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しばらくアミュールの像を見上げていたリノが、くるりと像に背を向けた。

「よーし、リュート兄ちゃん!
 宿屋まで競争しようぜ!
 スタートー!!!」

リノは、楽しそうに 大きな声で元気いっぱいに号令をかけ、宿屋の方に走り出した。

「負けたら負けなー!」

(負けたら 負け?
 負け?まけ?マケ?
 負けって何なんだ?)

君が少し考え事をしている間に、リノは曲がり角を曲がり、姿を消してしまった。

(とりあえず、負けなければ、マケじゃないんだよな?)

君もリノの後を追うように、宿を目指して走り出した。



宿にたどり着くと、すでにリノの姿は見えない。もう部屋に入ったのか?と深く考えず、君も宿に入り部屋の扉を開けた。

「リノー、負けたらマケの、マケって何だ?」

君の質問は、無人の室内に響き渡る。

「あれ?
 リノは?」

リノが隠れていると考えた君は、部屋の中を一通り見て回るが リノの姿が見当たらない。
君が部屋を出たり入ったりしているのに気づいたルームサービスの男が声をかけてきた。

「お客様、どうしましたか?」

君は 広場からの帰り道、リノを見失い、リノの姿が見えないことを男に説明した。すると、男は血相を変え、目がキョロキョロと動きだした。
そして、震える手を必死に抑えながら君に説明し始めた。

「あの時と似て...あの時と同じです。ミカが...子どもたちが居なくなってしまった時と。
 お客様、急いでリノくんをさがしましょう。
 もう、繰り返してはいけない!!!」



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