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しおりを挟む目が覚めたら自室だった。あれから2日寝ていたみたい。見慣れた景色にホッとする。
「おはよう、フィ」
横に顔を向けると兄二人がいた。自然と笑顔になる。
「にぃ」
腰が抜けたみたいに力が入らなかった身体が今は動かせる。ベッドに手をついて起きると、ルーにぃに手を広げて抱き締めて貰った。
「おはよう、ルーにぃ、クーにぃ」
へにゃと笑いかけて二人の頬にキスをした。兄二人がいて嬉しくてニコニコしていたらクゥ~とお腹が鳴る。
「朝食にしよう」
元気に返事をしてクーにぃに抱っこをねだったら、いつもより長く抱擁された。
「クーにぃ?」
お腹ペコペコより兄の様子が違うのが気になる。いつも自分がされているようにクーにぃの耳を撫でた。白くてふわふわしている。
「クーにぃ、大好き、僕の名前呼んで」
「フィーリィー」
嬉しくてふにゃと笑う。尻尾をパタパタさせながらスリスリする。
クーにぃが顔を上げるまで甘えまくった。我が家はやっぱり気が抜ける。暫くするとハッと気付く。
「ルーにぃ!プリン!」
クーにぃの首にしがみついたまま、後ろで見守っていたルーにぃに訊いた。
「美味しかったよ。フィ」
朝食の間も今もクーにぃに抱き締められたままでいる。特に問題ないからそのまま膝の上で抱っこされていた。
「父上と母上がフィのお菓子を食べたいと言ってる。作ってくれる?フィ」
「作っていいの!? プリン以外も作っていいー?」
キラキラ期待した目で見ると兄は頷いてくれた。用意して欲しい材料を伝えて明日の昼食後に作ることになった。
「フィが考えたゲーム、祭り後に商品化する事にしたんだ。それで試作品ができたらフィにも確認して欲しい」
「僕もお部屋で遊べるね!あっ、ルーにぃ、オモチャ作った時に角は丸めて欲しいの! 角をぶつけて血がでたら大変!」
ギュッとしてくれているクーにぃに顔を向ける。
「カイとカリンやみんなも喜ぶね。クーにぃ」
「そうだねー。また遊びの約束もしたし、新しいオモチャ驚くよー」
頷いてついでに、ブランコ、砂場、鉄棒の遊具もお願いした。
遊び道具、オセロ、パズル、すごろく、積み木、トランプ、ジェンガ、折り紙、竹トンボ、シャボン玉、なわとび、フラフープ、ヨーヨー、けん玉。
勉強に役立つ、あいうえお表、カルタ、お買い物ごっこも頼んだ。
絵に書きながら楽しく説明した。
翌日昼食が済み、調理室で手を綺麗に洗う。兄二人も手伝ってくれる。
カラメルプリン、バナナプリン、イチゴプリン、紅茶プリン、抹茶プリン。
パウンドケーキ、バナナ、ほうれん草、バター、くるみ抹茶、紅茶味。
ふくらし粉があって良かった。
バター、ジャム、紅茶、抹茶クッキー。豆腐、おから、たまごドーナッツ。
生クリームを使ってキャラメルも作った。大量に作らなかったのと、煮る混ぜる揚げる蒸す焼く冷やすの兄たちの手際が良く3時のおやつ前に終わった。
美味しくできてなかったらプロの料理人にレシピ改良を頼もう。
用意された踏み台での立ち作業に疲れて片付けが出来なかった。
「ごめんなさい」
侍女のリズが首を横に振った。
「任せて下さい!これも私共の仕事です」
片付けまでが料理、前世の調理実習を思い出して、へにょと尻尾が垂れる。
パウンドケーキなら余ると思う。
「リズ……甘いの……好き?」
「? はい。大好きです」
ルーにぃに耳打ちして片付けをしてくれた人達にパウンドケーキをお礼に渡して貰った。
食べれなかった使用人たちが、暫く耳と尻尾を垂らしてヘコんでいたのを知らない。
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