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しおりを挟む「あぁ、あれを何かで丸めたらいいかな。試して見るよ」
「出来たら見せてね!」
投げるには柔らかすぎる。ニコニコとルーにぃと話していたらノックの後にドアがカチャと開いた。
「ただいま~」
クーにぃの帰宅に嬉しくなって椅子から飛び降り駆け寄った。
「お帰りなさい!クーにぃ」
思いっきり抱き付いてもビクともしなかった。そのまま、ギューとしがみつく。
「フィ、今日は疲れたでしょー?」
優しく頭を撫でられ嬉しくなる。
「クーにぃ、抱っこ!」
抱っこをねだるとすぐに抱き上げられた。兄を見上げて顔を寄せる。
チュッと頬にすると、また唇近くになってしまった。
「寂しかった、クーにぃ」
本当に寂しかった。クーにぃもルーにぃと一緒で驚いたまま固まってしまった。
お構いなしに充電だとすりすり甘えていたら、ハッと正気に戻った兄と目線があう。
「えー、えぇー、フィ~?」
「嬉しい? クーにぃ」
「ものすっごく! 毎日して欲しいくらい。可愛いフィにされたら疲れも飛んでいくよ~」
兄の言葉と尻尾の揺れに嬉しくなって何度も本当に?ときいた。
「なら毎日するから、にぃ達もしてくれる?」
「フィがしてくれるなら当然するよー」
そう言われた後に頬にチュッとされた。
「ルーにぃも?」
クーにぃに抱っこされたまま、顔を向けると笑顔のルーにぃと目があった。
「勿論、私たちの大切なフィ」
本当に大切にしてくれる。嬉しくて尻尾が揺れる。
兄たちを見ていたら、フッと父と母の寂しそうな姿がよぎった。
「フィ?」
チクッと胸が痛み、素直な尻尾がショボンと垂れる。心配そうに顔を窺う兄達に、疲れたと誤魔化した。
「そっか、夕食をとったら今日はリカルド兄上とお風呂だから入って早く休もうねー」
コクりと頷くと、耳をヨシヨシされた。後ろめたい気持ちを隠すためにクーにぃの胸に顔を埋める。
初めての外出で気疲れしたのだろうと、食事を早めに済ませ、お風呂も入り上がるとベッドに寝かしつけてくれた。
「おやすみ、フィーリィー」
頭を撫でてくれるルーにぃの顔をジッと見詰める。
「まだ眠くない?」
「ううん、ルーにぃ、おやすみって頬に口チュッてして、クーにぃも」
おやすみなさいのキスをねだると二人は驚いた後にしてくれた。
へにょと笑いおやすみなさいと言って目を閉じると即眠り落ちた。
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