気づいてしまったかもしれない。

ストーリー

絶対バレた…

俺はわけあって同じクラスの帳大輝と付き合っている。大輝はいわゆるホモらしく、1年くらい前に告白された。俺はノンケだったけど、周りに内緒にすることを条件に付き合ってみることにした。

2年で同じクラスになった今も、学校ではお互いを苗字＋くん付けで呼び、休み時間はそれぞれの友達と過ごしている。付き合ってるどころか友達にすら見えないと思う。それくらいでいい。でもたまに向こうから絡んでくるのは対応に困るからやめてほしいと思っている。

今日は体育祭だった。出場種目を決めるときになんやかんやあって騎馬戦は同じグループになってたし、リレーも3→4でバトンが渡る箇所。大輝が仕組んだとしか思えない。

最後にクラスの集合写真を撮った。俺はチビな方だから女子のすぐ後ろの列に入った。そしたら後ろのやつが俺の肩に手を乗せてきた。誰だよと思って振り返ると大輝で、シュッとした顔でニコッと笑う。イケメンスマイルうぜぇよ。わざと俺の後ろに写るようにしたのか？
「ちょっと」と俺が注意しても大輝は「いーだろ」と笑う。
「みんな見んだぞ？」
「わかんねーって」
そう言いながら大輝は首の方に手を回した。こんなんほぼほぼバックハグだ。せこい。せこすぎる。俺がデカい声で文句を言えないのをいいことに好き勝手しやがって。バレたらどうすんだよ。俺はヤだよ。クラスに男同士のカップルがいるとかさ。もしそうだとしても知りたくねーもん。でもなんだろう。このドキドキ感。確かに大輝の言う通りだよな、みんなカメラの方向いてるからバレねぇし。ていうか大輝かっこつけてたくせに心臓ドクドクいってんじゃん。かわいすぎる。やべ、なんか俺顔ニヤけてる気がする。今撮ったのかな。いい感じに写ってますように。

「お、さっき撮った写真もう送られてきたぞ」
「マジ？」
体育祭終了後、そのまま学校近くの大輝の家に行ってダラダラ過ごしているとクラスLI○Eから通知が来た。そこそこガッツリ写ってんじゃん！

「これやばくね？」
「いやいやわかんねーって。俺らはわかるけど、ほかの人から見たら誰の手がどうなってるかなんてわかんねーよ」
「いや嘘！絶対分かるだろ」
「だからといって別に付き合ってることがバレるわけじゃねーんだからさー？普通にオトモダチじゃん？てか光太郎はなんで学校では仲良くしちゃダメって言うんだよー。もっと喋りたい」

大輝は友達は多いけど、あまり深くは関わらないタイプだ。一目置かれてるって言うの？俺みたいなやつと仲良くするタイプじゃない。

「バレる可能性は極限まで下げたいんだって言ってんじゃん」
「そうだけどさー。戸田っちとアケとか俺らより付き合ってそうな感じあるじゃん」

確かにしょっちゅうくっついてるイメージはあるけど。

「戸田っちはそういうキャラだろ。朱島くんはよくわかんねーけど。俺らどっちもそういうキャラじゃねえし」
「そうかぁ？ま、放課後の光太郎独り占めできるからいいや」

はぁ。かわいいこと言ってくれんな。