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悪魔召喚士

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国王との食事のあと、千紘とエイルは 町を散策する。
まだ祭りの余韻が残る町中を歩いていたとき、エイルがふと立ち止まる。

「ん、どうしたの?」

エイルは 露店で販売していた小さな笛を手に取り代金を支払った。
そして、両手で包むようにして 小さな笛に息を吹きかける。
エイルが その両手を広げると 小さな笛に三角形に一つ目の紋様が刻まれていた。


「ねえ、千紘。
 この笛を受け取ってもらえないかな。」

「ん、んん。
 別にいいけど、この模様は?」


エイルは、フフッと笑うと紋様について説明を始めた。


「これは 俺の名を表したものなんだ。」

「君の名前?」


「そう、ニルヴァーナ・アース・エイルシッド・トライアス。
 親しい人は エイルと呼んでくれているけどね。」

「ニルヴァーナ・アース・エイルシッド・トライアス。
 素敵な名前だね。」

「ありがとう。」


千紘はエイルから手渡された紋様入りの小さな笛を胸のポケットに大事にしまう。


「さあ、店を見て回ろうよ。
 他にも面白い店があるかもよ。」

「うん。楽しみだね。」


「なんだか、わくわくするな。
 ・
 ・
 ・
 ねえ、千紘。
 戦いなんてやめて、このまま この世界で一緒に暮らさないか?」

「いやいや、魔王が襲ってきたらどうするのよ。」
(・・・でも、それも悪くないかもな。)


千紘は、少し前を歩くエイルの後姿を見つめる。
エイルは、立ち止まっている千紘に気付き、振り返り答えた。


「その時は、戦うしかない・・・よな。
 まあ、仕方ないことだよね。」


エイルの少し残念そうな顔を見て、千紘は微笑んで見せる。
千紘の微笑みに、少し安心したのか、エイルは再びゆっくりと歩き始めた。


(君は平和主義者だよね。
 争いとか無縁の世界から 私を助けに来てくれたのかな。
 ・
 ・
 ・
 エイル、君は私が守るからね!)





「ねえ、エイル。
 ちょっと歩くの早いよ!」



千紘は、先を歩くエイルの横に並び、その左手を握る。

「一緒に歩くんなら、手くらい繋ごうかなって思って。
 ・
 ・
 ・
 嫌だった?」


「全然。
 迷子にならないように手を繋いでおかなくちゃね。
 ・
 ・
 ・
 千紘、迷子になるなよ。」


 
「は?
 ・
 ・
 ・
 いやいや、雰囲気ぶち壊しだから。」





(まったく・・・。
 本当に ブレないよね。)




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