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しおりを挟む「フィーリィー様~!! 次は何する~?」
カイに呼ばれて立ち上がり駆け寄ると子供たちに囲まれた。
「次はね」
何しようかと考えていたら身体に影がかかった。
「あれ、君は誰?」
低い声、大きな身体、こちらに伸びてくる手。真っ暗い闇のような恐怖が全身を包み込む。
「やぁぁああっっ――――!!! こないで!! 止めて!!」
両手で頭を抱えて地面に丸まる。痛い止めて怖い苦しい。もう許して、ごめんなさい。ガタガタ震えながら言葉を繰り返す。
「フィーリィー様!?」
周りの子供たちが守るようにフィーリィーを取り囲んだ。
「フィ!!」
弟の悲鳴に慌てて駆け寄るアレクに、カイとカリンが立ちはだかる。
「近付くな!」
「大人に殴られて捨てられた子と同じ反応してる。近付かないで!」
守るように囲んでいる他の子供も動こうとしない。騒ぎをきいた院長先生が駆け付けるとカリンが涙を溢しそうになりながら訴える。
「院長先生!フィーリィー様を連れて行かないで!ここで守って!」
状況が分からない院長はアレクとカリンに目線をさ迷わせる。
アレクがそんな言葉を無視するように囲みに近付いた。
全身が痛い。どうして笑ってるの。怖いよ。息が出来ない。誰か助けて。
「フィーリィー」
フィーリィー。誰の名前。
「フィ、怖くないよ。僕たちが守る。ずっと一緒」
この声は誰。
「愛してる。僕たちの大切な弟」
弟。そうだ。¨フィーリィー¨には大好きな兄が二人いる。
「クー……にぃ」
手を伸ばすとギュッと握ってくれた。生まれた時からずっと守ってくれている暖かいぬくもりに息をつく。
「クー……にぃ、……にぃ」
「ここにいる。大丈夫」
全身を包むように抱き締められ、意識がだんだんと落ち着いていく。瞑っていた目を開けると、クーにぃの鮮やかな桃髪と綺麗な青い瞳が視界に映る。
頭を優しく撫でられ、苦しみが薄らいでいく。潤んでぼやける瞳で周りを見るとカイやカリンや子供たちが心配そうにこちらを見守っていた。
「フィーリィー様……」
カリンに名を呼ばれた。
「ごめんなさい。心配かけて」
身体に力が入らない。クーにぃにしがみつく事ができない。
「それは大丈夫です。でも――」
「カリン、フィーリィーは僕と家に帰る。君たちが何を言っても」
ギュッと抱き締められ、抱き上げられた。
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