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35.【リノの知っている神話】
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35.
クレリの町までの道中、気分を良くした リノが自分の知る神話の話を聞かせてくれた。
【リノの知ってる神話2】
「この前の続きからでいいよね。
・
・
・
女神オキロンに逃がしてもらったモニュマール人は、終わらない昼の世界で暮らし始めたんだ。」
「終わらない昼の世界?」
「そう。女神オキロンが眠るときだけ夜が訪れるのさ。でも女神オキロンは眠らない。だって眠ってしまえば、子供たちがモニュマール人を殺めてしまうかもしれないから。だから、女神オキロンは、滅多に眠らないんだ。」
「だけど、そんな眠りのない世界にモニュマール人たちは...ううん。大地の中に住む 全ての生き物たちは疲れ果ててしまうのさ。
それどころか、安息の地である 大地の中を死者の国と罵って大地の外に逃げ出す人たちも現れ始めた。
それを知った女神オキロンは、ひどく悲しんだ。
そんな中、大地の外に通じる扉を開けたまま逃げ出した人々がいた。その開いたままの扉を通り抜け、外で暴れまわっていた子供たちが大地の中まで襲ってきたのさ。
大地の中をかき混ぜるように雨風が吹き荒れ、大地には雷が落ちる。
モニュマール人たちは、女神オキロンに助けを求めたんだけど、女神オキロンからの返事はなかった。」
(そうだよな、裏切られた女神...お互いに 可哀想だよな。)
「リュート兄ちゃん!
悲しい顔するなって、ココから見せ場なんだぜ!
で、困ったモニュマール人は 落雷の跡から、くすぶる火種を見つけ出し、その火種に身を捧げ、炎を作り上げたんだ。そして...!
その炎から荒ぶる魂、破壊と再生、破滅の龍神ヴォラティアスを呼び起こしたのさ。
ヴォラティアスは、傷つき弱り果てた女神オキロンをみて激怒したんだよ。
その雄叫びを始めて聴いた雷の娘は、恐怖から姿を隠したんだってさ。だから雷が鳴るのは珍しいことらしいよ。
そして、暴風雨たちは、再びヴォラティアスを倒そうと挑んだんだけど、怒りに満ち破滅の力を最大限に纏ったヴォラティアスには歯が立たない。まるで百戦錬磨の戦士と 産まれたばかりの子供の戦いだったそうだよ。」
「なぁ、リノ。
破滅の力って言うけど、破滅って、自分が滅びるって意味とかじゃないのか?」
「違うよ。全てに平等に破滅を与える力だよ。」
「じゃあ、使った本人も...。」
「最後まで使えばそうなるかもね。でも考えてみてよ。
例えば、王様とおいらたちが同じ額の食事を食べ続ける。そうすると...。」
「...金のない俺たちが先に破産する。」
「そう!
ヴォラティアスの体力が桁違いだから関係ないのさ。」
...まだまだ続くよ。
クレリの町までの道中、気分を良くした リノが自分の知る神話の話を聞かせてくれた。
【リノの知ってる神話2】
「この前の続きからでいいよね。
・
・
・
女神オキロンに逃がしてもらったモニュマール人は、終わらない昼の世界で暮らし始めたんだ。」
「終わらない昼の世界?」
「そう。女神オキロンが眠るときだけ夜が訪れるのさ。でも女神オキロンは眠らない。だって眠ってしまえば、子供たちがモニュマール人を殺めてしまうかもしれないから。だから、女神オキロンは、滅多に眠らないんだ。」
「だけど、そんな眠りのない世界にモニュマール人たちは...ううん。大地の中に住む 全ての生き物たちは疲れ果ててしまうのさ。
それどころか、安息の地である 大地の中を死者の国と罵って大地の外に逃げ出す人たちも現れ始めた。
それを知った女神オキロンは、ひどく悲しんだ。
そんな中、大地の外に通じる扉を開けたまま逃げ出した人々がいた。その開いたままの扉を通り抜け、外で暴れまわっていた子供たちが大地の中まで襲ってきたのさ。
大地の中をかき混ぜるように雨風が吹き荒れ、大地には雷が落ちる。
モニュマール人たちは、女神オキロンに助けを求めたんだけど、女神オキロンからの返事はなかった。」
(そうだよな、裏切られた女神...お互いに 可哀想だよな。)
「リュート兄ちゃん!
悲しい顔するなって、ココから見せ場なんだぜ!
で、困ったモニュマール人は 落雷の跡から、くすぶる火種を見つけ出し、その火種に身を捧げ、炎を作り上げたんだ。そして...!
その炎から荒ぶる魂、破壊と再生、破滅の龍神ヴォラティアスを呼び起こしたのさ。
ヴォラティアスは、傷つき弱り果てた女神オキロンをみて激怒したんだよ。
その雄叫びを始めて聴いた雷の娘は、恐怖から姿を隠したんだってさ。だから雷が鳴るのは珍しいことらしいよ。
そして、暴風雨たちは、再びヴォラティアスを倒そうと挑んだんだけど、怒りに満ち破滅の力を最大限に纏ったヴォラティアスには歯が立たない。まるで百戦錬磨の戦士と 産まれたばかりの子供の戦いだったそうだよ。」
「なぁ、リノ。
破滅の力って言うけど、破滅って、自分が滅びるって意味とかじゃないのか?」
「違うよ。全てに平等に破滅を与える力だよ。」
「じゃあ、使った本人も...。」
「最後まで使えばそうなるかもね。でも考えてみてよ。
例えば、王様とおいらたちが同じ額の食事を食べ続ける。そうすると...。」
「...金のない俺たちが先に破産する。」
「そう!
ヴォラティアスの体力が桁違いだから関係ないのさ。」
...まだまだ続くよ。
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