美醜逆転獣世界

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「いらっしゃいませ。アレク様、フィーリィー様」


　出迎えてくれたのは、細身で小柄な僕から見たら美人な女性。修道女のような服を着ていて目が優しそう。


　抱っこから降りてクーにぃの後ろに隠れながらペコッとお辞儀をする。


「初め……まして。フィーリィー……です。よろしく……お願いします」


「はい。私はこの孤児院の院長レイラです。よろしくお願い致します」


　両手を重ねて深々と丁寧に礼をされた。目を合わせられず、更にクーにぃにしがみつく。


「レイラ。フィが子供たちの勉強の邪魔をしたくないみたいだから、先に話し合いを済ませちゃおー」


　かぁさまより年上の女性に軽い口調で話す兄にビックリする。


　兄と院長先生をオロオロしながら目線をさ迷わせていると、院長先生がニコッと笑った。


「私達の方からアレク様に気軽にして下さるように頼んだのです。正直、固い口調だと気が滅入るのです」


　本当に正直な院長先生だ。


「で、気軽にしたらねー、今度は子供達が真似しだして大変だったんだよ。院長先生が注意しても口調を真似る子はゲンコツが落ちて、泣き出して、もーどうするのって状態で」


　真似する子達を想像して笑みが溢れた。


「仲良くしようとしてくれたんだと思うけど、躾も大事だよねー」


「はい。やんちゃな子達が多くて、アレク様と口調に興味を持ったみたいで、あの時は申し訳ありません」


　クーにぃは軽くいいよーと返事をした。確かに兄の語尾を伸ばす口調は気になるよね。子供なら真似すると思う。


　クーにぃは人によってちゃんと使い分けてるけど、子供たちは無理だろうからゲンコツも仕方ない。


「立ち話もなんだしー、座ろっか」


　そう言われ、抱っこされると椅子に座ったクーにぃの膝の上に下ろされた。二人で一つの椅子を使う状態で、テーブルを挟んだ対面に院長先生が腰を下ろす。


「子供たちはどう～？」


「はい、新しく二人、入った子達がいます。一人は赤子で健康には問題ありません。院の子達も元気に過ごしています」


「何か必要な物はある～？」


「補助金と寄付金で賄えていますので、ただ……」


　院長先生が言いよどむ。


「困り事？」


　クーにぃが問うと院長先生が頷いた。


「院の子達を養子にと望む方達がいるのですが、勿論、子供たちが拒否すれば絶対に断るのですが、子が望み、相手の方も良さそうな方だと思ったら使用人以下の扱いをされていました」