私利私欲な詩

ハクビシン

僕は田舎道で轢かれたハクビシン

ハナミズキの木の下で橙色の内蔵を掻き回されてしまった害獣

僕はその事実に気づかない

気づけない可哀想な害獣


木漏れ日が霞む視界に暖かい風は爽やかだ


そこかしこが痛むがどうしても動く事が出来ないのは何故だろうか


僕は黒くて硬い地面に寝かされてるのか


通り過ぎる人間の視線は普段通り好奇の眼差し

物珍しく見つめる奴も、今日は僕を怖がらない

動けないこと以外全部日常にそっくりだ

しかし何だか眠たいし、それに震えるくらいには寒いみたいだ。

巣に戻って身体を暖めよう、腹も減ってきたし

寝て起きればまた食糧を探しにいかないとな

妻にも子供達にも、栄養が必要なんだ




………







いくら待てばこの痛みは消えるんだろう？