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ニートのち魔界王
031・邪神の瞳を使うとき・・・。
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~魔王城・王座の間~
魔界王エイルシッドが魔王城の主を名乗り、モモたちに命令を出してから4日目。
あきらかに機嫌の悪いエイルシッドが王座に座って手のひらの炎を眺めている。
そんなエイルシッドの横には、ちょっかいを出している半透明の使い魔、ベルゼブイの姿もあった。
「おい、エイルシッド!
そろそろ、あきらめたらどうだニャン!
お前の人望では戦士が集まらないんだニャン!」
「・・・。」
「いいかげん あきらめて俺様に王位を譲り配下になると契約すれば、俺がいいように使ってやるニャン!」
ベルゼブイの言葉を無視するように、炎を眺めていたエイルシッドが呟く。
「・・・やっと戻って来たか。」
「ん?」
エイルシッドが、王座から立ち上がると、王座の間の扉が開き、使い魔のモモが駆け寄ってくる。
「エイルシッド様、ダメですニャン。
誰も魔王城の戦士として仕えようとしませんニャン。
おそらく・・・。」
ベルゼブイが口をはさんでくる。
「ほらみろ!
俺様の言った通りだニャン。」
「そうだな・・・。
モモ、なぜ集まらないんだ?」
「原因は 2つ考えられますニャン。
1つめは、エイルシッド様が強すぎて、周辺諸国の悪魔たちが恐れてしまっているニャン。
おそらく、触らぬ神に祟りなしという言葉があるように、エイルシッド様に近づかないように考えているようですニャン。
2つめは、言いづらいのですが、やはり、【みんな友達】って誘い文句だと思いますニャン。」
「そうかな、俺は気に入ってるんだけどな・・・。
ちなみに モモだったら、どんな誘い文句で誘う?」
「そうですね・・・。
モモだったら、【俺についてこい!】とか、【俺の命令を聞け!】とか良いと思いますニャン。
もし、エイルシッド様から、そのようなセリフを言っていただけたら・・・。ポッ
あ、ちなみにモモは、ポチたちを誘ったときは、褒美で釣りましたニャン。」
「なるほどな・・・。
ベルは?」
「そうだな、俺様は 俺様の偉業を世に知らしめるニャン。
そして、領土を任せるというエサをチラつかせて配下に取り込むニャン。
コイツの褒美で釣る方法もいいと思うニャン。」
「なるほどな・・・。
ってか、俺の領土って何処になるんだ?」
「・・・お前、そんなことも知らずに俺様から魔王城を奪ったのかニャン!?
俺様が持っていた領土は、魔王城、見晴らしの丘、迷いの森ニャン。」
「そんだけ?
となりの死人の沼や、死霊の湖、テンペスト火山とかは?」
「死人の沼は、魔王ロロノアが所有しているニャン。
死霊の湖や テンペスト火山は、魔王ドランサーの所有ニャン。
あいつらは、わしと互角程度の力量があって、なかなか・・・。
って、おい!俺様から巧みな罠で情報を抜き出したな!
・・・さすが、俺様の宿敵、エイルシッドだニャン!」
「愛しのエイルシッド様と お前では、月とスッポン以上の違いがあるニャン!」
ベルゼブイのセリフに、モモが怒り始めて喧嘩が始まった。
「・・・またか。
もう使い魔同士で喧嘩するのはやめてくれよ。
コレで何回目なんだよ。
いいかげん、止めてくれよ!」
エイルシッドに止められ、モモとベルゼブイは争いをやめる。
モモは素直に止めたのだが、ベルゼブイは ブツブツと文句を言っている。
そんなベルゼブイが、何かを思い出したように、深く頷き王座の間の奥にある寝室の方向を見つめている。
ベルゼブイは、エイルシッドの方を向きなおすと、なれなれしく声をかけてきた。
「なあ、貴様の知らない宝が魔王城にはあるんだが、それを取りに行かないかニャン?
「別にいいよ。
宝とかに興味ないから。」
「そんなこと言うなニャン。
宝があれば、魔王城の整備や用心棒を家来として雇うことも出来るんだニャン!」
「別に魔王城が住みにくいとか思ってないし、金で雇う家来1000人よりも、信頼できる仲間1人が欲しい。
モモや、ポチ、ケーン、エンマ、ネロ、それにベル。
お前たちだけで十分だよ。」
「ああああ、モモは最高に幸せですニャン。」
(ぐぬぬぬっ、エイルシッドはバカなのか!
金だぞ金!
・・・そうだ!)
「なあ、エイルシッド。
金があれば、周辺の恵まれない村々の悪魔たちの為に 魔王城周辺の環境を整備できると思うニャン。
それが出来れば、多くの悪魔たちが幸せになると思うニャン。」
「なるほど・・・。
俺の考えが ベルにも伝わったみたいで嬉しいよ。
そうだよ、まずは魔王城周辺の環境を整備することから始めよう!」
「では、まず寝室に行くニャン。」
こうして、エイルシッド、ベルゼブイ、モモの3人は、エイルシッドの寝室へと移動する。
そして、寝室の暖炉の中にある隠し部屋のスイッチをベルゼブイが押すと、暖炉の奥に隠し部屋が現れた。
隠し部屋の中に入ると、20畳程の部屋の中に、大量の金銀財宝が隠されていた。
「エイルシッド、さあ、外に運び出すニャン。
俺様は運び出しやすいように財宝をまとめておくニャン。」
「そうだな、ベル任せたぞ!
モモは 小物を運びやすいように袋を持ってきてくれ。
俺は 重そうな置物から運び出すから。」
「了解ですニャン。」
モモは、細々した財宝を入れるための袋をとりに隠し部屋を出る。
エイルシッドは、重そうな置物を外に運び出す。
そんな2人が部屋から出ていったのを確認して、ベルゼブイは部屋の奥に置かれていた箱から、8つの黒い球体を取り出す。
「ぐふ、ぐふふふ、
コレがあれば!」
黒い球体を手にしたベルゼブイは、隠し部屋から飛び出していった。
袋を持ってきたモモが、寝室から飛び出してくるベルゼブイと鉢合わせし、ベルゼブイを取り押さえる!
「貴様、やはりエイルシッド様を裏切るつもりだったんだニャン!
モモは、最初から怪しんでいたんだニャン!
さあ、その手に隠し持った物を見せるニャン!」
「は、離せニャン!」
再び、モモとベルゼブイが争いを始めた。
そこに置物を運び終えたエイルシッドが戻ってきたのだが、また争っているモモとベルゼブイを見て、珍しく大きな声で怒鳴る。
「さっきも言っただろ!
お前ら、もうやめろよ!」
エイルシッドから放たれた熱気で周囲の温度が一気に上がった。
モモは エイルシッドを怒らせてしまったことに猛省し、ベルゼブイを放し、その場に正座する。
ベルゼブイは 2人から少し距離を取ると、隠し持っていた黒い球体を取り出した。
「ぐふ、ぐふふふ、
エイルシッド、お前に復讐する時がきたようだニャン。
お前は 邪神の瞳を知っているかニャン?」
「邪神の瞳・・・なんだそりゃ?」
「ぐふっ、ぐふっ、ぐふっ、
邪神の瞳は、魔力を注ぎ込むことで、使用者を進化させる秘宝だニャン。
もちろん、デメリットもあるそうだが、そんなこと気にしなければ無敵の存在になれる秘宝なんだニャン。」
「その邪神の瞳がどうしだんだ?」
「はっ!
まさか!!!
エイルシッド様、ベルゼブイから あの球を奪ってくださいニャン!」
モモが何かに気づいたのだが、すでにベルゼブイは8つの球体を空高く掲げ、叫ぶ!
「黄泉を支配する 憤怒の神よ!
いまここが力を必要とするとき、我に力を与えたまえ!!!
・・・ニャン。」
「なあ、モモ。
何も起きないけど、奪った方がいいのかな?」
「そうですね、奪う必要はないかもしれないですニャン。」
「な、なぜだニャーーーン!
俺の魔力を媒体に、黄泉の神が封印を解かれ、力を与えてくれるはずニャン!
古文書にも書かれていたニャン!
なぜなんだニャーーーン!」
「「「ぷっ!
くすくすくす。」」」
ベルゼブイの言葉にエイルシッドとモモは、吹き出してしまい、笑いが止まらない。
「貴様ら、何がおかしいんだニャン!」
「だ、だって、ぷぷぷっ!
エイルシッドさまー、こいつ使い魔のくせに魔力があると思ってますニャン。」
「ぷぷぷっ!
モモ、笑わかすなよ、ベルは真剣だったんだから。
我に力を与えたまえーーー!
・・・しーん。って、そりゃないだろ。
わはははははっ!」
「わ、笑うニャー!」
エイルシッドとモモは、しばらくの間、大笑いを続けた。
~5分後~
涙目で笑っていたエイルシッドは、少し落ち着いたようで、ベルゼブイに声をかける。
「なあベル、怒るなよ。」
「俺様、怒ってんかないニャン!」
「そう拗ねるなって、なんなら俺が その石を使ってやろうか。
もちろん、俺自身にじゃなくって、お前にな。」
「ほ、本当かニャン!?」
「ああ、まあなんだ、俺に貸してみろって。」
使い魔のベルゼブイは、エイルシッドに黒い球体を7つ渡す。
黒い球体を受け取ったエイルシッドは、使わない分の6つをモモに手渡し、1つの黒い球体を両手で包み込むように握り、魔力を込めて祈るように詠唱する。
「黄泉を支配する 憤怒の神よ!
いまここが力を必要とするとき、この者に力を与えたまえ!!!」
エイルシッドが詠唱を終えると、黒い球体から煙が解き放たれ、3人を包み込んでいった。
黒い煙が消え去るころ、使い魔のベルゼブイの姿は、そこになく、目の前には天使の姿があった。
目の前の天使は、気を失っているのだろうか、横たわったまま目を覚まさない。
エイルシッドは、その天使を見ながら、大喜びしている。
「大成功だ!
モモ、完璧だぞ!」
「え、あ、はい?
エイルシッド様、まさかベルゼブイを天使に変えてしまったんですかニャン?」
「そうだよ!
ベルゼブイが争うことを辞めて、幸せに暮らせるように 天使に生まれ変わりますようにって祈ったんだ。」
「天使に・・・。
でも、使い魔が転生する時、悪魔や使い魔にならない場合・・・人間になる場合は記憶をなくすと言われてますニャン。
もしかすると、天使として生まれ変わったベルゼブイは記憶をなくしてしまったんじゃないですかニャン?」
「・・・そうなの?
まずいことしたな。もし記憶を無くしていたら、天界に送ってあげて保護してもらおうか。
・
・
・
それに、よく考えたら、天使の寿命は1000年くらいって言われてたし、魔界で暮らすのは可愛そうだな。」
「エイルシッド様は優しいお方ですニャン。
ベルゼブイが目を覚ましたら、確認してみますニャン。」
「う、うーん。
わしは・・・私は誰だろう?
なんで記憶がないんだろう?
なぜ魔王城にいるんだろう?
なぜなぜどうして?」
「なあ、モモ・・・。」
「ちょっと怪しいけど、どうしますかニャン?」
「う、うん。
ベルの荷物をまとめて、出発の準備をしてもらっていいかな?」
「分かりましたニャン。
エイルシッド様が直接つれていくのですかニャン?」
「ああ。飛竜に乗せて迷子になられても困るし・・・。
とりあえず、天界の外れに捨ててくるよ。」
「畏まりましたニャン。
ベルゼブイ・・・。部下からも陰で悪口を言われ、嫌われてて可愛そうだったニャン。」
「も、もーうるさいな、私は記憶がないんだ、からーさー。」
(こ、こいつ・・・絶対に記憶を失ってるフリをしてるニャン。
でも、このまま魔王城に残って、俺と喧嘩の火種になるくらいなら、天界に送るのもいい作戦ニャン。
これ以上、喧嘩してしまうと、本当に愛しのエイルシッド様に嫌われてしまうニャン。)
「エイルシッド様、モモは コイツを連れていって準備してくるニャン。」
「ああ、俺も天界に行く準備をしてくる。
しばらく天界で休養してくるから、戻りは少し遅くなるかな。」
「はい、畏まりましたニャン。」
その後、天使に転生し、記憶を無くした?ベルゼブイを連れてエイルシッドは天界へと渡った。
~翌日~
魔王城にポチ、ケーン、エンマ、ネロが、見知らぬ悪魔たちを連れて戻ってくる。
「ただいまニャーン。
エイルシッド王に、嬉しいお知らせだニャン!」
元気に帰ってきた仲間たちをモモが迎え入れる。
「お疲れニャン。
その悪魔たちは、いったいどうしたんだニャン?」
「新しい仲間たちニャン。
エイルシッド王に助けられた村々の若者たちニャン。」
「さすが、モモのエイルシッド様だニャン!
でもいまは エイルシッド様は、外出中なんだニャン。」
モモたちが、そういったやり取りをしていると、連れてこられた悪魔たちが、横柄な態度を取り始める。
おそらく、使い魔たちを下に見ているからだろう。
「おい、お前らグダグダ言ってねーで、魔王エイルシッドに会わせろよ。」
「なんで、使い魔のくせに偉そーなんだ?」
「あーあ、おれら長旅で疲れたんだけど。
さっさと飲み物もってこいよ!」
エイルシッドが居ないと分かったとたん、態度を変える悪魔たちに、使い魔たちは怯え始める。
「ヒソヒソ・・・。」
(や、やばいニャン。
エイルシッド王と仲良くやれてたから悪魔たちの本性を忘れてたニャン。)
(なんだか態度が悪いニャン。
怒らせたら殺される可能性が出てきたニャン。)
(早くエイルシッド王が戻ってくるように祈るしかないニャン。)
(・・・モモにいい考えがあるニャン。)
(((なんなんだニャン。)))
(ベルゼブイに使った秘策なんだニャン。)
(((ベルゼブイ?)))
(お前ら、覚えてないのかニャン?)
(覚えてないも何も・・・。)
(初めて聞く名前だニャン。)
(・・・これがデメリットなのかもしれないニャン。)
「おい!使い魔ども、コソコソしてねーで休める部屋に案内しろよ!」
「「「はい、いまから案内するニャン!」」」
(このままだと、こいつらは エイルシッド様に殺されてしまうニャン。
そうなる前に、モモが 何とかしないといけないニャン。)
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魔界王エイルシッドが魔王城の主を名乗り、モモたちに命令を出してから4日目。
あきらかに機嫌の悪いエイルシッドが王座に座って手のひらの炎を眺めている。
そんなエイルシッドの横には、ちょっかいを出している半透明の使い魔、ベルゼブイの姿もあった。
「おい、エイルシッド!
そろそろ、あきらめたらどうだニャン!
お前の人望では戦士が集まらないんだニャン!」
「・・・。」
「いいかげん あきらめて俺様に王位を譲り配下になると契約すれば、俺がいいように使ってやるニャン!」
ベルゼブイの言葉を無視するように、炎を眺めていたエイルシッドが呟く。
「・・・やっと戻って来たか。」
「ん?」
エイルシッドが、王座から立ち上がると、王座の間の扉が開き、使い魔のモモが駆け寄ってくる。
「エイルシッド様、ダメですニャン。
誰も魔王城の戦士として仕えようとしませんニャン。
おそらく・・・。」
ベルゼブイが口をはさんでくる。
「ほらみろ!
俺様の言った通りだニャン。」
「そうだな・・・。
モモ、なぜ集まらないんだ?」
「原因は 2つ考えられますニャン。
1つめは、エイルシッド様が強すぎて、周辺諸国の悪魔たちが恐れてしまっているニャン。
おそらく、触らぬ神に祟りなしという言葉があるように、エイルシッド様に近づかないように考えているようですニャン。
2つめは、言いづらいのですが、やはり、【みんな友達】って誘い文句だと思いますニャン。」
「そうかな、俺は気に入ってるんだけどな・・・。
ちなみに モモだったら、どんな誘い文句で誘う?」
「そうですね・・・。
モモだったら、【俺についてこい!】とか、【俺の命令を聞け!】とか良いと思いますニャン。
もし、エイルシッド様から、そのようなセリフを言っていただけたら・・・。ポッ
あ、ちなみにモモは、ポチたちを誘ったときは、褒美で釣りましたニャン。」
「なるほどな・・・。
ベルは?」
「そうだな、俺様は 俺様の偉業を世に知らしめるニャン。
そして、領土を任せるというエサをチラつかせて配下に取り込むニャン。
コイツの褒美で釣る方法もいいと思うニャン。」
「なるほどな・・・。
ってか、俺の領土って何処になるんだ?」
「・・・お前、そんなことも知らずに俺様から魔王城を奪ったのかニャン!?
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「そんだけ?
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「死人の沼は、魔王ロロノアが所有しているニャン。
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あいつらは、わしと互角程度の力量があって、なかなか・・・。
って、おい!俺様から巧みな罠で情報を抜き出したな!
・・・さすが、俺様の宿敵、エイルシッドだニャン!」
「愛しのエイルシッド様と お前では、月とスッポン以上の違いがあるニャン!」
ベルゼブイのセリフに、モモが怒り始めて喧嘩が始まった。
「・・・またか。
もう使い魔同士で喧嘩するのはやめてくれよ。
コレで何回目なんだよ。
いいかげん、止めてくれよ!」
エイルシッドに止められ、モモとベルゼブイは争いをやめる。
モモは素直に止めたのだが、ベルゼブイは ブツブツと文句を言っている。
そんなベルゼブイが、何かを思い出したように、深く頷き王座の間の奥にある寝室の方向を見つめている。
ベルゼブイは、エイルシッドの方を向きなおすと、なれなれしく声をかけてきた。
「なあ、貴様の知らない宝が魔王城にはあるんだが、それを取りに行かないかニャン?
「別にいいよ。
宝とかに興味ないから。」
「そんなこと言うなニャン。
宝があれば、魔王城の整備や用心棒を家来として雇うことも出来るんだニャン!」
「別に魔王城が住みにくいとか思ってないし、金で雇う家来1000人よりも、信頼できる仲間1人が欲しい。
モモや、ポチ、ケーン、エンマ、ネロ、それにベル。
お前たちだけで十分だよ。」
「ああああ、モモは最高に幸せですニャン。」
(ぐぬぬぬっ、エイルシッドはバカなのか!
金だぞ金!
・・・そうだ!)
「なあ、エイルシッド。
金があれば、周辺の恵まれない村々の悪魔たちの為に 魔王城周辺の環境を整備できると思うニャン。
それが出来れば、多くの悪魔たちが幸せになると思うニャン。」
「なるほど・・・。
俺の考えが ベルにも伝わったみたいで嬉しいよ。
そうだよ、まずは魔王城周辺の環境を整備することから始めよう!」
「では、まず寝室に行くニャン。」
こうして、エイルシッド、ベルゼブイ、モモの3人は、エイルシッドの寝室へと移動する。
そして、寝室の暖炉の中にある隠し部屋のスイッチをベルゼブイが押すと、暖炉の奥に隠し部屋が現れた。
隠し部屋の中に入ると、20畳程の部屋の中に、大量の金銀財宝が隠されていた。
「エイルシッド、さあ、外に運び出すニャン。
俺様は運び出しやすいように財宝をまとめておくニャン。」
「そうだな、ベル任せたぞ!
モモは 小物を運びやすいように袋を持ってきてくれ。
俺は 重そうな置物から運び出すから。」
「了解ですニャン。」
モモは、細々した財宝を入れるための袋をとりに隠し部屋を出る。
エイルシッドは、重そうな置物を外に運び出す。
そんな2人が部屋から出ていったのを確認して、ベルゼブイは部屋の奥に置かれていた箱から、8つの黒い球体を取り出す。
「ぐふ、ぐふふふ、
コレがあれば!」
黒い球体を手にしたベルゼブイは、隠し部屋から飛び出していった。
袋を持ってきたモモが、寝室から飛び出してくるベルゼブイと鉢合わせし、ベルゼブイを取り押さえる!
「貴様、やはりエイルシッド様を裏切るつもりだったんだニャン!
モモは、最初から怪しんでいたんだニャン!
さあ、その手に隠し持った物を見せるニャン!」
「は、離せニャン!」
再び、モモとベルゼブイが争いを始めた。
そこに置物を運び終えたエイルシッドが戻ってきたのだが、また争っているモモとベルゼブイを見て、珍しく大きな声で怒鳴る。
「さっきも言っただろ!
お前ら、もうやめろよ!」
エイルシッドから放たれた熱気で周囲の温度が一気に上がった。
モモは エイルシッドを怒らせてしまったことに猛省し、ベルゼブイを放し、その場に正座する。
ベルゼブイは 2人から少し距離を取ると、隠し持っていた黒い球体を取り出した。
「ぐふ、ぐふふふ、
エイルシッド、お前に復讐する時がきたようだニャン。
お前は 邪神の瞳を知っているかニャン?」
「邪神の瞳・・・なんだそりゃ?」
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もちろん、デメリットもあるそうだが、そんなこと気にしなければ無敵の存在になれる秘宝なんだニャン。」
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まさか!!!
エイルシッド様、ベルゼブイから あの球を奪ってくださいニャン!」
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・・・ニャン。」
「なあ、モモ。
何も起きないけど、奪った方がいいのかな?」
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「だ、だって、ぷぷぷっ!
エイルシッドさまー、こいつ使い魔のくせに魔力があると思ってますニャン。」
「ぷぷぷっ!
モモ、笑わかすなよ、ベルは真剣だったんだから。
我に力を与えたまえーーー!
・・・しーん。って、そりゃないだろ。
わはははははっ!」
「わ、笑うニャー!」
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「ほ、本当かニャン!?」
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「黄泉を支配する 憤怒の神よ!
いまここが力を必要とするとき、この者に力を与えたまえ!!!」
エイルシッドが詠唱を終えると、黒い球体から煙が解き放たれ、3人を包み込んでいった。
黒い煙が消え去るころ、使い魔のベルゼブイの姿は、そこになく、目の前には天使の姿があった。
目の前の天使は、気を失っているのだろうか、横たわったまま目を覚まさない。
エイルシッドは、その天使を見ながら、大喜びしている。
「大成功だ!
モモ、完璧だぞ!」
「え、あ、はい?
エイルシッド様、まさかベルゼブイを天使に変えてしまったんですかニャン?」
「そうだよ!
ベルゼブイが争うことを辞めて、幸せに暮らせるように 天使に生まれ変わりますようにって祈ったんだ。」
「天使に・・・。
でも、使い魔が転生する時、悪魔や使い魔にならない場合・・・人間になる場合は記憶をなくすと言われてますニャン。
もしかすると、天使として生まれ変わったベルゼブイは記憶をなくしてしまったんじゃないですかニャン?」
「・・・そうなの?
まずいことしたな。もし記憶を無くしていたら、天界に送ってあげて保護してもらおうか。
・
・
・
それに、よく考えたら、天使の寿命は1000年くらいって言われてたし、魔界で暮らすのは可愛そうだな。」
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ベルゼブイが目を覚ましたら、確認してみますニャン。」
「う、うーん。
わしは・・・私は誰だろう?
なんで記憶がないんだろう?
なぜ魔王城にいるんだろう?
なぜなぜどうして?」
「なあ、モモ・・・。」
「ちょっと怪しいけど、どうしますかニャン?」
「う、うん。
ベルの荷物をまとめて、出発の準備をしてもらっていいかな?」
「分かりましたニャン。
エイルシッド様が直接つれていくのですかニャン?」
「ああ。飛竜に乗せて迷子になられても困るし・・・。
とりあえず、天界の外れに捨ててくるよ。」
「畏まりましたニャン。
ベルゼブイ・・・。部下からも陰で悪口を言われ、嫌われてて可愛そうだったニャン。」
「も、もーうるさいな、私は記憶がないんだ、からーさー。」
(こ、こいつ・・・絶対に記憶を失ってるフリをしてるニャン。
でも、このまま魔王城に残って、俺と喧嘩の火種になるくらいなら、天界に送るのもいい作戦ニャン。
これ以上、喧嘩してしまうと、本当に愛しのエイルシッド様に嫌われてしまうニャン。)
「エイルシッド様、モモは コイツを連れていって準備してくるニャン。」
「ああ、俺も天界に行く準備をしてくる。
しばらく天界で休養してくるから、戻りは少し遅くなるかな。」
「はい、畏まりましたニャン。」
その後、天使に転生し、記憶を無くした?ベルゼブイを連れてエイルシッドは天界へと渡った。
~翌日~
魔王城にポチ、ケーン、エンマ、ネロが、見知らぬ悪魔たちを連れて戻ってくる。
「ただいまニャーン。
エイルシッド王に、嬉しいお知らせだニャン!」
元気に帰ってきた仲間たちをモモが迎え入れる。
「お疲れニャン。
その悪魔たちは、いったいどうしたんだニャン?」
「新しい仲間たちニャン。
エイルシッド王に助けられた村々の若者たちニャン。」
「さすが、モモのエイルシッド様だニャン!
でもいまは エイルシッド様は、外出中なんだニャン。」
モモたちが、そういったやり取りをしていると、連れてこられた悪魔たちが、横柄な態度を取り始める。
おそらく、使い魔たちを下に見ているからだろう。
「おい、お前らグダグダ言ってねーで、魔王エイルシッドに会わせろよ。」
「なんで、使い魔のくせに偉そーなんだ?」
「あーあ、おれら長旅で疲れたんだけど。
さっさと飲み物もってこいよ!」
エイルシッドが居ないと分かったとたん、態度を変える悪魔たちに、使い魔たちは怯え始める。
「ヒソヒソ・・・。」
(や、やばいニャン。
エイルシッド王と仲良くやれてたから悪魔たちの本性を忘れてたニャン。)
(なんだか態度が悪いニャン。
怒らせたら殺される可能性が出てきたニャン。)
(早くエイルシッド王が戻ってくるように祈るしかないニャン。)
(・・・モモにいい考えがあるニャン。)
(((なんなんだニャン。)))
(ベルゼブイに使った秘策なんだニャン。)
(((ベルゼブイ?)))
(お前ら、覚えてないのかニャン?)
(覚えてないも何も・・・。)
(初めて聞く名前だニャン。)
(・・・これがデメリットなのかもしれないニャン。)
「おい!使い魔ども、コソコソしてねーで休める部屋に案内しろよ!」
「「「はい、いまから案内するニャン!」」」
(このままだと、こいつらは エイルシッド様に殺されてしまうニャン。
そうなる前に、モモが 何とかしないといけないニャン。)
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彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
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