それでも――アーベンは、もう一人の弟・ケイオスだけは生きていると思っていた。
ケイオスは、不可解な存在だった。
時に思慮深く、時に衝動的で、母が亡くなってからは特に――その行動は誰にも予測できなかった。
冷静なふりをしながらも、激情を秘めている。そういう男だった。
(もし生きていれば、またどこかで出会うだろう。死んでいたのなら……それは、それまでのことだ)
そう割り切ろうとしながら、アーベンは平原に広がる一行を見渡した。
先行していたジンが、アイリーンを平らな草地へと静かに寝かせており、その隣ではアイシャが無力に横たわっていた。
アーベンの視線は、背後に静かに佇む二人の男に移る。
一人は“バラン”――もう一人は、“ブロブ”。
バランの視線と、アーベンの視線が交差した瞬間、言葉にせずとも問いが交わされた。
その瞳が語っていたのは――
――竜族ですが、よろしいのですか? 本当に助けるおつもりで?
という、静かな確認だった。
ブロブはその感情を表には出さなかったが、沈黙が同じ問いを暗に放っていた。
アーベン自身が、かつて命じていたのだ。
“神との戦い”に備え、運命の竜族――つまり、アイリーンのような存在を排除すべし、と。
だが、結果はオーデントの崩壊。
それは誰の手によってもたらされたのか――もはや問いすら意味をなさない。
今さら一人の眷属を殺したところで、何が変わる?
それよりも――
彼女の側にいることが、何か“意味”を持っているのではないか。
そう思わせるほどに、アイリーンという存在は異質だった。
何より、もし本気で竜族を屠るつもりだったならば、バラン一人で十分だっただろう。
だが、自身はブロブに命じそうはしなかった。そしてブロブも殺さなかった。
(……これもまた、運命なのか?)
アーベンは心の奥底で、試したいという衝動に駆られていた。
今ここで、命じてみたら――「彼女を殺せ」と。
果たしてそれは実行されるのか。
あるいは、“何か”がそれを阻むのか。
その思考の渦に身を任せながら、アーベンはアイリーンのもとへと歩を進めた。
背後には、バランとブロブが音もなく続いていた。
「もう少し街から離れた方がいいんじゃないか?」
と、盗賊ロスティンがぼやくように言った。それに対して、ジンが静かに首を振る。
「気配はもうない。……それに、ミエラも休ませた方がいい」
ボルボは黙って頷き、ミエラをそっと草地へと下ろした。ミエラはすぐに顔をあげ、焦るような眼差しをアーベンへと向ける。
「アーベン王子……いえ、バランさん。お願いです」
その言葉を受け、アーベンはわずかに笑みを浮かべながらも、内心に渦巻く衝動を押し殺し、バランへと視線を向けた。
「……治癒を頼めるか?」
その一言に、バランはフードの奥から口元だけを覗かせ、無言で頷いた。
彼はゆっくりと歩み寄り、アイリーン、そしてアイシャの前に膝をつく。
その姿には、感情も、ためらいも、偽善もなかった。
淡い光が、そっと辺りに満ちた。
その光に包まれるようにして、地に伏していた二人――アイリーンとアイシャの身体が徐々に癒えていく。特にアイシャの肌に浮かんでいた斑点や腫瘍は、時が進むごとに見る見るうちに引いていき、顔の輪郭がようやく本来の姿を取り戻し始めた。
安堵の表情がその場の空気に広がる中、ロスティンだけは表情を変えず、アーベンとその従者たちを鋭く見つめていた。
(やっかいだな…)
アーベンは内心で呟きながら、複数の選択肢を思考の中で巡らせていた。
――ミエラたちと共にオステリィアへ向かうか。
――あるいは一時的にミュリエル・エタハル辺境伯の城へと身を寄せるか。
――それとも、バランたち本来の属する国・テネグリアを目指し、途中でドラント・スマイグ辺境伯の領地を経由するべきか。
その思考をかき消すかのように、アイリーンとアイシャが目を開いた。
アイリーンが目を覚ました瞬間、ミエラは迷いなくその胸に飛び込んだ。
「アイリーン! 本当に、よかった…!」
困惑しながらも、アイリーンはそっと微笑み、優しくミエラの背を撫でる。
「ミエラちゃん…そっちこそ、無事でよかったわ」
一方、アイシャが目を開けるや否や、ロスティンが姿を見て
「よぉ、半端者。お互い命があって何よりだな」
アイシャは怒りと嫌悪感を滲ませ
「……あんたは半端者以下のクソ野郎。なんであんたたちが一緒にいるのよ」
ロスティンは軽く笑い飛ばしたが、アイシャの睨みは鋭かった。
場の空気を取り成すように、ジンが声を上げた。
「……とりあえず全員目を覚ましたってことで、情報を整理しよう。これからどうするかも含めて」
「賛成だ」とアーベンが応じた。「今後の動きについても決めておきたいところだね」
視線が集まり、自然と話し合いの輪が形成される。その中で、アイリーンから話を聞いたミエラから非難めいた眼差しを受けていたジンが、どこか気まずそうに口を開いた。
「……状況が状況だったんだ。いや、すまなかった」
鼻を鳴らすようにアイリーンがそっぽを向くと、ジンは肩をすくめるしかなかった。
そんな空気の中、ボルボがアーベンに話を振った。
「で、レグラスの兄貴ってわけのあんたは、無事に国を捨てて逃げおおせたってことか。これからどうするんだ?」
口調の荒さに眉をひそめながらも、アーベンは努めて柔らかく応じた。
「当初の予定通り、私はミエラたちと共にオステリィアを目指すつもりだよ。この先の道も把握しているし、途中にはミュリエル伯の城ヌーグリアもある。休息地として最適だ」
それを聞いたロスティンが眉をしかめた。
「おいおい、だがあんたはベイルガルドに狙われてるって話だったろ? そのまま引き連れてったら面倒なことになりかねねぇぜ」
それに対してアーベンは、わざとらしい驚きの声を上げた。
「おや? 君も同行するつもりだったのかい? それは知らなかったな」
皮肉を含んだやり取りに、ミエラは話題を切り替えるようにアイシャに向き直った。
「アイシャは、どうするつもり?」
アイシャは困ったように視線を落とし、静かに答えた。
「……まだ、わからない」
「そう」と、ミエラは微笑みながら呟いた。
そして視線は、バランとブロブへと移った。
「バランさん、ブロブさん。お二人はアーベン王子の傭兵と聞いていますが……これからはどうされるつもりですか?」
アーベンは口を挟まず、彼らに判断を委ねるように静かに見守っていた。オーデントがこうなってしまった以上は自身と結んだ約束は変わる。
道を違えるならそれもまた運命の流れ。同行するなら、それも良いと。
(彼らはテネグリアの者。聖教派の騎士――だが、いまはあえてそれを告げる必要はない)
バランはちらりとアーベンを見やり、淡々と答えた。
「私たちは雇われの身です。これからは――テネグリアへ戻るつもりです」
「テネグリア……」ミエラは、その名を繰り返した。
そこでアーベンが口を開き、簡潔に説明を補った。
「テネグリアは、神の信仰によって二つに分かれた国だ。献身の神デュヴァを信じる“聖教派”と、憤怒の神インガを崇める“眷民派”。王はおらず、民が神とその教えによって秩序を保っている」
ミエラは眉をしかめ
「眷民派ですか?」
アーベンはミエラの問いに
「聖教派からは悪神と呼ばれている憤怒の神が作り出した眷属が人と交わり、生まれた者達。それが街や村を作りそう呼ばれている」
ロスティンやアイシャは既に知っているのだろう、つまらなそうに話を聞き、口を挟むようにボルボが
「神が二人もいんのかよ…」
アーベンはその言葉に首を振り
「いや、既にその神々はこの世に顕現していない。だからこそ、ややこしいのだ」
ミエラたちは困ったような反応を示したが、アーベンは説明を続けた。
「聖教派の中でも、デュヴァ以外の神をも等しく身を捧げるべきとの穏健派がいる一方で、狂信する者もいる。そして眷民派は、インガを信仰として残しているが、大部分は人と交わり信仰等はなく、あくまで分ける意味で使われてる」
「それでも、テネグリアという国が成り立っているのはなぜか?」
その答えを、アーベン自身が呟いた。
「矛盾と信仰の歪みが、逆に均衡を保っているからさ。皮肉なことに、“献身”の名のもとで成立しているというわけだ」
そして、静かに声を落とす。
「……だからこそ、オーデントとの誓約を破った。難しいものだね」
その言葉に、しばし誰もが沈黙した。
その沈黙を破ったのは、ロスティンの気怠げな声だった。
「……まあ、テネグリアの事情なんざどうでもいい。気になるのは――なんで“信仰を捨てた”オーデントの王子様が、国の誓約を破ったテネグリアの“自称傭兵”と一緒にいるのかってことだ。腕も立つ、治癒もできる、片方は人間ですらなさそうだしな」
その言葉に、アーベンは静かに肩をすくめて応じた。
「説明の通り、彼らは傭兵だよ。仮にそれが建前だとして――今この場でそれを問い詰める必要があるだろうか?」
言葉は柔らかくも、その奥には冷ややかな警告が含まれていた。
皆の視線が自然と二人に集まり、空気がわずかに張り詰める。
ロスティンは皮肉げに笑いながらも一歩も引かず、言葉を継ぐ。
「ただの疑問だよ。あんたの国には“剣聖”と呼ばれる男がいるって噂もあるしな。もしかしたらと思ってさ」
場に緊張が走る中、バランが一歩前に出て、穏やかな口調で言葉を紡いだ。
「誤解を招いたようで、申し訳ありません。ロスティン殿、貴方の懸念は理解できます。そして――無用な敵意を抱かれぬよう、我々の存在が混乱の火種となっているのなら、それも甘んじて受け入れましょう」
彼の声は低く、落ち着いていた。
「ただ一点。私たちが何者であるか、それが“傭兵”なのか、あるいは別の存在か。それは今この場においては重要ではないと考えます。私たちは、貴方方と目的を同じくしたわけではない。テネグリアへ戻る道を進むのみ。それでも、共に剣を交えたという事実が、我々が敵でないことの証となれば幸いです」
静寂が戻る中、ロスティンは面倒そうに頭をかき、ため息交じりに言った。
「……だな。悪かったよ。疑って済まねぇな」
その場の緊張が解けるのを見計らうように、ジンが立ち上がり、声を張った。
「じゃあ――俺はベイルガルドへ向かう。他はオステリィアだな」
その言葉に、アイリーンが思わず声を荒げる。
「はぁ? あんた、オステリィアには行かないの? ベイルガルド行きなら、オステリィアを経由すりゃいい話でしょ!」
ミエラも驚いたようにジンを見つめる。
ジンはため息まじりに地図を広げた。
「地図を見ればわかるが、どう考えても遠回りなんだよ。時間も、道も、効率も悪い」
それを覗き込んだアーベンは呆れを隠さず、嘆息を漏らす。
「……それ、いつの時代の地図だい? アルベストの大雑把な地図じゃ詳細なんて把握できやしないさ。特に今の地形や勢力図を無視してる」
ジンはちらりとロスティンを見やる。するとロスティンは勝ち誇ったように鼻を鳴らす。
「今の状況じゃ、道案内なんざ引き受けられねぇよ。……お前が、俺を“ベイルガルドへ行く”って話に含めなかった理由がよく分かったわ」
ジンは乾いた笑みを浮かべる。
「まあ、予想通りってやつだな。……本来はロスティンが案内してくれる予定だったんだが、それも今は無し。しょうがない」
案の定、ミエラは不安そうに問いかけた。
「……一緒にオステリィアに来てくれるって、約束はもうなくなったの?」
ジンは申し訳なさそうに、しかし真っ直ぐな目で応えた。
「すまない……だが、国の今の有様を見て、少し考え直した。ただ、俺が約束したのは本当だ。もしミエラが望むなら――」
アーベンは呆れた。駄目とは言えない流れでよく言うと
(なるほど、思いつきと直感で生きてる口か。ある意味、潔い)
言葉の続きを待たずに、ミエラは案の定、静かに頷いた。
「……うん、大丈夫。もともとジンには目的があるって知ってたし。少し早いけど……気をつけて」
その言葉に対して、対照的にアイリーンはジンに罵声を浴びせ、ジンは軽く肩をすくめていた。
そのとき、無言だったボルボが立ち上がり、静かに言った。
「じゃあ、俺もお前と行くわ」
一同が驚く中、ボルボは頭をかきながら理由を続けた。
「お頭たちがベイルガルドに向かったって話したろ? 俺の勘が正しければ、あいつらはオステリィアなんて経由しないさ」
ジンとボルボが目を交わすと、互いに小さく頷いた。
それぞれが別れの言葉を交わす中、ただ一人――アイシャは俯いたままだった。
ミエラが優しく語りかける。
「アイシャも……私たちと一緒に、オステリィアに来ない?」
しかし、アイシャは目を伏せたまま、ロスティン、そしてアーベンを見つめると、ゆっくりと首を振った。
その様子にロスティンは呆れ顔で言った。
「構ってられねぇぞ、こっちは」
その言葉に、アイリーンが怒鳴り、ミエラの視線も冷ややかにロスティンへと向けられる。
そんな時――バランが静かに口を開いた。
「……ならば、私たちと来るか?」
その言葉にアイシャはビクリと肩を震わせた。
アーベンは驚いた。彼女はただの元盗賊の少女。しかも病に伏していたばかりで、今はまだ使い物にならない。それでも、なぜ彼は――
周囲も同様に訝しむ中、バランは一言だけ言った。
「少し年が上になりますが……娘がいるので」
その静かな言葉に、誰もが口を閉ざした。
アイシャは迷いながらも、ゆっくりと立ち上がり、バランに向けて小さく頭を下げる。そして隣に立つブロブを、どこか怯えるように見上げた。
アーベンは、そんな彼女を見て溜息を吐いた。
(よくもまあ、素性も知らぬ者と行けるものだ。だが……それも彼女が盗賊だった由縁か)
そして、それぞれが旅路につこうとしたとき――
バランが静かにアーベンに近づき、低く言った。
「アーベン王子。短い間でしたが、感謝を申し上げます。国同士の“願い”は叶いそうもありませんが……私の“願い”は、叶うかもしれません」
アーベンはしばし目を伏せ、そしてジンを一瞥すると、微笑んで答えた。
「ならば、良かったよ。……またどこかで」
その言葉にバランは静かに頷き、最後に、誰にも聞こえぬほどの小さな声で呟いた。
「――近いうちに、また」
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