伝説の六勇者(従者リュートの物語)

23.

23.

「やっぱりね！
　おいらも剣だと思ったんだよ。
　だって剣は希望の勇者なんだろ？
　おいら、リュート兄ちゃんと出会えたから、やっと皆の仇討ちが出来るんだって 希望が湧いてきたからね。」


君は飛び回るように喜んでいるリノに無言で頷く。


「でも、まだ勇者の武器が使えないのは不便だよな。
　当分はスリングとレヴィ姉ちゃんがくれた ダガーでの戦いになるんだね。」

「そ、そうだな。
　.....もしかすると、ずっと覚醒できないかもよ。」

「そんなわけないだろ。
　だけど、空飛ぶ大蛇と戦うまでには勇者の武器を使えるようになりたいよね。」

「そだな。でも、敵が空を飛ぶ大蛇なら 剣だと攻撃が届かないだろうから スリングを訓練した方がいいかもな。」

君の意見に、リノが口を開けてたまま君を見上げている。

「リュート兄ちゃん...。
　おいら、おいら。」

（もしかして、もうバレたのか？
　まさか、勇者の武器は空飛ぶ敵にも有効だったとか？
　勇者の武器ってくらいだから、チート性能の可能性があるのかも...。）

君は、いろいろと考えながらリノを見る。
リノは笑顔のまま涙を流しながら君に抱きついてきた。

（やっぱりバレたんだ.....。）
「ゴメン、リノ。」