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しおりを挟む「ふぇぇ、にぃ、にぃー」
5歳になってもよく泣いていた。
「フィーリィー。フィ」
金髪美少年は長男で名前はリカルド。カスタードクリーム色の耳と尻尾。
ルーにぃと呼んでいる。
兄のどちらかがいないと不安でしかたなく声を出して泣く。
周りにいる侍女の人は怖くて近付かれたら暴れてしまう。
毎回オロオロしながら遠巻きにされている。この人たちは何もしていないのにごめんなさい。
「ひっく、ルーにぃ」
「ごめん。フィ、起きたのに気付くのが遅くて」
抱っこされて頭を撫でらた。心地よく揺られてだんだんと落ち着いて来た。
「ルーにぃ。どこにもいかない?」
不安で毎日のようにきいている。
「行かないよ。フィが世界で一番大切」
ホッとしてコアラのようにしがみつく。兄二人以外は怖くて無理。
「にぃ、絵本よんで」
自分で読めるけど兄達に甘えるのが好きで止められない。
「いいよ。何を読もうか」
竜退治の冒険を読んでもらう。道々で人を助けたり仲間をつくったり、途中で盗賊と戦ったりしながら辿り着く。
「竜さんと遊びたい」
ドラゴンってロマン! 退治されちゃうけど空を飛んでみたい。
「退治じゃなくて?」
「背中に乗せて貰って空を飛ぶの。それでご飯あげて撫でて一緒に遊ぶの!」
これだとペットみたいな扱いだと思ったけど気にしない。
「あぁ、ならフィは将来、竜騎士になるのもいいね」
「竜騎士ー?」
首を傾げて兄を見上げる。
「絵本は暴れる竜退治だけど基本的に竜は保護されているから、騎士じゃなくても配達員とか警備兵とか」
「竜さんすごいのー。にぃ達は何になるのー?」
「私は領主。アレクは私の補佐」
桃髪美少年は次男でアレク。クーにぃと呼んでいる。
「にぃたち一緒? 僕は?」
不安に瞳がうるっと滲む。
「フィも一緒。領地内で好きなことを見付けたらいいよ。竜は個人で所有できないから、竜と関わりたいなら職業は大体決まってしまうだけだよ」
ヨシヨシとあやされる。ホッとして兄に抱き付く。
「でもフィは私かアレクがいないと泣いてしまうから慣れないと難しいね」
「あぅ、いつもごめんなさい」
しょぼんと反省する。
「フィは弟だから弟を守るのは兄の役目。謝らなくていいよ」
「ルーにぃ大好き」
優しい兄にへにゃと笑い掛けて、首にしがみつきスリスリと甘えた。
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