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しおりを挟むあっという間に一週間後。馬車に乗って町に向かっている。
兄二人はローブを着ている。僕もてるてる坊主みたいなのを着せられた。フード付きで耳の部分も考慮されていてキツくない。見掛け猫耳フード。
「フィ、もうすぐ着くよ~」
ルーにぃのローブにもぐり込んでしがみついて外なんて一切見てなかった。
クーにぃの声にチラッと馬車の窓から外を見ると、煙突のあるレンガの家々が密集していた。人の姿もあって警戒して耳と尻尾がピンッと立つ。
「まずは町長の屋敷に行って挨拶がすんだ後はフィはどっちと一緒がいい?」
ルーにぃが優しくきいてくれている。部屋で大人しくなんて言わない。
「今日はルーにぃ、明日はクーにぃ」
人がたくさんいる恐怖はどちらといても同じ。兄と一緒だから大丈夫と自分に言い聞かせる。
「なら明日は一緒に孤児院に行こうね~。フィより小さい子もいるよ」
クーにぃの言葉にコクリと頷く。年下の子供に会えるのは初めて。
「今日は私と町長の話し合いがすんだら竜を見に行こう」
竜に一気にテンションが上がった。尻尾がパタパタ揺れた。
「楽しみなの!」
ドラゴンさんに会うために頑張る。
広いレンガの道に木々が直列して、歩道と馬車道とを隔てている。安全面が確保され、町並みも綺麗で店や人も多い。
「人たくさん」
プルプルしながらルーにぃにピタッとくっつく。
「大丈夫だよ~。フィに何かする人なんていない」
「町長は優しい人だよ」
兄二人が励ましてくれる。
「はぃ」
自然と声は小さくなる。ルーにぃのローブから顔を出して見上げる。
「ルーにぃ、ごめんなさい。邪魔にならないようにする」
兄二人はお仕事だから抱っこも今だけ許して欲しい。尻尾を丸めて言っても信用されないと思うけど頑張る。
「無理をしなくてもいい」
「そうだよ~。フィーリィーは重くないし~暖かいし~」
クーにぃそれ湯たんぽ扱い。
「頑張る。一人で歩くの!」
馬車に揺られて町長の屋敷に到着。大きい。庭は芝生に木が所々あるほのぼのした田舎を思い起こさせる。
「いらっしゃいませ」
扉前にすでに使用人の人達がスタンバイしていた。馬車を降りる前から試練が始まる。
「フィーリィー」
ルーにぃが心配して声をかけてくれる。兄の膝から降りて、馬車の外に先に出ていたクーにぃの後ろにピタッとくっついた。
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