29 / 34
僕は1人じゃない
実兄のマルス
しおりを挟む
騎士見習いのラアラさんの病室をでたナインは、馬車に乗り立派な建物に連れて来られた。
門を通ろうとしたとき、ミッドが慌てた様子で、ナインの頭の中に話しかけてきた。
(ナイン、この入り口には結界が張ってある。
この決壊を壊すこともできるが、術者に気づかれてしまう可能性もあるから、残念だが、門の外で待つことにするとしよう。もし危険を感じたら、すぐに教えてくれ。いつでも引き寄せる準備をしておこう。)
ナインは頷き、門をくぐり、大きな屋敷へ向かう。
屋敷に入ると、たくさんの部屋が並ぶ長い廊下が左右に伸びている。
ナインは、正面の部屋に通された。
白髪の大きな体の お爺さんが、ナインに優しく話しかけてきた。
「君がナインだね。娘のラーナや、君のお母さんから話しは聞いているよ。」
そう言って、お爺さんは、母の書いたものであろう、手紙を見せてくれた。
「ちゃんと、届いてたんだ。良かった。」
ナインは疲れたのだろうか、座っていた大きなソファーで横になり、眠りについた。
お爺さんは、ナインを優しく抱き上げて、仮眠用のベッドに寝かせ、毛布をかける。
翌朝、誰かに起こされて目が覚める。
目を覚ますと、そこには、ずっと会いたかった、兄マルスの姿が見えた。
なぜ、そこに兄がいるのか、ここは何処なのか、ふと疑問に思う。
「・・・あれ? マルス兄ちゃん?」
「あれじゃないよ! お前いままで、どこで遊んでいたんだ!」
その言葉に、ナインは母との別れや苦しい旅のこと、兄マルスが家を出た直後に、実の祖父から役立たずと言われて追い出されたこと。
いろいろな苦しかった過去を思い出す。
「僕は、遊んでなんかいないよ。マルスだって、なんで僕や母さんを置いていったんだよ!」
ナインは、マルスに殴られる。
お爺さんと、ラアラさんの お父さんが2人の間に割って入る。
ナインは、いままでの苦しかった思いも、兄マルスに会えば救われると思っていたのに、それも叶わず声を出して泣いてしまった。
「ナイン、お母さんは?」
「お母さんが、何度も手紙を出してたじゃないか。知らなかったとか言わせないよ。」
ナインは涙を拭いマルスを見る。
「なぜ・ ・・。」
「マルス兄ちゃん、もう・・・。もう、お前に会いたくない。」
ナインは、泣きながら窓を開けてミッドを呼ぶ。
ミッドなら、助けてくれるはずだ。
「ミッド、もうここにはいたくない。僕を引き寄せてよ。」
ミッドが、魔法を詠唱しているのが、頭に響く。
ナインの体は、黒い煙に包まれ、ミッドの所まで引き寄せられた。
(ナイン、レヴィアを頼ろう。いまは、それが最善策だろう。)
幼い少年は、母と旅をした道を目指す。
向かうのは、ソドム王国にある、レヴィア団の本拠地のようだ。
門を通ろうとしたとき、ミッドが慌てた様子で、ナインの頭の中に話しかけてきた。
(ナイン、この入り口には結界が張ってある。
この決壊を壊すこともできるが、術者に気づかれてしまう可能性もあるから、残念だが、門の外で待つことにするとしよう。もし危険を感じたら、すぐに教えてくれ。いつでも引き寄せる準備をしておこう。)
ナインは頷き、門をくぐり、大きな屋敷へ向かう。
屋敷に入ると、たくさんの部屋が並ぶ長い廊下が左右に伸びている。
ナインは、正面の部屋に通された。
白髪の大きな体の お爺さんが、ナインに優しく話しかけてきた。
「君がナインだね。娘のラーナや、君のお母さんから話しは聞いているよ。」
そう言って、お爺さんは、母の書いたものであろう、手紙を見せてくれた。
「ちゃんと、届いてたんだ。良かった。」
ナインは疲れたのだろうか、座っていた大きなソファーで横になり、眠りについた。
お爺さんは、ナインを優しく抱き上げて、仮眠用のベッドに寝かせ、毛布をかける。
翌朝、誰かに起こされて目が覚める。
目を覚ますと、そこには、ずっと会いたかった、兄マルスの姿が見えた。
なぜ、そこに兄がいるのか、ここは何処なのか、ふと疑問に思う。
「・・・あれ? マルス兄ちゃん?」
「あれじゃないよ! お前いままで、どこで遊んでいたんだ!」
その言葉に、ナインは母との別れや苦しい旅のこと、兄マルスが家を出た直後に、実の祖父から役立たずと言われて追い出されたこと。
いろいろな苦しかった過去を思い出す。
「僕は、遊んでなんかいないよ。マルスだって、なんで僕や母さんを置いていったんだよ!」
ナインは、マルスに殴られる。
お爺さんと、ラアラさんの お父さんが2人の間に割って入る。
ナインは、いままでの苦しかった思いも、兄マルスに会えば救われると思っていたのに、それも叶わず声を出して泣いてしまった。
「ナイン、お母さんは?」
「お母さんが、何度も手紙を出してたじゃないか。知らなかったとか言わせないよ。」
ナインは涙を拭いマルスを見る。
「なぜ・ ・・。」
「マルス兄ちゃん、もう・・・。もう、お前に会いたくない。」
ナインは、泣きながら窓を開けてミッドを呼ぶ。
ミッドなら、助けてくれるはずだ。
「ミッド、もうここにはいたくない。僕を引き寄せてよ。」
ミッドが、魔法を詠唱しているのが、頭に響く。
ナインの体は、黒い煙に包まれ、ミッドの所まで引き寄せられた。
(ナイン、レヴィアを頼ろう。いまは、それが最善策だろう。)
幼い少年は、母と旅をした道を目指す。
向かうのは、ソドム王国にある、レヴィア団の本拠地のようだ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる