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しおりを挟むルーにぃも降りて来て出迎えにお礼を言っている。クーにぃに手を繋がられフルフル震える足で歩いて屋敷の中に入る。
「リカルド様、アレク様、フィーリィー様、当家に御来訪ありがとうございます」
クーにぃの背後からチラッと見ると恰幅のいい茶髭の優しそうなおじさんがいた。
「フィーリィー様はお初にお目にかかります。町長のマルクと申します」
五歳相手に丁寧に挨拶をされ、ここでちゃんと返さないと兄達に恥をかかせてしまうと頑張った。
「初め……まして、フィーリィーです。よろしく……お願いします」
目線を合わせず、ペコッと頭を下げるとすぐにクーにぃの後ろに隠れた。
「弟は人見知りで」
「えぇ、領主様からもお手紙を頂いていますので事情は重々承知しております」
ほわっとするような空気に警戒心がほんの少し和らぐ。
「リカルド兄上、僕は町の方の視察に行きます。夕方に宿で」
クーにぃの言葉に涙腺がうるっとなる。兄を見上げると困ったように笑っていた。
「夕方なんてすぐだよ~」
ヨシヨシッとされ、最後に手をギュッと握られ離された。行かないでと言いたいのを必死に抑える。
「いってらっしゃい、クーにぃ」
ーにぃと離れた後はルーにぃと手を繋ぎ、応接間に案内された。
ローブを脱がずフードを深く被り兄の横にピタッとくっつく。
「どうぞ、フィーリィー様。楽な姿勢でゆっくりして下さい」
目の前に紅茶とお菓子を置かれた。
「ありがとう……ございます。頂き……ます」
クッキーを一つ取り食べ美味しいですと伝えると良かったですと言われた。
ルーにぃと町長が話し合いを始めた。学校、病院、孤児院、警備などの補助金について。
「例年通りの予算で大丈夫だと思います。疫病も不作もなく治安も警備で収まる小競り合い程度で」
「学校の方も特に問題は無さそうですね」
「はい、工事、修繕しなければいけない設備はありません」
兄が書類をめくりながらチェックしている。
「要望や苦情もこれと言ってないね。しいて言うならお祭りの要望かな」
兄が苦笑している。
「はい、変わったことがしたいと毎年、飲んで食べて騒ぐだけなので」
町長も困ったように笑っている。この町は平和みたい。でもお祭りか。飲んで食べて騒ぐだけでいいと思うけど。
ゲームがあればいいのかな。前世のお祭りを思い出しながらクッキーを食べた。
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