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眠れる森の美少年
昔ばなし
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むかしむかし、あるところに、魔物や妖精、剣に魔法が、当たり前のように存在する国、アテラティッツがありました。
アテラティッツとは、彼らの国の言葉で、夢が叶う、と言う意味です。
周囲を海に囲まれた、小さな島国ですが、国中に笑い声が溢れている国です。
お腹がすけば、魔法でパンを出し、お腹を満たす。
お金に困れば、森で魔物を倒し、宝石を得る。
なに不自由ない生活で、人々は、とても幸せに暮らしていました。
しかし、そんな彼らの幸せは、突然に奪われることになります。
ある日、海の向こうから、一人の傷ついた男性が流されてきました。
アテラティッツの王である、メリクル王は、この男性を手厚く介抱しました。
傷の癒えた戦士は、メリクル王の質問に答えます。
島の外にも世界が広がり、外から来たこと。
外の世界の人間は、魔法を使えないこと。
そして、剣を使って魔物を倒せないこと。
メリクル王は、決心しました。
世界を征服しようと・・・。
~城の会議室~
メリクル王「以上のことから、海の向こう側に攻めて行こうと思う。」
会議室に集まった長老たちは、全員拍手をしています。
大臣ウタン「メリクル王、満場一致で可決ですね。」
王妃「メリクル、本当に大丈夫ですか?王子もまだ小さいですし、貴方に万が一のことがあれば・・・。」
メリクル王「剣も魔法も使えない人間に、負けるはずがない。安心して待っていなさい。」
王妃「・・・はい。」
大臣ウタン「それでは、戦いの準備をしてきます!」
大臣は、ルンルン気分で会議室をでていきました。
~3日後~
国の若者が兵士として集められます。
兵士たちは、水上歩行の魔法を使い、海の上を行進して行きました。
~3週間後・夜明け前~
島を出た兵士達が、捕虜を連れ、引き返してくるのが見えます。
それにしても、捕虜の数が多いようです。
兵士の倍以上は、いるでしょう。
城のテラスから様子を見ていた王妃は、異変に気づきました。
王妃「様子がおかしいわね。国民に注意するように伝えなさい。」
侍女「はい、分かりました」
侍女は、部屋を出て行き、国中の人に注意を伝えるように、鐘を鳴らしに行きます。
王妃は、警戒しながら兵士達を見ていました。
すると、王妃の前に、1羽の白い鳩が舞い降ります。
その白い鳩は、王族の印を首につけている伝書鳩です。
メリクル王からの凱旋の知らせでしょうか?
王妃は伝書鳩の足についている筒を開け、手紙を読みました。
王妃の顔色が、みるみる変わっていきます。
王妃は、緊急事態に備えて、王子の元に急ぎます。
その途中、外から爆発音が聞こえてきました。
外を確認すると、町の方から煙が上がり、無数の連続した小さな爆発音と悲鳴が聞こえてきます。
身の危険を感じた王妃は、5歳になったばかりの寝ている王子を、抱きかかえ城をでることにしました。
そのまま、逃げるように森に隠れます。
巨大な爆発音は、城の方からも聞こえ始めました。
城からは煙が、モクモクと上がっています。
王妃は、森の精霊に王子を守ってもらうように、お願いすることにしました。
森の中に、魔物の血で魔方陣を描き、古の魔法を使い精霊を召喚します。
王妃「アヤテシカ、ラカチーノ!・・・タンアンハ、ルーバヤ、イガ、ネオ!」
魔法の詠唱が終わると、突風が吹き、魔方陣が光輝きます。
その光の中から、精霊が現れました。
精霊は、人間に近い姿をしているが、頭と下半身が山羊、背中には蝙蝠のようなドラゴンの羽を持っています。
召喚された精霊が、低く恐ろしい声で話します。
精霊「願い事を言え。」
王妃「この子を助けて下さい。」
精霊「対価は?対価に見あった待遇で、その子の命を守ろう。」
王妃「はい。私や夫の命と、この国に生きる者の死後の魂を全て。」
精霊が笑いました。
精霊「この、バール自ら、その子の主父となり、子でなくなるまで預かろう!」
王妃「お願いします。」
精霊バール「よかろう。契約は成立した。」
精霊バールが、そういって右腕を上げると、青空は消え、真っ黒い雨雲が現れ、風が吹き始めました。
すると、王妃の腕の中で眠る王子が煙となって、風の中に消えていきます。
精霊バール「盟約通り、命と魂は頂く。」
そういい残すと、精霊バールも、煙となって風の中に消えていきました。
残された王妃の元に、異国の兵士がやってきます。
王妃は持っていた短剣で、その場で自害しました。
王妃の死と同時刻、異国の土地でメリクル王も、処刑時間の前に舌を噛みきり、自害しました。
その後、世界最後の魔法の王国は、雨の中に沈み世界から消えてなくなってしまいました。
~ おしまい
アテラティッツとは、彼らの国の言葉で、夢が叶う、と言う意味です。
周囲を海に囲まれた、小さな島国ですが、国中に笑い声が溢れている国です。
お腹がすけば、魔法でパンを出し、お腹を満たす。
お金に困れば、森で魔物を倒し、宝石を得る。
なに不自由ない生活で、人々は、とても幸せに暮らしていました。
しかし、そんな彼らの幸せは、突然に奪われることになります。
ある日、海の向こうから、一人の傷ついた男性が流されてきました。
アテラティッツの王である、メリクル王は、この男性を手厚く介抱しました。
傷の癒えた戦士は、メリクル王の質問に答えます。
島の外にも世界が広がり、外から来たこと。
外の世界の人間は、魔法を使えないこと。
そして、剣を使って魔物を倒せないこと。
メリクル王は、決心しました。
世界を征服しようと・・・。
~城の会議室~
メリクル王「以上のことから、海の向こう側に攻めて行こうと思う。」
会議室に集まった長老たちは、全員拍手をしています。
大臣ウタン「メリクル王、満場一致で可決ですね。」
王妃「メリクル、本当に大丈夫ですか?王子もまだ小さいですし、貴方に万が一のことがあれば・・・。」
メリクル王「剣も魔法も使えない人間に、負けるはずがない。安心して待っていなさい。」
王妃「・・・はい。」
大臣ウタン「それでは、戦いの準備をしてきます!」
大臣は、ルンルン気分で会議室をでていきました。
~3日後~
国の若者が兵士として集められます。
兵士たちは、水上歩行の魔法を使い、海の上を行進して行きました。
~3週間後・夜明け前~
島を出た兵士達が、捕虜を連れ、引き返してくるのが見えます。
それにしても、捕虜の数が多いようです。
兵士の倍以上は、いるでしょう。
城のテラスから様子を見ていた王妃は、異変に気づきました。
王妃「様子がおかしいわね。国民に注意するように伝えなさい。」
侍女「はい、分かりました」
侍女は、部屋を出て行き、国中の人に注意を伝えるように、鐘を鳴らしに行きます。
王妃は、警戒しながら兵士達を見ていました。
すると、王妃の前に、1羽の白い鳩が舞い降ります。
その白い鳩は、王族の印を首につけている伝書鳩です。
メリクル王からの凱旋の知らせでしょうか?
王妃は伝書鳩の足についている筒を開け、手紙を読みました。
王妃の顔色が、みるみる変わっていきます。
王妃は、緊急事態に備えて、王子の元に急ぎます。
その途中、外から爆発音が聞こえてきました。
外を確認すると、町の方から煙が上がり、無数の連続した小さな爆発音と悲鳴が聞こえてきます。
身の危険を感じた王妃は、5歳になったばかりの寝ている王子を、抱きかかえ城をでることにしました。
そのまま、逃げるように森に隠れます。
巨大な爆発音は、城の方からも聞こえ始めました。
城からは煙が、モクモクと上がっています。
王妃は、森の精霊に王子を守ってもらうように、お願いすることにしました。
森の中に、魔物の血で魔方陣を描き、古の魔法を使い精霊を召喚します。
王妃「アヤテシカ、ラカチーノ!・・・タンアンハ、ルーバヤ、イガ、ネオ!」
魔法の詠唱が終わると、突風が吹き、魔方陣が光輝きます。
その光の中から、精霊が現れました。
精霊は、人間に近い姿をしているが、頭と下半身が山羊、背中には蝙蝠のようなドラゴンの羽を持っています。
召喚された精霊が、低く恐ろしい声で話します。
精霊「願い事を言え。」
王妃「この子を助けて下さい。」
精霊「対価は?対価に見あった待遇で、その子の命を守ろう。」
王妃「はい。私や夫の命と、この国に生きる者の死後の魂を全て。」
精霊が笑いました。
精霊「この、バール自ら、その子の主父となり、子でなくなるまで預かろう!」
王妃「お願いします。」
精霊バール「よかろう。契約は成立した。」
精霊バールが、そういって右腕を上げると、青空は消え、真っ黒い雨雲が現れ、風が吹き始めました。
すると、王妃の腕の中で眠る王子が煙となって、風の中に消えていきます。
精霊バール「盟約通り、命と魂は頂く。」
そういい残すと、精霊バールも、煙となって風の中に消えていきました。
残された王妃の元に、異国の兵士がやってきます。
王妃は持っていた短剣で、その場で自害しました。
王妃の死と同時刻、異国の土地でメリクル王も、処刑時間の前に舌を噛みきり、自害しました。
その後、世界最後の魔法の王国は、雨の中に沈み世界から消えてなくなってしまいました。
~ おしまい
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