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しおりを挟む「おはよう、フィ~」
ベッドで目が覚めるとすぐにクーにぃが頭を撫でてくれた。身体を起こし、両手を広げると何も言わなくても抱き締めてくれる。
首にすがりついてクーにぃの頬に口を近付けた。チュッとすると身体をすり寄せ朝から甘える。
「おはよう、クーにぃ」
ギュッとされて抱っこされる。
「顔洗って、歯を磨いて、着替えて、朝食を食べて、一緒にお出掛けしようねー」
「はい!」
元気に返事をしたけれど、朝食を食べ終わる頃には外に出るプレッシャーにプルプル震えていた。
ルーにぃとは別行動。先に出る兄に抱っこして貰う。
「いってらっしゃい、ルーにぃ」
ルーにぃの頬にキスすると額にお返しをされた。1日離れるのが寂しくて、しがみついて抱っこから降りようとしなかった。
「早く帰るよ、フィ」
「はぃ」
ショボンとしながら、スリッと頬をすり寄せてから離れた。
部屋から出ていった兄を見送り、クーにぃにてるてるローブを着せられる。グイッとフードを引っ張り、顔を隠して両手を広げた。
「じゃあ、僕達も行こうか~」
「はぃ」
声は無意識に小さくなる。孤児院の子達と仲良くできるといいな。
馬車に揺れられ、孤児院に着いた。レンガ造りの家で三角屋根と煙突もある。
広い庭に立派な木々と柔らかそうな芝生に花壇もある。
木製のウッドデッキから食堂にすぐ行けるらしい。
クーにぃの説明を聞きながら、抱っこされたまま、キョロキョロと辺りを見回す。
「子供たちが寝起きする所は別にあってね、木の家で5・6人で生活してるよ~」
ログハウス、コテージみたいな感じかなと頷く。
「誰もいないね?」
もっと賑やかだと思ってた。
「朝食の後はお勉強だよ~。年上の子が年下に絵本を読んだり~。だからみんな図書室にいると思う。そっちに行く?」
ぽかぽか陽気の中、まずは外からと施設内をグルッと周っている。
「邪魔にならない?」
勉強中なら後でもいいかな。
「なら先に院長先生と会おうかー」
コクリと頷き、真正面の扉に向かう。着いているのは知らせがいっていて、自由に見て回る許可をえている。
「にぃ、院長先生ってどんな人?」
「みんなのお母さんで厳しくも優しい暖かい人だよー。あっ、好き嫌いは許さない人でね~、その辺はフィは苦手かもね」
人参、ピーマンみたいな苦味がある物が好きじゃない。
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