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ニートのち魔界王

035・家族

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エイルシッドの娘マリーと母ディーテが魔界に来てから半年が経っていた。
この半年の間に、いろいろな変化があった。

魔王でもない 幼いマリーに直接使える 変わり者の使い魔ハンが仲間になったり、
中央都市グレングレンを経済の中心とするべく 魔界商店街という自由貿易の拠点にしたり、
マダム・オカミに魔王を名乗らせ、夢幻の熱湯池を 魔王マダム・オカミと使い魔ネロに領土として与えたり、

様々な変化があったのだが、それは また別の話・・・。





~見晴らしの丘~

見晴らしの丘とは、魔王城に隣接する領土で 魔王城を見下ろせる小高い丘である。
残念なことに それ以外の特徴はなく、防衛の拠点といった高さもない。
本当に何もない丘なのだが、頂上付近は緑の芝生で覆われており、弁当を持参すれば日光浴も楽しめる癒しスポットとなっている。
そんな見晴らしの丘に、魔界王エイルシッドは 家族を連れて遊びに来ていた。
エイルシッドと、その妻ディーテ、そして 2人の子供たち、そしてマリーの使い魔のハン。


見晴らしの丘の上で 少し背の高いザイルに手を引かれ、マリーは ハンの持つタンポポに似た綿毛の草に フーと息を吹きかける。
綿毛が丘の上を吹き抜ける風に乗り空へと舞い上がる姿を見て、マリーは とても楽しそうに笑っている。
そんな3人の様子を 少し離れた場所から 優しく見つめていたディーテが エイルシッドに声をかける。


「久しぶりにマリエルの笑った顔を見たわ。」

「ああ、ここに来てよかったね。
 ザイルも兄としてマリーと仲良くやってくれてるみたいだし。」

「そうね。
 ザイルやハンが居てくれるから マリエルは孤独にならずに済んでるのかもね。」


「・・・孤独になる?
 もしかして、魔法学院アカデミーで虐められてるのか!」

「そうな・・・いや、そうじゃないわよ!
 ほら、魔界王の娘を虐めたりしたら 大問題になっちゃうでしょ。
 逆なのよ・・・せっかく秘密にして入学させた魔法学院アカデミーでも、みんな魔界王エイルシッドの子って気づいたみたいで、なかなか話しかけづらいみたいなんだよね。」


「・・・俺、魔界王を、」

「エイル!
 ちゃんと続けてくれないなんら、私は実家に帰らせてもらうわよ!」

「え、あ、冗談だよ。・・・冗談。
 でも何か手を打たないとな・・・。」


「大丈夫よ。
 エイルが心配するほど、マリエルは弱くないわ。
 それに、ザイルもいるし、ノーサちゃんって子だけは マリエルに声をかけてくれるって言ってたからね。」

「そうだな・・・。
(よし、ハンに協力してもらおう。)」








~魔王城・王座の間~

マリーの使い魔のハンが、エイルシッドに呼ばれて王座の間へと駆けつける。

「エイルシッド王。
 使い魔のハン、参上したッス。」

「ハン、よく来たな。
 待っていたぞ。」

エイルシッドの手には、1つの黒い球体が握られている。
その黒い球体の正体は・・・。


「エイルシッド王、その手の中のものは何なんスか?」

「これか、これは邪神の瞳と呼ばれる、姿を変える道具なんだ。
 この邪神の瞳を使って・・・。」


エイルシッドは、ハンの隣に行くと、耳下でボソボソと説明し始めた。

「分かったッス。
 マリー様にも内緒ッスか?」

「ああ、ハンもマリーを想うなら、秘密にしていてもらいたい。
 根本から姿を変える道具があれば、使いたくもなってしまうだろ。
 だけど、これは悪魔に使えば危険な道具になりかねない。」

「そうッスね。
 俺ら使い魔が 魔王クラスの悪魔に変化するんなら、マリー様に使うのは危険すぎるッス。
 ・
 ・
 ・
 エイルシッド王、俺はマリー様を守る力が欲しいッス。
 俺に、邪神の瞳を使って欲しいッス。」



エイルシッドは、頷くと黒い球体に魔力を込め始める。

「ハン、もし使い魔の姿に戻りたければ、自分でそれを願え。
 他にも力の使い方が分からなければ、ポチ、ケーン、エンマ、ネロ、オコンに聞いてくれ。
 ・
 ・
 ・
 準備はいいか?」

「・・・お願いするッス。」


「黄泉を支配する 憤怒ふんどの神よ!
 いまここが力を必要とするとき、この者に力を与えたまえ!!!」


エイルシッドが詠唱を終えると、黒い煙が2人を包み込んだ。
黒い煙が消え去るころ、エイルシッドの前には、大きな青い狼の姿があった。

「成功だ!
 ハンは、無事に犬の姿を得たんだ!
 ハン、いや・・・いまの名前はなんにするかな。
 ハンが自分で決めていいぞ!」

「ワォン!
 ワォワォワォーン!」

「・・・え?
 ワンワンワオーにするのか?」

「ワォーン。
 ワォワォワォーン。」

「ワォワォワォーン?」

「ワォン?」

「ワォン?
 ごめん、意味が分からない。
 使い魔の姿に戻って説明してほしいんだけど・・・。」


エイルシッドの言葉に、ハンが変化した青い狼を黒い煙が包み込む。
黒い煙が晴れ、使い魔のハンの姿に戻ると、ハンは話し始める。

「エイルシッド王、俺の姿だと会話ができないッス。
 いまから会話できるように変更とかできないッスか?」


「・・・もう邪神の瞳はないんだ。
 ちょっと失敗したな。」


「・・・そうッスか。
 まあ、姿は気に入ったッス。話せないのは 仕方がないッス。」

「ところで・・・。」


「ああ、名前ッスね。
 俺は、蒼い狼の時は、ジョチって呼んでほしいッス。
 俺の本名ッス。」

「分かった。
 蒼き狼 ジョチ・・・だな!」

「なんだか嬉しいッス。」


こうして、ハンも別の姿と マリーを守る為の力を得ることとなった。
その後、数千年にわたり、天使たちは魔界への侵攻を控えるようになった為、天界との争いは無くなったのだが、その代わり、血気盛んな悪魔たちが各地で争いを行うようになっていった。
そんな悪魔たちを平定すべく、エイルシッドは自ら戦闘に参加することはせず、邪神の瞳を使った使い魔たちを各地に遠征させた。

 白狛犬の獣人 イヌ
 炎を纏った鳥 キジ
 赤い顔の夜叉 サル
 2m程の黒い巨人 ゴリアテ
 九つの尻尾を持つ女狐 ザンギ
 そして、大きな青い狼 ジョチ

彼らは、さらに数千年の月日が経った後の 天魔大戦の激しい戦いにおいて 魔界王エイルシッドを始め、大魔王不在の魔界を守り抜き、魔界の6鬼神と呼ばれるようになるのだが、残念ながら コレも別の物語となる。










マリーたちが魔界に訪れて、約3000年の月日が流れていた。
幼かったマリーも、少し成長したようで、年は、7~8歳頃といった様子だ。
ザイルは、天使の血が強いせいか、3000年前までは マリーと変わらない年頃に見えたのだが、すでに15~16歳くらいの年齢になっていた。

いつもと変わらない日常、いつもと変わらない平穏な日々、いつもと変わらない景色に空を覆いつくす厚い雲。
その日も、いつもと変わらないはずだったのだが・・・。


突如、使い魔のポチが悪魔たちに号令をかける。


「エイルシッド王の命令ニャン。
 いますぐに魔界の戦士を総動員して天界に乗り込むニャン!」

「どうしたのかニャン?」
「何か緊急事態なのかニャン?」

「そうニャン!
 ディーテ様が、ディーテ様が・・・。」


パニックを起こす使い魔のポチの背後から、女神ディーテがザイルの肩を借り現れる。


「ポチ、すぐに命令を撤回しなさい。
 エイルには私から説明する。」

「しかし・・・。
 このまま天界の奴らに世界樹を任せていたら、世界樹は枯れて無くなってしまうニャン。
 エイルシッド王の言う通り、魔界に世界樹を植えなおして育ててあげるしか方法がないニャン。」

「私は大丈夫だから、エイルを呼んできてちょうだい。」

「しかし・・・。」

「お願い。お願いよポチ・・・。」



困り果てるポチに、エンマが声をかける。

「俺らが判断することじゃないニャン。
 エイルシッド王を連れてくることが俺らの仕事だニャン。
 エイルシッド王とディーテ様が話し合った結果に即座に答えるのが、俺らの仕事だニャン。」



「・・・ディーテ様、分かりましたニャン。
 エイルシッド王は連れてくるから、ディーテ様は部屋で休んでてほしいニャン。」

「ありがと。
 ごめんね、わがままを言って。」


使い魔たちは、首を横に振ると、エイルシッド王を探し始めた。
エイルシッド王を探す中で、エンマがポチに質問する。

「ポチ、世界樹がどうとか言ってたけど、どういう意味なのかニャン?」

「ディーテ様が魔界に・・・。天魔界に居られるのは、世界樹が魔力を供給してくれているかららしいニャン。
 その世界樹が枯れてしまえば、女神様であるディーテ様は魔力が全て失われて消滅してしまうらしいニャン。
 そこで、世界樹が枯れないように、天界にある最後の1本を魔界に植えなおして育てる作戦だったんだニャン。」

「なるほど・・・。
 でも、もしそれも失敗したら、どうなるんだニャン?」

「ディーテ様は、神々の住む処に帰るしかなくなるニャン。
 その時は、エイルシッド王、ザイル様、マリー様とも離れ離れになるらしいニャン。」

「家族がバラバラに・・・。
 エイルシッド王たちの家族には ずっと一緒にいて欲しいニャン。
 俺、親に捨てられたから、家族がバラバラになる苦しさは知ってるニャン。」


ポチたちは、エイルシッドを見つけると、ディーテが呼んでいたことを伝えた。
エイルシッドは ディーテの所に急ぎ駆けつける。


「ディーテ。」

「エイル、少し話があるの。」

ディーテの真剣な表情に、部屋で看病していたケーンたち使い魔は部屋を出ていく。
ザイルも部屋を出ようとしたのだが、ディーテに呼び止められ部屋に留まった。

「エイル、私は神界に帰ろうと思う。
 いま世界樹を魔界に持ち帰れば、世界樹は枯れずに生きながらえるかもしれない。
 だけど、世界樹を悪魔に奪われた天使たちは、決して悪魔を許さない。
 そうなれば、私たちの努力が全て無駄になってしまう。
 ・
 ・
 ・
 ザイルには会えなくなってしまうけど、エイルは神界の熱に耐えれるでしょ。
 泣き虫な マリエルも 神の血が強まれば受け入れられるし、悪魔の血が強まっても エイルと同じ創造の炎を宿すはず。
 そうすれば、また会いに来れるじゃない。
 ザイルは私と交換日記でもしない?
 ザイルの悩みにも答えてあげたいからね。」

ディーテは苦しいだろうに、精いっぱいの笑顔を見せる。
そんなディーテの一生懸命な笑顔に、ザイルは・・・。


「ディーテ様・・・。
 僕は・・・。」

「もう、1回くらいは お母さんって呼んでよ。
 年頃の男の子だし、恥ずかしいかもしれないけど。
 お母さんからの お願いよ。」

「・・・うん。
 お・・・お母さん。」

「まったくザイルは頑固なんだから。
 もう3000年も待ったんだぞ。」

ディーテは、涙を流すザイルを強く抱きしめる。



「ねえ、エイル。
 私は天使と悪魔、いいえ、人間たちでさえも一緒に暮らせる天魔界になると信じているわ。
 そんな天魔界にするのは、あなたなのよ。
 私と約束して、これから先、たくさんの苦労があると思うけど、私たち夫婦の夢を叶えてくれるって。」

「・・・ああ、約束するよ。
 ディーテ、神界で先に待っててよ。天魔界が 悪魔も天使も人間も幸せに暮らせる場所になったら、また一緒に暮らそう!
 ・・・それまで、待っててくれるかい?」

「そんなの余裕よ。
 私は、ザイルがお母さんって呼ぶのを3000年近く待ってたんですから。」

そういってディーテは、優しくザイルの頭をなでる。


親子3人に 少し笑顔が戻って来た時、部屋の外が騒がしくなる。


「ハン、止めるニャン!
 いま重大な話をしているところニャン!」

「そんなの関係ないッス!
 お前ら そこをどくッス!」

「おい、ハンを抑えるニャン!」

「いいから、どいてくれッス!」


バンッ!


勢いよく部屋の扉を開けた使い魔のハンが、他の使い魔の制止を振り切り 勢いよく部屋に飛び込んでくる。
ディーテは、何事か気になったようで、ハンに声をかける。

「ハン、どうしたの?」

「マリー様が、マリー様が・・・。」


「マリエルがどうしたの?」

「マリー様が、苦しそうにしてるッス。
 エイルシッド王、ディーテ様、ザイル様、どうかマリー様を助けてほしいッス。」


ディーテは、血相を変え部屋を飛び出しマリーの部屋へと急いだ。
あとを追うように、エイルシッドとザイル、ハンもマリーの部屋へと向かう。

途中、体力が落ちていて、うまく走れないディーテを エイルシッドが抱きかかえながら、マリーの部屋へと入る。
マリーはベッドで横になっていて、ひどく汗をかき、意識を無くしていた。
ディーテは、マリーの額に手を当てる。

「・
 ・
 ・
 マリエルの神の血が・・・。
 もうマリエルも天魔界にはいられない。」

「やはり、世界樹を天界から・・・。」

「エイル、もう遅いわ。
 天界の世界樹は・・・先ほど枯れてしまったみたい。」

「そ、そんな・・・。
 どうすれば・・・俺はどうすればいいんだ!?
 ディーテやマリーの為に何もしてやれないのか・・・。」


「ねえ、エイル。
 もしかすれば、お父様なら何か方法が分かるかも。
 エイルの翼なら、星々の海に入れば、光や時間さえも置き去りにできるほど早く飛べるよね。
 よかったら、お父様に・・・。」

「任せてくれ!」


エイルシッドは、窓辺に立つと、漆黒に染まる2対の竜の翼を大きく広げ、一筋の光となって空に舞い上がっていった。


「エイルが戻ってくるまで10分もかからないわね・・・。
 ザイル、ハン、それに魔王城の・・・天魔界のみんな。
 マリエルを宜しく頼むわ。
 ・
 ・
 ・
 私たちの可愛い マリエル、産まれてきてくれてありがと。
 私たちは あなたに数えきれないほどの幸せをもらったわ。」

ディーテも、その美しい純白の神々の翼を広げ、飛び立とうとしていた。

「お母さん!」

「ザイル、ついてきてはダメ。
 私は世界樹に生まれ変わります。
 世界樹に生まれ変わるとき、その強大な魔力を生み出し、周囲の生命を奪ってしまう 恐れがあるわ。
 あなたは、ここでマリエルを守ってあげて。
 ザイル、私たちの子になってくれて、ありがとう。」


ディーテは、窓の外に見える見晴らしの丘に向かって飛び出していった。

「・・・お母さん。」






~見晴らしの丘~

「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」


息を切らしながら、ディーテは自分の血を使い、魔法円をかき上げていく。
その魔法円は 規模も大きく弱り切ったディーテの血では足りないようだ。
半分ほどかき上げたところで、ディーテは地面に膝をつく。

「あと半分・・・。」

しかし、ディーテの血の流れが止まり始める。

「だめ、もう半分なんだから、お願い。
 お願い・・・。」








「俺の血を使うといい。」


「!!?
 ・
 ・
 ・
 エイル、もう戻って来たの!?」


「ああ、時の流れを追い越す話、嘘だと思ってたでしょ。
 神様と違って 悪魔は嘘をつかないんだぜ。
 ディーテ、俺の血を使って残りの魔法円を描き上げてくれ。
 ・
 ・
 ・
 それから 描き上げたら、最期の瞬間まで一緒にいたい。
 それがディーテとの最初の約束だから。」

「覚えてたんだ・・・。
 あんなに昔の約束なのに・・・。」


エイルシッドは 優しく微笑み、手のひらを切り、流れる血でディーテと共に魔法円を描き上げる。
完成した魔法円をみて、エイルシッドがつぶやく。


「流れる血は変わらないのにな・・・。」

「そうね、どこまでが私の血なのか、どこからがエイルの血なのか、まったく分からないわね。
 ・
 ・
 ・
 エイル、子供たちを宜しくね。
 マリエルには、私は病気で神界に先に帰ったとでも話してくれてていいよ。
 まだまだ、お母さんが必要な年頃だから。」

「うん。
 ・
 ・
 ・
 ディーテ、お義父さんに聞いてきたよ。
 神族は、世界樹に変わるとき、神々の血と肉体は世界樹へ、魂は 長い年月をかけて神族以外の生き物に転生できるんだそうだ。
 もし、次に生まれ変わるときは、一緒に人間にならないか?」

「うふふっ、エイルは本当に人間が好きなのね。
 いいわ。その代わり、人間になった私を絶対に見つけ出してよ!
 人間は数が多いからね。」

「ああ、絶対に見つけ出す。必ず。」

「エイル、いままでありがとう。
 あなたと巡り合えて、私は最高に幸せな生涯を送ることが出来たわ。」

「ディーテ、君が居てくれたから、俺は道を踏み外すことなく生きてこれた。
 俺も最高に幸せだったよ。
 ・
 ・
 ・
 ありがとう。」


魔法円の中心で抱きしめあう2人の周囲を 激しい光が囲みこむ、その光は天魔界の厚い雲を貫き、地球からも目視できるほどの光の柱となったそうだ。



光の柱が消え去ると、そこには、人間ほどの世界樹の若木と その木を抱きしめるエイルシッドの姿に変わっていた。


エイルシッドの目からは、大粒の涙が流れ落ちていた・・・。



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