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魔法学園編
158 魔物討伐? 11
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ナタリアの凍結の魔法もモラガル王国の王宮魔導師には完全に溶かしきることができなかったようで、凍結の進行を抑えるための治療が毎日されているようだった。
イーコスの問題は解決したとして、我々はモラガル王国の王太子のことは一旦忘れることにした。
魔魚が出るという海沿いの国では何か問題があるのか聞いたところ、魔魚は漁村の貴重な食料であり、収入源でもあるということなので、我々がわざわざ出向く必要はなさそうだった。
魔虫については活動時期ではないため、今は特に討伐は必要ないようだ。
しかし、例年、魔虫の被害がある国では、次の活動時期には是非討伐に協力してほしいと申し出があった。
稼働時期が秋のため、次の魔法学園の開始時期と重なる頃だろう。
今回は結局、戦闘という意味では実践訓練はできなかったので、半年間、それぞれの国で自身を鍛錬し、二年生の初めに魔虫の討伐に出向くという話になった。
春の気配が迫ってきた冬の終わり、終業式のパーティーで我々は次に会う時までにお互いに成長をしていることを約束した。
魔法学園で一緒に学んだ半年間は我々に仲間意識を芽生えさせ、絆を深めるには非常に有意義ないい時間だった。
最初は魔塔の魔法使いたちがどんどんと生徒たちを退学させるため不安だったが、結局は魔塔の魔法使いたちが選抜した性格のいい生徒たちが残ってくれたため、我々は半年という短い期間で絆を育むことができたのだと思う。
魔法学園は春夏の間は閉校しているため、生徒たちは国に戻り自身で魔法の学習を深める必要がある。
資金に余裕があれば魔塔の魔法使いを家庭教師に招くところもあるだろうし、王宮魔法使いがいれば教えを請うこともできるだろうが、一人で学習を進めなければいけない生徒も多いだろう。
わからないことがあれば手紙を出してもいいだろうかと生徒たちに聞かれて、私は了承した。
それがいけなかったのか、授業の内容とは関係のない話の手紙も届くし、パーティーやお茶会の誘いも多い。
しかし、魔法学園にいた頃と違い、誘いに応じるには国を跨ぐ必要がある。
つまり、それなりの距離があるのだが、なぜ、皆、こうも気軽に誘ってくるのだろうか?
その疑問を口にしたところ、カルロが数回瞬いた。
不思議そうな表情も安定の可愛さだ。
「リヒト様はみんなの前でダンジョンの浄化をされましたよね?」
カルロの指摘に私は両手で顔を覆った。
「あれを見て、私が光属性も使えることがみんなにもわかってしまったのか?」
「はい」とカルロの返事は聞くまでもない。
生徒たちは魔法学園でそれだけの学習を積み重ねたのだ。
私が魔力で形成した魔法陣を見れば、どの属性が使われているかなど一目瞭然だったはずだ。
「でも、だからって転移魔法が使えることまでバレてはいないだろう?」
わずかな希望に縋ったが、カルロは首を横に振った。
「リヒト様は魔塔主のお気に入りで実際他の者と同様に受けた入学試験では首席でした。ダンジョンの浄化で光属性の魔法を使った時点で、リヒト様が隠しているものがなんなのか気づいた者は多かったと思いますし、私はわざとリヒト様が気づかせたのだと思っていました」
カルロは私を信用しすぎだ。
私だってこうして失敗をするのだ。
「いや、光属性が使え、転移魔法が使えることは隠しておくつもりだった」
バレてしまったのは、ただの私のミスだ。
「つまり、他国の王侯貴族にも私が光属性の魔法が使えることは知れ渡ってしまうということか……」
光属性の魔法使いは非常に貴重だからバレないように気をつけていたにも関わらず、魔法学園が始まってこんなにすぐにバレてしまうなんて……
そう私が頭を抱えていると、「それは大丈夫でしょう」とカルロが言った。
「リヒト様は皆が帰宅の途に着く時には生徒会室で業務をしていましたのでご存知ありませんが、皆が校舎から出る時に魔塔主が契約書を書かせたのです」
「契約書?」
「教師たちがうっかり漏らした魔塔の研究内容について、それからリヒト様の属性と使える魔法については機密事項にあたるため、決して漏らさぬようにと魔法の契約書を用意して署名させていました。生徒たちは国でリヒト様の魔法について話そうとしても話せません。もちろん、筆記で知らせることも不可能です。無理矢理にでも契約を破ろうとすれば肉片になると魔塔主が言っていました」
生徒たちになんて契約を結ばせるんだと思ったが、正直、助かった。
しかし、その契約書、私はサインをしていないのだが、いいのだろうか?
ちなみに、私が城に戻った時には両親は涙目で私を迎えてくれた。
少しやつれているような気もしたし、同じエトワール国内にいながら特に事件の話は聞かなかったが、何かあったのかと思って聞くと、両親はまさかこんなに長く私に会えないとは思わなかったと肩を落とした。
ルシエンテ帝国の城にいた時も用事があれば帰っていたし、帝国傘下の国を周遊している時もちょくちょく帰っていたため、寮生活とはいえどすぐに会えると思っていたらしい。
しかし、他の生徒たちが季節二つ分両親と離れて寮生活を送るのだ。
私だけ好きな時に気軽に家に帰るわけにもいかない。
そう思って魔法学園にいる間は一度も帰らなかったのだが、両親は転移魔法の使える私とまさかこんなに会えないとは思わなかったようで、私に会えないストレスで食事の量が減り、やつれてしまったそうだ。
私は相変わらず子煩悩すぎる二人に苦笑してしまった。
そして、一瞬だけ前世のことを思い出し、胸が痛くなった。
イーコスの問題は解決したとして、我々はモラガル王国の王太子のことは一旦忘れることにした。
魔魚が出るという海沿いの国では何か問題があるのか聞いたところ、魔魚は漁村の貴重な食料であり、収入源でもあるということなので、我々がわざわざ出向く必要はなさそうだった。
魔虫については活動時期ではないため、今は特に討伐は必要ないようだ。
しかし、例年、魔虫の被害がある国では、次の活動時期には是非討伐に協力してほしいと申し出があった。
稼働時期が秋のため、次の魔法学園の開始時期と重なる頃だろう。
今回は結局、戦闘という意味では実践訓練はできなかったので、半年間、それぞれの国で自身を鍛錬し、二年生の初めに魔虫の討伐に出向くという話になった。
春の気配が迫ってきた冬の終わり、終業式のパーティーで我々は次に会う時までにお互いに成長をしていることを約束した。
魔法学園で一緒に学んだ半年間は我々に仲間意識を芽生えさせ、絆を深めるには非常に有意義ないい時間だった。
最初は魔塔の魔法使いたちがどんどんと生徒たちを退学させるため不安だったが、結局は魔塔の魔法使いたちが選抜した性格のいい生徒たちが残ってくれたため、我々は半年という短い期間で絆を育むことができたのだと思う。
魔法学園は春夏の間は閉校しているため、生徒たちは国に戻り自身で魔法の学習を深める必要がある。
資金に余裕があれば魔塔の魔法使いを家庭教師に招くところもあるだろうし、王宮魔法使いがいれば教えを請うこともできるだろうが、一人で学習を進めなければいけない生徒も多いだろう。
わからないことがあれば手紙を出してもいいだろうかと生徒たちに聞かれて、私は了承した。
それがいけなかったのか、授業の内容とは関係のない話の手紙も届くし、パーティーやお茶会の誘いも多い。
しかし、魔法学園にいた頃と違い、誘いに応じるには国を跨ぐ必要がある。
つまり、それなりの距離があるのだが、なぜ、皆、こうも気軽に誘ってくるのだろうか?
その疑問を口にしたところ、カルロが数回瞬いた。
不思議そうな表情も安定の可愛さだ。
「リヒト様はみんなの前でダンジョンの浄化をされましたよね?」
カルロの指摘に私は両手で顔を覆った。
「あれを見て、私が光属性も使えることがみんなにもわかってしまったのか?」
「はい」とカルロの返事は聞くまでもない。
生徒たちは魔法学園でそれだけの学習を積み重ねたのだ。
私が魔力で形成した魔法陣を見れば、どの属性が使われているかなど一目瞭然だったはずだ。
「でも、だからって転移魔法が使えることまでバレてはいないだろう?」
わずかな希望に縋ったが、カルロは首を横に振った。
「リヒト様は魔塔主のお気に入りで実際他の者と同様に受けた入学試験では首席でした。ダンジョンの浄化で光属性の魔法を使った時点で、リヒト様が隠しているものがなんなのか気づいた者は多かったと思いますし、私はわざとリヒト様が気づかせたのだと思っていました」
カルロは私を信用しすぎだ。
私だってこうして失敗をするのだ。
「いや、光属性が使え、転移魔法が使えることは隠しておくつもりだった」
バレてしまったのは、ただの私のミスだ。
「つまり、他国の王侯貴族にも私が光属性の魔法が使えることは知れ渡ってしまうということか……」
光属性の魔法使いは非常に貴重だからバレないように気をつけていたにも関わらず、魔法学園が始まってこんなにすぐにバレてしまうなんて……
そう私が頭を抱えていると、「それは大丈夫でしょう」とカルロが言った。
「リヒト様は皆が帰宅の途に着く時には生徒会室で業務をしていましたのでご存知ありませんが、皆が校舎から出る時に魔塔主が契約書を書かせたのです」
「契約書?」
「教師たちがうっかり漏らした魔塔の研究内容について、それからリヒト様の属性と使える魔法については機密事項にあたるため、決して漏らさぬようにと魔法の契約書を用意して署名させていました。生徒たちは国でリヒト様の魔法について話そうとしても話せません。もちろん、筆記で知らせることも不可能です。無理矢理にでも契約を破ろうとすれば肉片になると魔塔主が言っていました」
生徒たちになんて契約を結ばせるんだと思ったが、正直、助かった。
しかし、その契約書、私はサインをしていないのだが、いいのだろうか?
ちなみに、私が城に戻った時には両親は涙目で私を迎えてくれた。
少しやつれているような気もしたし、同じエトワール国内にいながら特に事件の話は聞かなかったが、何かあったのかと思って聞くと、両親はまさかこんなに長く私に会えないとは思わなかったと肩を落とした。
ルシエンテ帝国の城にいた時も用事があれば帰っていたし、帝国傘下の国を周遊している時もちょくちょく帰っていたため、寮生活とはいえどすぐに会えると思っていたらしい。
しかし、他の生徒たちが季節二つ分両親と離れて寮生活を送るのだ。
私だけ好きな時に気軽に家に帰るわけにもいかない。
そう思って魔法学園にいる間は一度も帰らなかったのだが、両親は転移魔法の使える私とまさかこんなに会えないとは思わなかったようで、私に会えないストレスで食事の量が減り、やつれてしまったそうだ。
私は相変わらず子煩悩すぎる二人に苦笑してしまった。
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