伝説の六勇者(従者リュートの物語)

63.

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フカワは その長い胴体を馬車の残骸に巻き付け、深く刺さった牙を抜く。
すると、君の期待とは裏腹に、怒りに身を任せながらも冷静に、一直線に君の方に向かって突撃してくる。

「リノ、逃げてくれ！」
「リュート兄ちゃん！！！」

君はリノを助ける為、リノの背中を押し、その反動を利用し振り返り フカワの突撃を体で受けた。
君の体を突き抜けるような激しい衝撃に意識を奪われそうになる。

（ヤバい、いまの一撃で動けなく.....。
　あ、あれ？
　体が、
　・
　・
　・
　動く！）

君は 痛みに堪えながら、突進してきたフカワの頭にしがみついた。
そのまま振り落とされないように 利き手で しっかりと立髪を掴んだ。

フカワは 君を振り落とそうと必死に暴れるが、君は決して放れない。
フカワは 暫く暴れた後、無害な君を振りほどくことを辞め、必死に泳いで逃げるリノに狙いを定めた。

フカワは一気に加速する為に、その頭を水面高くあげ、リノの方に 顔を向ける。距離を測るように首を軽く上下させ、反動を使うように頭を後ろに引いた。

「やめろー！」

君はフカワを止めるため、フカワの頭部をめがけて、必死に拳を振り下ろした。


ズゴゴン！

君の拳が振り下ろされると、鈍い破壊音がフカワの体を通じて君にも響く。
フカワは、何が起こったのか理解できないようで、水面に倒れ込んだ。