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4月 第2話 朱島翼
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「アケ~お前なんか楽器やんねぇ?」
何回断っても誘ってくる和也は去年もクラスが同じで、俺は何かとこいつと関わる機会が多い。別に特別仲がいいってわけじゃないけど。
「だからやんないって言ってんじゃん」
「じゃあボーカルでもいいからさぁ」
俺音痴だしと言うとあぁそっかと笑う。失礼なやつめ。
「絶対アケとバンド組んだら楽しいと思うんだけどなー」
そう言ってくれるのは嬉しいけど。
「んー、部活あるし」
「ま、サッカーは忙しいか。強豪だしな」
「そーそ。そもそも音楽2だったから俺は向いてないよ」
「そっかー。色んな人に声かけてんだけどさ、やっぱ断られまくるわー」
そんながっかりした顔をされても、できることとできないことがある。
「まぁ蒼東だったら大抵部活やってるしな、忙しいんじゃない?」
「だよなぁ。まぁ他校の人でもいいんだけどやっぱ予定合わねーし」
「なるほどな。ていうか前に先輩と組んでたバンドはどうしたの?」
「去年3年の先輩が卒業して下宿して、なんか方向性の違い?で解散だわ」
「バンドってなんかそうやって解散するよな」
「そういうもんなんだよ」
直後にチャイムが鳴り自席につく。始業式の今日、2時間目のHRは自己紹介をするらしい。やばい、何も考えてない。しかも出席番号的にすぐだ。
「担任の高瀬です。去年は3年の進路指導だったので知らない人も多いだろうけど1年間よろしく。じゃあ出席番号1番から自己紹介してもらうぞ」
おじさん先生がそう言って自己紹介が始まった。1番の子が立つ。姿勢がよくて思わず見とれてしまった。
「秋海雛乃です。弓道部と生徒会に所属しています。今しかない時間を1組のみんなで楽しみたいです。よろしくお願いします」
パチパチと拍手が起こって俺の番になる。
「朱島翼です。サッカー部です。人見知りなので話しかけてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします」
また拍手が起こって次の番になる。緊張した。やっぱり大人数の前で話すのは慣れない。
滞りなく流れて自己紹介はあっけなく終わった。3分の2くらいは初めて見る人だった。特に変わったことを言う人もいなかった。和也はバンドメンバーを募集していた。よっぽど探してるんだな。
「なぁアケって樋本くんと仲良いよな?」
2時間目が終わったあと、和也がまた俺に話しかけてくる。
「まぁ保育所から同じだからな……」
「樋本くんってギターやってんの?」
「らしいよ」
なんで今その話題?と思ったが恐らくさっきの自己紹介だろう。
「バンド誘ったら来ねぇかな?」
「俺じゃなくて直接蓮に聞きなよ」
「だって初対面で勧誘ってウザ!って思われねぇ!?それにまだ友達でもねーのに断られたらなんか気まずいだろ」
「お前ってそういうの気にするタイプだっけ?まぁ蓮もうざいから大丈夫だよ」
「誰がうざいって?何の話してんの?」
そう話してるとうざい幼なじみがやってきた。
「あっちょーどよかった、樋本くんさギターやってんだろ?よかったらバンド組まね?」
結局いきなり聞くんかいって心の中でツッコんだ。
「バンドぉ!?ギター、まぁ趣味程度にはやってるけどそんな上手くないから無理だよ?」
「そんなガチじゃないやつだから!まじ色んな人に断られて心折れてんだよ、な、やろうぜ?」
和也が手を合わせて蓮に頼み込んでいるのを俺はぼーっと見ていた。初対面ってマジかよ。俺だったら初対面のやつにこんなグイグイいけない。
「え、逆に俺なんかでいいの?俺は全然良いんだけどさ、俺マジで初心者みたいなんもんだからな。期待しないでくれよ?」
「よっしゃー!アケマジでありがとうな」
俺の肩をポンポンと叩きながら広瀬が言う。
「俺は別に何もしてないってば」
「てか樋本くんって部活やってるんだっけ?」
「一応サッカー部」
「え!?時間あんの?」
「補欠だから笑 サッカーはぼちぼち」
俺は部活も趣味もサッカーだからな。他に趣味があるのはちょっと羨ましい気がする。
何回断っても誘ってくる和也は去年もクラスが同じで、俺は何かとこいつと関わる機会が多い。別に特別仲がいいってわけじゃないけど。
「だからやんないって言ってんじゃん」
「じゃあボーカルでもいいからさぁ」
俺音痴だしと言うとあぁそっかと笑う。失礼なやつめ。
「絶対アケとバンド組んだら楽しいと思うんだけどなー」
そう言ってくれるのは嬉しいけど。
「んー、部活あるし」
「ま、サッカーは忙しいか。強豪だしな」
「そーそ。そもそも音楽2だったから俺は向いてないよ」
「そっかー。色んな人に声かけてんだけどさ、やっぱ断られまくるわー」
そんながっかりした顔をされても、できることとできないことがある。
「まぁ蒼東だったら大抵部活やってるしな、忙しいんじゃない?」
「だよなぁ。まぁ他校の人でもいいんだけどやっぱ予定合わねーし」
「なるほどな。ていうか前に先輩と組んでたバンドはどうしたの?」
「去年3年の先輩が卒業して下宿して、なんか方向性の違い?で解散だわ」
「バンドってなんかそうやって解散するよな」
「そういうもんなんだよ」
直後にチャイムが鳴り自席につく。始業式の今日、2時間目のHRは自己紹介をするらしい。やばい、何も考えてない。しかも出席番号的にすぐだ。
「担任の高瀬です。去年は3年の進路指導だったので知らない人も多いだろうけど1年間よろしく。じゃあ出席番号1番から自己紹介してもらうぞ」
おじさん先生がそう言って自己紹介が始まった。1番の子が立つ。姿勢がよくて思わず見とれてしまった。
「秋海雛乃です。弓道部と生徒会に所属しています。今しかない時間を1組のみんなで楽しみたいです。よろしくお願いします」
パチパチと拍手が起こって俺の番になる。
「朱島翼です。サッカー部です。人見知りなので話しかけてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします」
また拍手が起こって次の番になる。緊張した。やっぱり大人数の前で話すのは慣れない。
滞りなく流れて自己紹介はあっけなく終わった。3分の2くらいは初めて見る人だった。特に変わったことを言う人もいなかった。和也はバンドメンバーを募集していた。よっぽど探してるんだな。
「なぁアケって樋本くんと仲良いよな?」
2時間目が終わったあと、和也がまた俺に話しかけてくる。
「まぁ保育所から同じだからな……」
「樋本くんってギターやってんの?」
「らしいよ」
なんで今その話題?と思ったが恐らくさっきの自己紹介だろう。
「バンド誘ったら来ねぇかな?」
「俺じゃなくて直接蓮に聞きなよ」
「だって初対面で勧誘ってウザ!って思われねぇ!?それにまだ友達でもねーのに断られたらなんか気まずいだろ」
「お前ってそういうの気にするタイプだっけ?まぁ蓮もうざいから大丈夫だよ」
「誰がうざいって?何の話してんの?」
そう話してるとうざい幼なじみがやってきた。
「あっちょーどよかった、樋本くんさギターやってんだろ?よかったらバンド組まね?」
結局いきなり聞くんかいって心の中でツッコんだ。
「バンドぉ!?ギター、まぁ趣味程度にはやってるけどそんな上手くないから無理だよ?」
「そんなガチじゃないやつだから!まじ色んな人に断られて心折れてんだよ、な、やろうぜ?」
和也が手を合わせて蓮に頼み込んでいるのを俺はぼーっと見ていた。初対面ってマジかよ。俺だったら初対面のやつにこんなグイグイいけない。
「え、逆に俺なんかでいいの?俺は全然良いんだけどさ、俺マジで初心者みたいなんもんだからな。期待しないでくれよ?」
「よっしゃー!アケマジでありがとうな」
俺の肩をポンポンと叩きながら広瀬が言う。
「俺は別に何もしてないってば」
「てか樋本くんって部活やってるんだっけ?」
「一応サッカー部」
「え!?時間あんの?」
「補欠だから笑 サッカーはぼちぼち」
俺は部活も趣味もサッカーだからな。他に趣味があるのはちょっと羨ましい気がする。
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