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一方その頃、
「リデル!
何をしている!
早く封印の術式を発動させろ!」
「そ、そんな、でも、」
「何をやってるんだ!」
「い、いやだ!
まだ...死にたくない。」
「死ぬわけではないだろうが!
それとも逆らうつもりなのか!
それなら家族を犠牲にするんだな!」
「家族、、、リーナ、アルマ、パナ、、、すまない。
お父さんは、、、。」
弱りきったグルバフは、リデルの肉体に吸い込まれるように引き寄せられていく。
そのまま、リデルの体内に入り切ると、他の兵士たちがリデルの体を氷漬けにしていく。
氷の柱が出来上がる頃、周囲は静寂に包まれた。
戦いで全力を尽くした六勇者たちだが、その心は肉体以上に傷ついていた。
「リデル、さん?
まさか、そんな...。」
目に涙を浮かべながら、篠崎雪華が氷柱にそっと触れる。
「まだ息子さんを抱きしめてないじゃないですか!
わたしたちが弱かったから!?
なんで、どうして!!?」
篠崎雪華に説明するように、兵士長が声をかけるが、雪華の耳には届いていない。
「わたし、もう勇者をやれません。
別の六勇者さんに任せた方が良かったじゃないですか!
わたしたちが戦ったせいで、被害が大きくなった。
死ななくていい人たちも、たくさん死んでしまった。
わたしたちが...わたしのせいだ...。
弱いくせに!
戦えないくせに!
何も守れないくせに!」
そんな雪華を抱きしめながら、アスカが声をかける。
「確かに雪華ちゃんの言うとおりかもしれないわ。
だけど、わたしたちが戦わなければ、いいえ。戦うことを辞めてしまえば、もっともっと大勢の人が悲し、」
「そんなことありません!
グルバフは言ってました。
わたしたちを探していたと。
わたしたちが何もしなければ、被害を抑えることだってできたかもしれない。
お城にいたら、襲って来なかったかもしれない...。」
雪華の言葉に、皆が言葉を発することができずにいた。
そんな中、鬼島蒼汰が答える。
「そだな。
・
・
・
俺の恩師の口癖だよ。
そだなって言うけど、なーんも考えてない。
変わってるだろ。」
「鬼島さんは、何が言いたいんですか。」
「出来ないことを悩んでも解決しないんだわ。
いま俺たちに出来ることをする。それでも解決しないなら、また別の出来ることをする。
そしたら、不可能と思ってたことが出来るようになる。
いまは強くなって、アイツを探して、そんでリデルを助けたついでに この世界を救う!
かな?」
「わたしたちに、出来るんでしょうか...。」
「分かんねーけど、リデルは死んでねーんだろ。
それなら絶対にできる!
だって出来ることを繰り返すだけだからさ。」
「はい!」
一方その頃、
「リデル!
何をしている!
早く封印の術式を発動させろ!」
「そ、そんな、でも、」
「何をやってるんだ!」
「い、いやだ!
まだ...死にたくない。」
「死ぬわけではないだろうが!
それとも逆らうつもりなのか!
それなら家族を犠牲にするんだな!」
「家族、、、リーナ、アルマ、パナ、、、すまない。
お父さんは、、、。」
弱りきったグルバフは、リデルの肉体に吸い込まれるように引き寄せられていく。
そのまま、リデルの体内に入り切ると、他の兵士たちがリデルの体を氷漬けにしていく。
氷の柱が出来上がる頃、周囲は静寂に包まれた。
戦いで全力を尽くした六勇者たちだが、その心は肉体以上に傷ついていた。
「リデル、さん?
まさか、そんな...。」
目に涙を浮かべながら、篠崎雪華が氷柱にそっと触れる。
「まだ息子さんを抱きしめてないじゃないですか!
わたしたちが弱かったから!?
なんで、どうして!!?」
篠崎雪華に説明するように、兵士長が声をかけるが、雪華の耳には届いていない。
「わたし、もう勇者をやれません。
別の六勇者さんに任せた方が良かったじゃないですか!
わたしたちが戦ったせいで、被害が大きくなった。
死ななくていい人たちも、たくさん死んでしまった。
わたしたちが...わたしのせいだ...。
弱いくせに!
戦えないくせに!
何も守れないくせに!」
そんな雪華を抱きしめながら、アスカが声をかける。
「確かに雪華ちゃんの言うとおりかもしれないわ。
だけど、わたしたちが戦わなければ、いいえ。戦うことを辞めてしまえば、もっともっと大勢の人が悲し、」
「そんなことありません!
グルバフは言ってました。
わたしたちを探していたと。
わたしたちが何もしなければ、被害を抑えることだってできたかもしれない。
お城にいたら、襲って来なかったかもしれない...。」
雪華の言葉に、皆が言葉を発することができずにいた。
そんな中、鬼島蒼汰が答える。
「そだな。
・
・
・
俺の恩師の口癖だよ。
そだなって言うけど、なーんも考えてない。
変わってるだろ。」
「鬼島さんは、何が言いたいんですか。」
「出来ないことを悩んでも解決しないんだわ。
いま俺たちに出来ることをする。それでも解決しないなら、また別の出来ることをする。
そしたら、不可能と思ってたことが出来るようになる。
いまは強くなって、アイツを探して、そんでリデルを助けたついでに この世界を救う!
かな?」
「わたしたちに、出来るんでしょうか...。」
「分かんねーけど、リデルは死んでねーんだろ。
それなら絶対にできる!
だって出来ることを繰り返すだけだからさ。」
「はい!」
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