伝説の六勇者(従者リュートの物語)

58.

58.

.....キミハ ボクノ心ヲ ナゼミダスノ


まだ夜が明ける前、何かの呼びかけを感じ、君は目を覚ます。
周囲には 何かの焦げた臭いが、充満している。君たちの乗る舟以外に燃えるものなど無さそうなのだが...。
周囲を警戒し見渡した君も、普段と何も変わらない静かな夜の景色に安心した。
ふと、空を見上げると、まだ空も暗く 星々も淡く輝いている。


夢を見ていたのだろうと思い、君が再び眠りにつく為に目を閉じると、次はハッキリとした声で聞こえてきた。

（ココニキテハ イケナカッタ。）

（なぜ？
　ここに何かあるのか？）

（ココカラハ 封印サレシ ダイチ。器ヲウケツギシ者ノクル  バショジャナイ。
　イマナラ マダマニアウ。）

（俺が 六勇者じゃないからか...。
　それでも俺は。）


頭の中から気配が消えると、空の星々が明るく輝き出し、世界に夜明けを告げる。
光に照らされたリノが眠そうに目を擦りながら起き上がると、君を見つけ挨拶をする。


「おはよ、リュート兄ちゃん。
　おいら、変な夢を見ちゃったよ。」

リノの元気のない表情から、変な夢は、決していい夢ではなかったようだ。

「リノ、気にするなよ。
　どうせ夢なんだからさ。」

「う、うん。
　そうだよね。夢...だもんね。」

君はリノを元気づけようと、神器の鞄から朝食を取り出す。

「ほら、コレ食べたら大牛を起こして出発だ。」

「・
　・
　・
　うん！
　朝飯、楽しみだな！」


昨日の君の質問で母親のことを思い出したのだろうか、いつものリノとは少し雰囲気が違う気がした。