伝説の六勇者(従者リュートの物語)

黒山羊

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空の光が弱くなり、空に光る竜魂魄が、眠りの夜の始まりを告げる。
リノは手際よく野宿の支度を始めた。

「リュート兄ちゃん、火種を取り出してよ。」

「......。」

「リュート兄ちゃん、火種ちょーだい。」

「......。」

「リュート兄ちゃん!」

「すまない、リノ。
 火種の取り出し方が分からないんだ。実は直接 鞄に手を入れて取る方法しか知らなくって。」

「...そっか、知らないのか。
 おいらにも試させてよ。」

神器の鞄を覗き込むように、リノが中身を確認する。

「ん?
 これじゃ仕方ないや。」

「どうした?
 何か分かったのか?」

「んにゃ。
 何も分からないってことが分かったかな。」

「何も分からない?」

不思議そうな君を見上げながら、腕組みをし 何故か自信満々に リノが答える。

「おいらは持ち主じゃないからだろうな。リュート兄ちゃんの鞄の中身が見えないんだ。
 仕方ないや。最初から火起こしするよ。」

「ごめんな、リノ。」

「気にすんなよ。知らないことなんだし、他の六勇者に会ったら聞いてみようぜ。
 それに、考え方を変えれば、火を消す手間が省けたって話だろ。火事にならないし便利じゃん。」


「リノって、見た目より断然に賢いんだな。」

「ありがと、リュート兄ち...。
 それって、おいらがバカに見えるって意味なのかよ。」



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