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夾竹桃

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始まりは失敗から

5. 進退両難(しんたいりょうなん)

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[仁]




最悪……




式前にトイレ行こうと階段降りたらそのままコケるし…見ず知らずのやつに抱きついて挙句の果てに義足も取れるとかホント


ほんと最悪


入学式の日にバレる?普通……


神様ってやっぱ居ない


しかも「義足なの?」とか…今聞くか?


「……いいから早く拾ってくれよ……」


って言ってんのにこいつぼーっとした顔で



「なんで義足になったの?」



…って

まじでアホなのこいつ

状況察知能力低いの?空気読めよ。



「早くしないと式が始まるだろ」


って言うとハッとした顔でようやく義足を拾ってくれた


俺は左足の大腿義足が取れたのでバランスを大きく崩さないようにこいつにつかまってるしか無かった…

このガリガリ野郎にバレた今、野放しにする訳にもいかないし……


「くそっ……義足つける時間ないわ…
とりあえずトイレ連れてけ、話はそれからだ…」


他の人に見られたら終わりだ…


「もうすぐ入学式ですよ…?」

「そんな事言ってる場合かよ早く連れてけー!」

「あアッハイっ!!」


ったく…ほんっとイラつく…


そう思いながら俺は手を引かれ何とか個室に入った

男二人で個室とかむさくるし…


しばらくすると入学式に向かう生徒の足音や声が聞こえてきた


こんな所で身をやつしてる俺とは打って変わってキラキラした笑い声がする…


とりあえず、こいつを口止めしよう


トイレにいることがバレないよう便座に腰掛け、小声で話しかけた


「…あのさ」

「は、はい…?」

「その…俺の義足のこと…さ…
誰にも言うなよ…?」

「…え……なんでですか…?」


察しろよ!!!


「…~だからァ!この事周りには隠して生活してんだよ!言わせんnッ…
「だって…!だってすごく綺麗ですよ!義足!!」



そいつは衝動的に俺の肩を掴み出し抜けに答えた
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